研究機関からの情報漏洩対策②
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令和3年4月27日に、政府の「統合イノベーション戦略推進会議」で、『研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクに対する研究インテグリティの確保に係る対応方針について』が決定されました。
この中で、「所属機関における対応に関する取組」として、
「大学・研究機関等が、所属する研究者の人事及び組織のリスク管理として必要な情報(職歴・研究経歴、兼業等の所属機関・役職、当該機関外からの研究資金や研究資金以外の支援 及び当該支援の相手方)の報告・更新を受けるとともに、そのための利益相反・責務相反をはじめ関係の規程及び管理体制を整備し、報告・更新を受けた情報に基づき、産学連携活動における利益相反・責務相反管理と同様に、適切なリスクマネジメントを行えるよう、政府は以下の取組を行う」
とされています。
その「政府の取組」としては、
「研究者、大学・研究機関等に対する説明会やセミナーを開催し、国内外における新たなリスクと想定される事例や、研修におけるチェックリストの説明等を含む具体的な対応取組例の共有等も行いながら、理解醸成を促す。【内閣府、文部科学省等】」
「本対応方針に基づき、所管する大学・研究機関等に、関係の規程や管理体制の整備の必要性に関する周知・連絡を行うとともに、関係者の負担に配慮し所要の支援を行う。【大学・研究機関等の所管府省】」
と記されています。
政府では、フォローアップとして、令和4年度に、大学・研究機関等における
①利益相反・責務相反に関する規定の整備状況、
②適切なマネジメントを行うことができる体制の整備状況、
③研修強化等、関係者への適切な理解を促す取組の実施状況、
に関して調査を行い、今年3月に公表しました。
その後、6月15日に、産総研の中国籍職員が『不正競争防止法』違反の容疑で逮捕されました。
これを受け、6月20日に、私の名前で国立研究開発法人を所管する官庁の担当局長宛に、研究インテグリティの確保の徹底を要請する通知を発出するとともに、6月29日には、改訂した『研究の国際化・オープン化に伴う新たなリスクに対するチェックリスト(雛形)』を添付した「研究インテグリティの確保のためのリスクマネジメントの仕組み整備の重要性」に関する事務レベルの通知を発出しました。
昨年度に続き、今年度もフォローアップを行う予定です。
『研究の国際化・オープン化に伴う新たなリスクに対するチェックリスト』(今年6月改訂版)の趣旨を踏まえ、昨年度の調査項目に加え、
①報告された情報の事実関係を客観的に確認する仕組みの整備状況、
②リスクが懸念される場合に、更に情報を把握し、リスクが顕在化する前に対処する仕組みの整備状況、
などに関しても、状況を把握し、令和5年度内に公表することを予定しています。
大学・研究機関のマネジメント層の皆様には、改訂版チェックリストを十分にご活用いただき、研究インテグリティ確保の体制を強化していただきますよう、お願い申し上げます。