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日本の国防⑨:防衛予算の増額

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 昨年10月の衆議院選挙で我が党が掲げた『自民党令和3年政権公約』には、「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、防衛関係費の増額を目指します」と書きました。

 

 本来、防衛費は「対GDP比何%」と考えるのではなく、本当に必要な費目を積み上げていかなければいけません。

 

 しかし、私は、日本の国防力を抜本的に強化する為に必要な費用を積み上げると、結果的には、対GDP比は2%を超えていくと思います。

 

 『自民党令和3年政権公約』には、安全保障について多くの政策を書きましたが、幾つかを例示します。

 

  • 「わが国の弾道ミサイル等への対処能力を進化させるとともに、相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させるための新たな取組みを進めます」

 

  • 「本格的な侵略事態のみならず、ハイブリッド戦や様々な複合事態に対しても、装備や法律上の権限などを十分に付与して、万全の備えを図ります」

 

  • 「AI・極超音速などのゲームチェンジャー技術や、次期戦闘機などの研究開発を強化・加速化し、先進的技術の活用推進により技術的優越を確保するとともに、防衛技術・産業基盤を強化します」

 

  • 「わが国自身の防衛力強化等を通じて、日米同盟の抑止力・対処力を強化します」

 

 これらを実現するだけでも、大幅な防衛費の増額が必要です。

 

 質と量の両面で高まる脅威を抑止し、対処するべく、「陸」「海」「空」といった従来の領域と「宇宙」「サイバー」「電磁波」といった新たな領域を組み合わせた戦闘に適応する必要があります。

 

 宇宙分野では、2022年3月に新編された「宇宙作戦群」を拡充する予定です。

 サイバー分野では、同じく3月に新編された「自衛隊サイバー防衛隊」の体制強化や高度な知見を有する部外の人材の登用により、サイバー防衛能力の抜本的強化が必要です。 

 電磁波分野でも、新編した「電磁波作戦部隊」の拡充、将来技術の研究により、電磁波領域における能力を強化しなくてはなりません。

 

 令和4年度(2022年)防衛関係費の当初予算は、総額5兆1788億円(米軍再編関係経費等を除く)で、過去最大となる予算を確保しましたが、内訳を見ますと、人件費と糧食費が42%、艦船や航空機等の燃料や装備品の修理など維持費が24.7%です。

 新しい装備品の購入費は15.8%だけです。

 これから特に重要な研究開発費は3.2%に過ぎず、金額では1644億円です。

 

 令和4年度(2022年)防衛関係費の当初予算に、SACO・米軍再編関係経費を足しても、総額5兆4005億円で、対GDP比では0.96%です。

 令和4年度当初予算と令和3年度補正予算を足すと、6兆1744億円となり、ようやく対GDP比は1.09%です。

 

 2020年度の国防費を当時の購買力平価(OECD発表値)に基づいて米ドル換算した資料がありますが、日本は約490億ドル、韓国は約577億ドル、アメリカは6896億ドルで、日本は韓国に抜かれています。対GDP比でも、日本は0.93%、韓国は2.61%、アメリカは3.29%でした。

 

 ロシアのウクライナ侵略後、ドイツのショルツ首相は、軍事費を対GDP比2%以上にするという国防計画を発表しました。

 スウェーデンやデンマークも、国防費を対GDP比2%に増額すると発表しました。スウェーデンは国軍を6万人から9万人にするとしています。

 ポーランドの国会では、来年の国防費を対GDP比3%に増額し、12万人の国軍を25万人に倍増することを審議しています。

 

 日本は、世界最多の核兵器を保有する「ロシア」、米国防総省の分析では核弾頭の保有数が10年間で5倍増と見込まれる「中国」、核実験とミサイル発射を繰り返し強行する「北朝鮮」と、いずれの国・地域にも隣接し、三方を囲まれた「世界有数の核兵器の最前線」に国土を構えているのです。

 ロシアの脅威に警戒を強めている欧州諸国よりも厳しい環境に置かれていると考えた方が良いでしょう。

 

 真に必要な予算は確保し、国防力を抜本的に強化していくべき時です。

 勿論、納税者である国民の皆様に、日本が直面している脅威について説明をして、納得とご理解をいただくことが前提です。

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