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中国の改正「反スパイ法」条文

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中国の改正「反スパイ法」条文

2023年7月1日施行

 

第一章 総則

 

第一条 反スパイ活動を強化し、スパイ行為を防止・制止・処罰し、国家安全を守り、人民の利益を保護するために、憲法に基づいて本法を制定する。

 

第二条 反スパイ活動は党中央による集中・統一指導を堅持し、総体国家安全観を堅持し、公開任務と秘密任務の結合、特別活動と大衆路線の結合を堅持し、積極的防御、法による処罰、標本兼治(表面的な現象とともにその根本的原因にも対策を講じる)を堅持し、国家安全のための人民防衛線を構築する。

 

第三条 反スパイ活動は法に基づいて行い、人権を尊重・保障し、個人と組織の合法権益を保障しなければならない。

 

第四条 本法に言うスパイ行為とは以下の行為を指す。

(一)スパイ組織とその代理人が実施あるいは他人に指示、資金援助して実施する、あるいは国内外の機構、組織、個人がそれと結託して実施する中華人民共和国の国家安全に危害を及ぼす活動;

(二)スパイ組織に参加する、あるいはスパイ組織とその代理人の任務を引き受けること、又はスパイ組織あるいはその代理人に頼ること;

(三)スパイ組織とその代理人以外のその他の国外の機構、組織、個人が実施する、あるいは他人に指示・資金援助して実施する、あるいは国内の機構、組織、個人とそれが結託して実施する国家秘密あるいはインテリジェンスおよびその他の国家の安全と利益に関わる文書、データ、資料、物品を窃取、偵察、買収あるいは不法に提供する、あるいは国家の職員が裏切るよう策動、誘惑、脅迫、買収する活動;

(四)スパイ組織とその代理人が、国家機関、秘密に関わる機関又は重要情報インフラ等に対しサイバー攻撃、侵入、妨害、制御、破壊等の活動を実施し、又は他者に実施を指示し、資金面で援助し、又は国内外の機関、組織、個人と結託して実施すること;

(五)敵に攻撃目標を指示すること;

(六)その他のスパイ活動を行うこと。

  スパイ組織とその代理人が中華人民共和国の領域内において、あるいは中華人民共和国の公民、組織あるいはその他の条件を利用して、第三国に対するスパイ活動に従事し、中華人民共和国の国家安全に危害を及ぼすものは、本法を適用する。

 

第五条 国は反スパイ活動の協調機構を構築し、反スパイ活動における重大事項を統一的に計画・調整し、反スパイ活動における重大な問題を研究・解決する。

 

第六条 国家安全機関は反スパイ活動の主管機関である。

  公安、保密等の関連部門と軍隊の関連部門は職責に基づいて分業し、密接に協力し、協調を強化し、法に基づいて関連業務をしっかり行う。

 

第七条 中華人民共和国の公民は国家の安全、栄誉と利益を守る義務があり、国家の安全、栄誉と利益に危害を及ぼす行為をしてはならない。

  すべての国家機関と武装力量 、各政党と各人民団体、企業・事業組織とその他の社会組織は、みなスパイ行為を防止・制止し、国家の安全を守る義務がある。

  国家安全機関は反スパイ活動において人民の支援に依拠して、人民を動員・組織してスパイ行為を防止・制止しなければならない。

 

第八条 いかなる公民と組織もみな法に基づいて反スパイ活動を支援・協力し、知りえた国家秘密と反スパイ活動の秘密を守らなければならない。

 

第九条 国は反スパイ活動を支援・協力する個人と組織を保護する。

  スパイ行為を告発したり、反スパイ活動で重大な貢献を果たした個人と組織に対しては国の関連規定に基づき表彰・奨励を与える。

 

第十条 国外の機構・組織・個人が実施する、あるいは他人に指示・資金援助して実施する、あるいは国内の機構・組織・個人が国外の機構・組織・個人と結託して実施する中華人民共和国の国家安全に危害を及ぼすスパイ行為は、すべて法律による追及を受けなければならない。

 

第十一条 国家安全機関とその職員はその活動において、厳格に法に従って行動し、職権を超え、職権を乱用してはならず、個人と組織の合法権益を侵害してはならない。

  国家安全機関とその職員が法に基づいて反スパイ活動の職責を履行して取得した個人と組織の情報は、反スパイ活動のみに使用することができる。国家秘密、業務秘密、商業秘密と個人のプライバシー、個人情報については、秘密を守らなければならない。

 

第二章 安全防止

 

第十二条 国家機関、人民団体、企業・事業組織とその他の社会組織は、当該団体の反スパイ安全防止活動の主体的責任を負い、反スパイ安全防止措置を実行し、当該団体の人員に対して国家安全を守るための教育を行い、当該団体の人員を動員・組織してスパイ行為を防止・制止する。

 地方の各級人民政府、関連産業の主管部門は職責に基づいて分業し、当該行政区域、当該産業に関わる反スパイ安全防止活動を管理する。

  国家安全機関は法に基づいて反スパイ安全防止活動を調整・指導、監督・検査する。

 

第十三条 各級人民政府と政府関連部門は反スパイ安全防止宣伝教育を実施し、反スパイ安全防止のための知識を教育、研修、法律普及のための宣伝内容に取り入れ、全人民の反スパイ安全防止意識と国家安全の素養を強化しなければならない。

 報道、ラジオ、テレビ、文化、インターネット情報サービスなどの団体は、社会に向けて的確に反スパイ宣伝教育を行わなければならない。

 国家安全機関は、反スパイ安全防止情勢を基に、関係機関に対し反スパイ宣伝教育活動を展開するよう指導し、防止意識と能力を高めなければならない。

 

第十四条 いかなる個人と組織も、国家秘密に属す文書、データ、資料、物品を不法に取得・所持してはならない。

 

第十五条 いかなる個人と組織も、スパイ活動に特別に必要な特殊スパイ装備を不法に製造、販売、所持、使用してはならない。特殊スパイ装備は国務院の国家安全主管部門が国の関連規定に基づいて確認する。

 

第十六条 いかなる公民と組織も、スパイ行為を発見したならば、速やかに国家安全機関に通報しなければならない;公安機関等のその他の国家機関・組織に通報されたものは、関連国家機関・組織が直ちに国家安全機関に移送して処理しなければならない。

 国家安全機関は通報を受理するための電話・メールボックス・ウェブサイトなどを社会に向けて公開し、法に基づいて通報の情報を遅滞なく処理し、かつ通報者の秘密を守らなければならない。

 

第十七条 国は反スパイ安全防止重点機関の管理制度を構築する。 反スパイ安全防止重点機構は反スパイ安全防止の業務制度を構築し、反スパイ安全防止活動の要求を履行し、内部に設立した職能部門と人員が請け負う反スパイ安全防止の職責を明確にしなければならない。

 

第十八条 反スパイ安全防止重点機関は職員に対する反スパイ安全防止の教育と管理を強化し、離任・離職した人員の秘密保持期間内における反スパイ安全防止義務の履行状況に対して監督・検査を行わなければならない。

 

第十九条 反スパイ安全防止重点機関は秘密に関わる事項、場所、媒体などの日常安全防止管理を強化し、隔離強化、閉鎖管理、警戒態勢の設置などの反スパイの物理的防止措置を講じなければならない。

 

第二十条 反スパイ安全防止重点機関は、反スパイ技術防犯の要求と標準に基づいて、相応の技術措置とその他の必要な措置をとり、重要部門・部分、ネットワーク施設、情報システムに対する反スパイ技術による防止を強化する。

 

第二十一条  重要国家機関、国防軍工機関とその他の重要な秘密に関わる団体および重要軍事施設周辺の安全コントロール区域内での新規・改造・拡張建設プロジェクトは、国家安全機関が国家安全事項にかかわる建設プロジェクトとして許可する。

 県級以上の地方各級人民政府が作成する国民経済と社会発展計画、国土空間計画などの関連計画では、国家安全の要素および画定する安全コントロール区域を十分考慮し、国家安全機関の意見を求めなければならない。

 安全管理区域の画定は発展と安全を統一的に計画し、科学的合理性、確かな必要性の原則を堅持し、国家安全機関が発展改革、自然資源、住宅都市農村建設、保密、国防科技工業等の部門および軍隊の関連部門と共同で画定し、省・自治区・直轄市人民政府に報告し、承認と動的調整を行わなければならない。

 国家安全事項にかかわる建設プロジェクト許可の具体的な実施規則は、国務院の国家安全主管部門が関連部門と共同で制定する。

 

第二十二条 国家安全機関は反スパイ活動の必要に基づいて、関連部門と共同で反スパイ技術防止標準を制定し、関連団体を指導して反スパイ技術防止措置を実行させることができ、潜在的危険のある団体に対して、厳格な承認手続きを経て、反スパイ技術防止の検査や試験を実施することができる。

 

第三章 調査処置

 

第二十三条 国家安全機関は反スパイ活動において法に基づいて本法と関連法律で規定する職権を行使する。

 

第二十四条 国家安全機関の職員は法に基づいて反スパイ活動任務を執行する際、規定に基づいて職員証を提示し、中国公民あるいは外国人の身分証を検査することができ、関連する個人と組織に関連する状況を質問する権限を有し、身分が不明、スパイ行為の疑いのある人員に対して、持ち物を調べることができる。

 

第二十五条 国家安全機関の職員が法に基づいて反スパイ活動任務を執行する際、地級市以上の国家安全機関の責任者の承認を得て、職員証を提示し、関連する個人と組織の電子設備、施設、関連するプログラム、ツールを検査することができる。検査において国家安全に危害を及ぼす状況が存在することが発見されたならば、国家安全機関は措置を講じて直ちに是正するよう命じなければならない。是正を拒否する、あるいは是正後も依然として国家の安全に危害を加える潜在的リスクがある場合は、封印・留置することができる。

 前項の規定に基づいて封印・留置した電子設備、施設、関連するプログラム、ツールについて、国家安全に危害を及ぼす状況が解消された後、国家安全機関は速やかに封印、留置を解除しなければならない。

 

第二十六条 国家安全機関の職員が法に基づいて反スパイ活動任務を執行する際、国の関連規定に基づいて、地級市以上の国家安全機関の責任者の承認を得て、関連する文書、データ、資料、物品を調べ、証拠として収集することができ、関連する個人と組織はこれに協力しなければならない。調査、証拠としての収集は反スパイ活動任務執行に必要な範囲と限度を超えてはならない。

 

第二十七条 本法に違反した人員を呼び出して調査する必要がある場合、国家安全機関の事件処理部門の責任者の承認を得て、呼出状により呼び出すものとする。現場で発見した本法に違反した人員に対して、国家安全機関の職員は規定に基づいて職員証を提示し、口頭で呼び出すことができるが、尋問調書に明記しなければならない。呼び出しの理由と根拠は呼び出された者に告知しなければならない。正当な理由なく呼び出しを拒否する、あるいは呼び出しを回避した者に対して、強制的に呼び出すことができる。

 国家安全機関は呼び出された者が所在する市、県内の指定された地点、あるいはその居住地で尋問を行わなければならない。

 国家安全機関は呼び出された者に対して速やかに尋問・調査しなければならない。尋問・調査の時間は8時間を超えてはならない;状況が複雑で、行政拘留が適用される可能性がある、あるいは犯罪が疑われる場合、尋問・調査の時間は24時間を超えてはならない。国家安全機関は呼び出された者に必要な飲食と休憩時間を提供しなければならない。連続召喚は厳禁とする。

 通知できない、あるいは調査を妨害する可能性のある状況を除き、国家安全機関は速やかに呼び出した理由を呼び出された者の家族に通知しなければならない。上述の状況が解消された後、直ちに呼び出された者の家族に通知しなければならない。

 

第二十八条 国家安全機関がスパイ行為を調査する際、地級市以上の国家安全機関の責任者の承認を得て、法に基づいてスパイ行為にかかわる人身、物品、場所に対して検査を行うことができる。

 女性の身体を検査する際、女性職員が行わなければならない。

 

第二十九条 国家安全機関がスパイ行為を調査する際、設置区の地級市以上の国家安全機関の責任者の承認を得て、スパイ行為の疑いのある人員の関連財産情報を照会することができる。

 

第三十条 国家安全機関がスパイ行為を調査する際、設置区の市級以上の国家安全機関の責任者の承認を得て、スパイ行為に使用した疑いのある場所、施設あるいは財物を法に基づいて封印・留置・凍結することができる;調査されているスパイ行為と無関係の場所、施設あるいは財物を封印・留置・凍結してはならない。

 

第三十一条 国家安全機関の職員が反スパイ活動において講ずる調査、証拠収集、呼び出し、検査、照会、封印、留置、凍結などの措置は、二人以上で行い、関連規定に基づいて職員証および関連法律文書を提示し、かつ関連人員は関連調書などの書面資料に署名、捺印しなければならない。国家安全機関の職員が検査、封印、留置などの重要な証拠収集活動を行う際、すべての過程を録音・録画し、調査に備えて保存しなければならない。

 

第三十二条 国家安全機関がスパイ行為の状況を調査・把握し、関連する証拠を収集している時は関連する個人と組織は事実を提供しなければならず、拒否することはできない。 

 

第三十三条 出国後、国家安全に危害を及ぼす、あるいは国家の利益に重大な損失をもたらす可能性のある中国公民に対して、国務院の国家安全主管部門は一定期間出国を認めないことを決定し、移民管理機構に通知することができる。 スパイ行為の疑いのある者に対して、省級以上の国家安全機関は移民管理機構にその出国を認めないと通知することができる。

 

第三十四条 入国後に中華人民共和国の国家安全活動に危害を及ぼす可能性があると判断される外国人は、国務院の国家安全主管部門が移民管理機構にその入国を認めないと通知することができる。

 

第三十五条 国家安全機関が出国を認めない、あるいは入国を認めないと通知した者に対して、移民管理機構は国の関連規定に基づいて執行しなければならない;出国・入国を認めない状況が解消されたならば、国家安全機構は速やかに出国・入国を認めない決定を取り消し、かつ移民管理機構に通知しなければならない。

 

第三十六条 国家安全機関はスパイ行為に関わるネットワーク情報の内容又はサイバー攻撃等のリスクを発見した場合、「中華人民共和国サイバーセキュリティー法」が規定する職責分業に基づき、直ちに関連部門に通報し、法律に基づき処置するか、あるいは電信業務経営者、インターネットサービスプロバイダに速やかに脆弱性を修復し、ネットワークの防御を強化し、伝送を停止し、プログラムとコンテンツを削除し、関連するサービスを一時停止し、関連するアプリケーションを削除し、関連するウェブサイトを閉鎖するなどの処置・措置を講じ、関連する記録を保存するよう命じなければならない。状況が緊急で、直ちに措置を取らなければ国家安全に深刻な危害を及ぼす場合、国家安全機関は関連機関に脆弱性を修復し、伝送を停止し、関連するサービスの停止を命じ、関連部門に通報する。

関連措置を講じて、上述の情報の内容またはリスクが解消された場合、国家安全機関と関係部門は速やかに関連する伝送とサービスを再開する決定をしなければならない。

 

第三十七条 国家安全機関は反スパイ活動の必要から、国の関連規定に基づいて、厳格な承認手続きを経て、技術偵察措置と身分保護措置を講じることができる。

 

第三十八条 本法の規定に違反し 犯罪の疑いがあり、関連事項が国家秘密あるいはインテリジェンスに該当するか否かに対して鑑定を行う必要がある、および危害を及ぼす結果に対して評価を行う必要がある場合、国家保密部門あるいは省・自治区・直轄市の保密部門が手順に従って一定期間内に鑑定と評価を行う。

 

第三十九条 国家安全機関は調査を経て、スパイ行為に犯罪の疑いがあることを発見した場合、《中華人民共和国刑事訴訟法》の規定に従って立件・調査しなければならない。

 

第四章 保障と監督

 

第四十条 国家安全機関の職員が法に基づいて職責を履行する際、法律による保護を受ける。

 

第四十一条 国家安全機関が法に基づきスパイ行為を調査・把握し、関連する証拠を収集する際、郵便・宅配便などの物流運営団体と電信業務経営者、インターネットサービスプロバイダは必要な支援と協力を提供しなければならない。

 

第四十二条 国家安全機関の職員が緊急任務を執行する必要から、職員証を提示することで、公共交通機関に優先的に乗り、優先的に通行するなどの通行の便宜を受けることができる。

 

第四十三条 国家安全機関の職員が法に基づいて任務を執行する際、規定に基づいて職員証を提示し、関連する場所、団体に入ることができる;国の関連規定に基づいて、承認を得て、職員証を提示することで、進入を制限している関連地区、場所、団体に入ることができる。

 

第四十四条 国家安全機関は反スパイ活動の必要から、国の関連規定に基づいて、国家機関、人民団体、企業・事業組織とその他の社会組織および個人の交通手段、通信手段、場所と建物等を優先的に使用する、あるいは法に基づいて徴用することができ、必要な時には、関連する活動場所や施設・設備を設けることができるが、任務完了後は速やかに返還あるいは原状回復し、かつ規定に基づいて相応の費用を支払わなければならない;損失が発生した場合、補償しなければならない。

 

第四十五条 国家安全機関は反スパイ活動の必要から、国の関連規定に基づいて、海関(税関)、移民管理などの検査機関の関係者の通関の便宜、関係資料や機材等の検査免除を要請することができる。関連検査機関は法に基づいて協力しなければならない。

 

第四十六条 国家安全機関の職員が任務執行のために、あるいは個人が反スパイ活動任務に協力するために、本人あるいはその近親者の人身の安全が脅かされた場合、国家安全機関は関連部門を共同で法に基づいて必要な措置を講じ、保護、救助しなければならない。

 個人が反スパイ活動の支援・協力のために、本人あるいはその近親者の人身の安全が危険に直面した場合、国家安全機関に保護を要請することができる。国家安全機関は関連部門と共に法に基づいて保護措置を講じなければならない。

 個人や組織が反スパイ活動の支援・協力によって財産に損失が発生した場合、国の関連規定に基づいて補償を行う。

 

第四十七条 反スパイ活動で貢献し、かつ適切な場所に配置する必要のある者に対して、国は適切に配置する。

 公安、民政、財政、衛生健康、教育、人材資源と社会保障、退役軍人事務、医療保障、移民管理などの関連部門および国有企業・事業団体は国家安全機関に協力して適切な場所への配置をしっかり行わなければならない。

 

第四十八条 反スパイ活動を実施する、あるいは反スパイ活動の支援・協力によって身体に障害を負った、あるいは犠牲・死亡した者に対して、国の関連規定に基づいて相応の補償・優遇を与える。

 

第四十九条 国は反スパイ分野の科学技術・イノベーションを奨励し、反スパイ活動において科学技術の役割を発揮させる。

 

第五十条 国家安全機関は反スパイの専門的力量のある人材チームの建設と専門訓練を強化し、反スパイ活動の能力を向上させなければならない。 国家安全機関の職員は計画的に政治・理論と業務研修を行わなければならない。研修は理論と実践を結び付け、必要に応じて教育を施し、実際の効果を重んじ、専門能力を向上させなければならない。

 

第五十一条 国家安全機関は内部監督と安全審査制度を厳格に実行し、その職員に法律と紀律等の遵守状況の監督を行い、かつ法に基づいて必要な措置を講じ、定期的あるいは不定期に安全審査を行わなければならない。

 

第五章 法律責任

 

第五十二条 いかなる個人と組織も国家安全機関とその職員の職権を超える、職権を濫用するおよびその他の違法行為に対して、上級の国家安全機関あるいは監察機関、人民検察院等の関連部門に告発・告訴する権利を有する。告発・告訴を受理した国家安全機関あるいは監察機関、人民検察院等の関連部門は速やかに事実を精査し、法律に基づき処理し、かつ処理結果を速やかに告発者、告訴者に告知しなければならない。

 国家安全機関の活動を支援・協力した、あるいは法に基づいて告発・告訴した個人と組織に対して、いかなる個人と組織も抑圧や攻撃・報復をしてはならない。

 

第五十三条 スパイ行為を実施し、犯罪を構成する場合、法に基づいて刑事責任を追及する。

 

第五十四条 個人がスパイ行為をして、なお犯罪を構成しない場合、国家安全機関が警告を与えるか、あるいは15日以下の行政拘留を科す、単独で科するかあるいは5万人民元以下の罰金を併科し、違法所得が5万人民元以上の場合、単独で科するかあるいは違法所得の倍以上5倍以下の罰金を併科し、かつ関連部門が法に基づいて処罰することができる。

 他人がスパイ行為を行ったことを知りながら、それに対して情報、資金、物資、労務、技術、場所などの支援・協力を提供し、あるいは隠し、庇い、なお犯罪を構成しないものは、前項の規定に基づいて処罰する。

 団体に前二項の行為があった場合、国家安全機関は警告を与え、単独で科するかあるいは50万人民元以下の罰金を併科し、違法所得が50万人民元以上の場合、単独で科するか違法所得の倍以上5倍以下の罰金を併科し、かつ直接責任を負う主管者とその他の直接責任者に対して、第一項の規定に基づいて処罰する。

 国家安全機関は関連する団体、人員の違法状況と結果に基づいて、関連主管部門に、法に基づいて関連業務への従事、関連サービスの提供を停止するよう命じる、生産停止・営業停止するよう命じる、関連する許可証を取り上げる、あるいは登記を取り消すよう建議することができる。関連主管部門は行政処理の決定状況を国家安全機関に速やかにフィードバックしなければならない。

 

第五十五条 スパイ行為を実施し、自首するあるいは立功表現のあるものは、処罰を軽くする、軽減するあるいは免除することができる。重大な立功表現のあるものは、奨励を与える。

 国外で強要される、あるいは騙されてスパイ組織、敵対組織に参加し、中華人民共和国の国家安全に危害を及ぼす活動に従事した場合、速やかに中華人民共和国の在外機構に状況をありのままに説明する、あるいは入国後に直接または所在する団体を通じて速やかに国家安全機関に状況をありのままに説明し、かつ悔い改めた者は、責任を追及しなくてもよい。

 

第五十六条 国家機関、人民団体、企業・事業組織とその他の社会組織が本法の規定に基づいて反スパイ安全防止義務を履行しない場合、国家安全機関は是正するよう命じることができる;要求に基づいて是正しない場合、国家安全機関は関係する責任者を呼び出し、必要な場合には呼び出しの状況を当該団体の上級主管部門に通報することができる;危害を及ぼす結果、あるいは良くない影響が生じた場合、国家安全機関は警告を与え、通報・譴責することができる;状況が深刻な場合、責任を負う指導者と直接責任者に対して、関連部門が法に基づいて処罰することができる。

 

第五十七条 本法第二十一条の規定に違反して建設プロジェクトを新規・改造・拡張建設した場合、国家安全機関は是正するよう命じ、警告を与える;是正を拒否する、あるいは状況が深刻な場合、建設あるいは使用を停止するよう命じる、許可証書を一時差し止める、又は取り上げる、あるいは関連主管部門に法に基づいて処理するよう建議する。

 

第五十八条 本法第四十一条の規定に違反した場合、国家安全機関は是正するよう命じ、警告を与える、あるいは通報・譴責する;是正を拒否する、あるいは状況が深刻な場合、関連主管部門が関連法律法規に基づいて処罰する。

 

第五十九条 本法の規定に違反し、拒否してデータの証拠収集への協力を拒否した場合、国家安全機関は《中華人民共和国データセキュリティ法》の関連規定に従って処罰する。

 

第六十条 本法の規定に違反し、次のいずれかの行為があり、犯罪を構成する場合、法に基づいて刑事責任を追及する;なお犯罪を構成しない場合、国家安全機関は警告を与える、あるいは10日以下の行政拘留を科し、3万人民元以下の罰金を併科することもできる:

(一)反スパイ活動に関する国家秘密を漏洩する;

(二)他人にスパイ犯罪行為のあることを知りながら、国家安全機関がその関連状況を調査し、関連する証拠を収集する際、提供を拒否する; 

(三)国家安全機関の法に基づく任務執行を故意に妨害する; 

(四)国家安全機関が法に基づいて封印・留置・凍結した財物を隠匿、移転、換金、破壊する; 

(五)スパイ行為の事件に関わる財物と知りながら、それを隠匿、移転、買い上げ、代理販売する、あるいはその他の方法で粉飾、隠し立てする; 

(六)法に基づいて国家安全機関の活動を支援・協力する個人と組織に対して攻撃・報復を行う。

 

第六十一条 国家秘密に属す文書、データ、資料を不法に取得・所持する、及び特殊スパイ装備を不法に製造・販売・所持・使用し、なお犯罪を構成しない場合、国家安全機関が警告を与える、あるいは10日以下の行政拘留を科す。

 

第六十二条 国家安全機関が本法に基づいて封印・留置・凍結した財物について、適切に保管し、かつ以下の状況に応じて個別に処理しなければならない。

(一)犯罪の疑いのある場合は、《中華人民共和国刑事訴訟法》等の関連法律の規定に従って処理する;  

(二)なお犯罪を構成しないが、違法の事実がある場合は、法に従って没収すべきものは没収し、法に従って廃棄すべきものは廃棄する。  

(三)違法の事実がない場合、あるいは事件と関係の無い場合は、封印・留置・凍結を解除し、かつ速やかに関連する財物を返還する;損失が発生した場合、補償しなければならない。

 

第六十三条 事件に関わる財物が次のいずれかの状況に該当する場合は、法に基づいて押収・没収、又は潜在的リスクの除去という措置を行わなければならない。  

(一)不法に取得した財物とその果実・収益、スパイ行為の実施するために使用に供した当人の財物; 

(二)不法に取得・所持する国家秘密に該当する文書、データ、資料、物品;

(三)不法に製造・販売・所持・使用したスパイ専用装備。

 

第六十四条 行為者およびその近親者またはその他の関係者が、行為者の実施したスパイ行為によってスパイ組織およびその代理人から得た全ての利益は、国家安全機関が法に基づいて押収・没収等の措置を講じる。

 

第六十五条 国家安全機関が法に基づいて徴収した罰金および没収した財物は、一律に国庫に納入する。

 

第六十六条 外国人が本法に違反した場合、国務院の国家安全主管部門は指定した期日までに出国させ、入国禁止期限を決定することができる。定めた期限内に出国しない場合、強制送還することができる。

 本法に違反した外国人で、国務院の国家安全主管部門が国外追放を決定した場合、国外追放の日から10年間は入国を禁止し、国務院の国家安全主管部門の処罰決定を最終決定とする。

 

第六十七条 国家安全機関が行政処罰を決定する前に、当事者に決定する行政処罰の内容と事実・理由・根拠、および当事者が法に基づいて享受する陳述・弁明・聴聞請求等の権利について告知し、《中華人民共和国行政処罰法》の関連規定に従って実施しなければならない。

 

第六十八条 当事者が行政処罰の決定、行政強制措置の決定、行政許可の決定に不服がある場合、決定書を受領した日から60日以内に、法に基づき再議を申請することができる。;再議の決定に不服がある場合、再議決定書を受領した日から15日以内に法に基づき人民法院に訴訟を提起することができる。

 

第六十九条 国家安全機関の職員が職権を濫用する、職務をおろそかにする、私欲のために不正を働く、あるいは不法に拘留する、拷問で自白を迫る、暴力を用いて証人の証言を強要する、規定に違反して国家秘密・業務上の秘密・商業秘密とプライバシー、個人情報を漏洩する等の行為があり、法に基づき処分し、犯罪を構成する場合、法に基づいて刑事責任を追及する。

 

第六章 附則

 

第七十条 国家安全機関が法律・行政法規と国の関連規定に基づいて、スパイ行為以外の国家安全に危害を及ぼす行為を防止・制止・処罰する職責を履行する際、本法の関連規定を適用する。

 公安機関が法に基づいて職責を履行する過程において国家安全に危害を及ぼす行為を発見し処罰する際、本法の関連規定を適用する。

 

第七十一条 本法は本年7月1日より施行する。

 

 

 

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