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日本の宇宙関連企業が拓く未来に期待

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 一昨日(9月1日)は、早朝から政府の防災訓練(午前7時10分に東京23区を震源とする最大震度7の強い地震が発生したという想定で、徒歩による官邸参集⇒緊急災害対策本部⇒臨時閣議)に参加しました。

 その後、閣議、閣議後記者会見などを終え、午後からは、以前から注目していた宇宙関連企業2社を視察させていただきました。

 

 1社目は、独自の小型SAR衛星開発に取り組んでおられるSynspective(シンスペクティブ)社です。

 

 SAR(合成開口レーダー)は、悪天候や夜間でも広範で詳細な撮影が可能で、日本が誇る技術です。

 例えば、災害発生時には、早期の被災状況確認によって、迅速な災害対応への貢献が期待されます。

 

 Synspective社が開発している小型SAR衛星は、実に詳細な撮像により、船舶の識別、森林資源の状況、海洋の状況、インフラ老朽化の状態なども把握できますので、安全保障、エネルギー資源確保(バイオマスや洋上風力発電など)、防災対策など、幅広い活用が期待できます。

 

 Synspective社の強みは、衛星開発のみならず、解析、ソリューション提案までを一貫して行っているところにあると感じました。

 

 同社では、小型SAR衛星を複数組み合わせ、30機のコンステレーションの構築を目指しておられ、これが実現すれば、世界のどの地域で災害が発生しても、準リアルタイムに観測することが可能になります。

 

 2社目は、世界に先駆けてスペースデブリ(宇宙ゴミ)除去技術の開発に取り組むAstroscale(アストロスケール)社です。

 

 Astroscale社では、軌道に存在するデブリへ接近し、デブリの状況を明らかにする「ADRAS-Jミッション」に使用される衛星を、実際に見せていただきました。

 

 「ADRAS-Jミッション」は、宇宙に数多く残されている過去に打ち上げられたロケットの上段などの大型スペースデブリの除去に向けた大きな第一歩です。

 また、デブリの除去だけではなく、運用中あるいは故障した人工衛星に対する軌道上サービス(軌道変換サービス、燃料補給サービス、故障コンポーネントの交換サービス等)への応用の実現可能性を示すミッションでもあります。

 これは世界初となる試みですから、ぜひ成功して欲しいと思います。

 

 スペースデブリ対策については、「宇宙の持続的で安全な利用を確実なものにするために、スペースデブリを『これ以上増やさないこと』『削減すること』の必要性について、G7から声を上げよう」と、私が強く提案した件でもあります。

 スペースデブリ対策をG7で議題にすることについて、当初は消極的な国々もありましたが、今年5月に開催したG7科学技術大臣会合の議長として、大臣コミュニケに盛り込むことが出来ました。

 その直後のG7広島サミットでは、首脳による成果文書にも盛り込まれました。

 私が改訂を担当した新しい『宇宙基本計画』(令和5年6月13日閣議決定)にも、しっかりと書き込ませていただきました。

 

 Astroscale社が、世界最先端の技術をもって、スペースデブリの発生抑制と削減に貢献して下さることを、大いに期待しています。

 

 世界を牽引し、勢いがある2社を視察させていただき、日本の宇宙ビジネス、宇宙スタートアップ企業の将来性を改めて実感しました。

 

 新しい『宇宙基本計画』でも、「国際市場で勝ち残る意志と技術、事業モデルを有する企業を、重点的に育成し、支援する」ことを基本的なスタンスとしています。

 我が国の宇宙開発・利用を支える民間企業を支援するべく、宇宙政策を強力に推し進めてまいります。

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