宇宙開発を巡る動向
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中国は、「宇宙強国の建設」を目標に掲げ、その一環として、独自の宇宙ステーションの建設を着々と進めています。
2016年に中国の国務院が発表した『宇宙白書』には、中国は「宇宙強国の建設」を加速し、宇宙産業基盤の能力を向上し続け、重要技術と最先端技術の研究を強化する旨が記載されていました。
具体的には、有人宇宙飛行、月面探査、新世代打上げロケットなどの重要プロジェクトを継続的に実施し、宇宙インフラシステムを構築するということでした。
2021年版の『宇宙白書』では、5年間で、新しい開発段階として、宇宙科学・宇宙技術・宇宙応用の全面的な開発の推進による「宇宙強国の全面的な建設」を開始することを謳っていました。
中国は、昨年(2021年)、宇宙飛行士が居住する為のコアモジュール「天和」を打ち上げました。
今年(2022年)7月には、無重力実験を行うためのモジュール「問天」を打ち上げ、双方をドッキングさせました。
今後、年内にも第2の実験モジュール「夢天」を打ち上げてドッキングさせ、完成させる予定だと聞いています。
日本は、こうした中国の動きに先駆け、1998年の軌道上での組立開始から約24年間にわたり、米国、欧州、カナダ、ロシアとともにISS(国際宇宙ステーション)を運用してきています。
我が国の宇宙飛行士が、船内・船外で様々な宇宙活動を行い、貴重な経験や知見を蓄積してきています。
今後も、ISSの運用を通じ、月面を探査するアルテミス計画などで必要となる技術の実証の場としても活用するなど、「宇宙先進国」としての地位を更に高めていきたいと考えています。
アルテミス計画で必要となる技術とは、深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術、重力天体離着陸技術、重力天体表面探査技術、水・空気再生、自動ドッキング、実験の遠隔化・自動化・自律化、高効率の環境制御・生命維持システムなどです。
ISSは、日本、米国、欧州、カナダ、ロシアによって2024年までは運用されることとされています。
その後については、米国から2030年までの運用延長への参加について提案を受けています。ウクライナ情勢は、予断を許さない状況です。ロシア以外でISSに参加している米国、欧州、カナダと連携を密にして、日本としての方針を判断してまいりたいと存じます。