国連改革①:人道支援の円滑化
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昨日(5月1日)、ドバイに在るUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の備蓄倉庫から、毛布などの人道救援物資をウクライナ被災民の方々に届ける為に、自衛隊機がUAEに向けて飛び立ちました。
先月、UNHCRは、日本政府に対し、ウクライナ人の方々が避難しているポーランドとルーマニアに向け、人道救援物資の輸送に関する協力要請を行いました。
これを受け、日本政府は、4月後半から、インド・ムンバイのUNHCRの備蓄倉庫に在る毛布などの人道救援物資を自衛隊機で輸送するべく、インド政府と交渉していました。
ところが、『ウクライナ被災民救援国際平和協力業務実施計画』と『政令』の閣議決定間際の4月20日深夜になって、インド政府から自衛隊機の受け入れを拒否されるという事態に直面しました。
既に自民党政調会では、4月19日の部会で『実施計画』などを了承しており、21日の政調審議会、22日の総務会と、22日の閣議決定を目指して党議決定手続きを進める段取りでしたから、21日の政調審議会冒頭で、政府側の説明を求めました。
政府の説明によると、「事務方からは前向きな回答を頂いていたが、ぎりぎりになって政務レベルで受け入れを断られた」ということでした。
それまでの国連におけるインドの行動、つまり、ロシアに配慮して安保理決議や総会決議の投票を棄権していたことを考えますと、外務省の詰めが甘かったとも言えますので、政調審議会としては政府に対して苦言を呈しました。
しかし、本来は、輸送支援を依頼してきたUNHCRがインド政府との交渉を担うべきです。
その後、UAE・ドバイの備蓄倉庫からの人道救援物資の輸送に関しては、『実施計画』も『政令』も閣議決定することができ、昨日の自衛隊機出発に至りました。
今後のことも考え、この「UNHCRの人道救援物資の備蓄倉庫の所在」について、外務省に照会しました。
- アジアでは、インド、中国、パキスタン。
- 中東では、アラブ首長国連邦、ヨルダン。
- 中央アジアでは、ウズベキスタン。
- 欧州では、デンマーク。
- アフリカでは、ガーナ、カメルーン、ケニア。
- 北中南米では、パナマ。
この中には、中ロと関係が深いと思われる国も、数多く見受けられます。
国際情勢は混迷の一途を辿っています。
世界の国々は概ね、
①日米など「自由・民主主義・人権・法の支配といった普遍的価値を掲げる国々」、
②中ロなど「専制体制の下、力による一方的な現状変更の試みを繰り返す国々」、
③「両者に属さず、多角的な外交を展開する国々」、
に大別されるようになりました。
そのような中で、国連主導による人道支援が、これらの国際情勢の影響を受けて頓挫するようなことがあってはなりません。
国連に関しては、「人道支援が円滑に進むような改善」も必要だと考えます。
UNHCRが、備蓄倉庫の配置を見直すことは必要だと思います。
また、日本が、インドの教訓を踏まえ、UNHCRの人道救援物資の備蓄倉庫を国内に誘致するなど、日本主導で人道支援体制の構築に取り組んでいくことも考えるべきではないでしょうか。