立憲民主党の勘違い①憲法改正に係る発言
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昨日の憲法記念日には、日本国憲法の改正を求める方々の集会、護憲を主張する方々の集会など、各地で様々なイベントが開催されたことだと思います。
いわゆる護憲派の方々の集会に、共産党や社民党の議員とともに出席された立憲民主党の奥野総一郎衆議院議員(衆議院憲法審査会の野党筆頭理事)が、次の発言をされたと報道されています。
「ロシアより許せないのは、今の与党だ。どさくさ紛れにウクライナ問題をダシにして、改憲に突き進もうという姿勢を許すわけにはいかない。どさくさ紛れに改憲を試みよう、国民をダマそうとしている」
大いなる勘違いであり、自民党が長年にわたって憲法改正を目指して真摯な取組みを続けてきたことを侮辱する発言です。
ロシアがウクライナ侵略を開始したのは、今年(2022年)2月24日です。
昨日も書きましたが、自民党は、2005年には、全条文を提示した改正案として『新憲法草案』を発表しました。
2012年には、2005年の旧草案を全面的に再検討し、内容を補強した『日本国憲法改正草案』を発表しました。
2007年の『憲法改正国民投票法』の制定、衆参両院への「憲法審査会」設置についても、自民党は、主導的な役割を果たしました。
2018年には、自民党は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理を堅持しつつ、日本が直面する国内外の情勢等に対応する為、条文イメージ(たたき台素案)として、①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実の4項目を提示しました。
本来でしたら、既に自民党は全条文案を作成しているのですから、丸ごと国会の憲法審査会に提出したいところですが、衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成が無くては発議すらできないので、喫緊のテーマに絞り込んで議論を進めようとしているのです。
2021年12月には、自民党の取組みを一層加速するべく、従来の「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改称し、古屋圭司本部長のもとで再出発しました。
岸田文雄総裁は、「国会の議論」と「国民の皆様の理解」を「車の両輪」として進める決意を述べておられます。
これを受け、古屋本部長からは、党の47都道府県連全てに憲法改正実現に向けた組織を設置し、研修会を積極的に開催することで、世論形成を促進する方針が示されました。私の地元である奈良県でも、既に憲法研修会を開催しました。
憲法は「国民のもの」とされており、手続として「国民投票」を要する唯一の法典です。
憲法改正に関して、立法府の使命は発議にとどまり、改正の是非を決するのは主権者たる国民の皆様です。従って、発議なくして、国民の皆様が憲法への意思表示を行う機会は確保されません。与野党の立場を超えて、熟議の上、国民の皆様に判断を仰ぐことが立法府の責務だと思います。
旧帝国憲法、現行憲法ともに、国民投票を経ずに公布・施行に至りました。
すなわち、我が国は民主主義国家でありながら、憲政史上、未だ国民の皆様が憲法制定に関った経験を有さないのです。
従って、憲法改正を行うことは、我が国の歴史上初めて、国民の皆様が参加し、国民の皆様の手で作られた憲法が誕生することにほかなりません。
その時、憲法は、真に「国民のもの」となるのだと考えます。
奥野議員が仰ったように「どさくさ紛れにウクライナ問題をダシにして、改憲に突き進もうという姿勢」などという軽い心構えではありませんし、「国民をダマそうとしている」はずもありません。