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ロシアのウクライナ侵略①:厳しい現実とリスクの最小化

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 2月24日にロシアがウクライナ侵略を開始してから、1カ月余りが経過しました。

 

 ロシア軍の攻撃によって命を落とされた多くのウクライナ国民の皆様を悼み、御遺族にお悔やみを申し上げます。どれ程の悔しさと深い悲しみの中に居られることかと思いますと、言葉も見つかりません。

 そして、負傷された方々、思い出の詰まった住居や故郷の街を失った方々、家族と離れ離れになってしまわれた方々の痛みに思いを致し、お見舞いを申し上げます。

 

 日本政府は、国際社会と結束してロシアやベラルーシへの経済制裁を履行し、ウクライナへの装備品移転や緊急人道支援を行っていますが、ロシアの侵略行為を失敗に終わらせるまで、腹を据えて対応を続けることが必要です。

 

 この1カ月余りで、私達は、厳しい現実を目の当たりにしました。

 

  • 「国連安保理の拒否権」を持つ大国が「外交」を支配すること。
  • 「核兵器」を持つ大国が「軍事」を支配すること。
  • 「資源」を持つ大国が「経済」を支配すること。

 

 そのいずれも持たない日本の隣国は、全てを持っているロシアと中国です。

 

 世界最多の核兵器を保有するロシア、米国防総省の分析では核弾頭の保有数が10年間で5倍増と見込まれる中国、核実験とミサイル発射を繰り返し強行している北朝鮮に、三方を囲まれた「世界有数の核兵器の最前線に国土を構えている」という現下の日本の地政学的な環境、地理について、決して忘れてはなりません。

 激化する国際情勢の中で、どうやって生き残るのか。私達は、現実を直視した上で、しっかりと備えを講じていかなければなりません。

 

 自民党政調会では、国防力の強化は勿論、緊急時にも国民の皆様の命と暮らし、産業を守る為に、様々な「リスクの最小化」に向けた議論と政策構築に着手しています。

 

 第1に、昨年の12月20日から、『国家安全保障戦略』『防衛大綱』『中期防衛力整備計画』の見直しに向けた議論を開始し、安全保障調査会(小野寺五典会長)では、毎週、熱心な検討が行われています。 

 

 第2に、今年2月16日から、「首都機能のバックアップ」に関する議論を開始しました。大規模災害、テロ、紛争など緊急時に、立法、行政、司法、金融などの拠点を一時的に

移転して業務継続をする為の備えです。過去に議論されたことがある大規模な公共事業を伴う首都移転ではなく、あくまでも機能のバックアップ体制構築を目指します。

 社会機能移転分散型国づくり推進本部(高市早苗本部長)で検討を続けます。

 

 第3に、3月10日から、「食料安全保障」の確立に向けた議論を開始しました。

以前より取り組んでいた課題ではありますが、総合農林政策調査会(江藤拓会長)の中に専門組織として食料安全保障に関する検討委員会(森山裕委員長)を創りました。

 

 第4に、3月18日から、「資源・エネルギー安全保障」の議論を開始しました。

 日本の原油とLNG輸入の状況(2021年・財務省『貿易統計』)を見ますと、ロシアからの原油輸入比率は3.7%(金額ベース:量では3.6%)、LNGは8.7%(量では8.8%)ですが、仮に台湾有事が発生した場合には、台湾南側のバシー海峡を通過する原油は9割、LNGは6割に上りますから、たちまち死活問題です。

経済安全保障対策本部(高市早苗本部長)と総合エネルギー戦略調査会(額賀福志郎会長)の合同会議で、長期的視点を持って議論を進めます。

 

 第5に、先般、政調会から内閣に提言して実行された「原油高騰対策」(激変緩和事業の拡充)に加え、原油価格高値の長期化や食品や材料など多様な物品価格の高騰も視野に、3月30日から「原油・物価高騰対策」の議論を開始する予定です。

 先ずは、経済成長戦略本部(小里泰弘本部長)を中心に、検討を進めて頂きます。

 

 第6に、4月5日から、「国連改革」の議論も開始する予定です。

自民党内では、昔から議論があった課題ですが、今回のロシアのウクライナ侵略に関しても、ロシアが拒否権を行使したことによって、改めて国連の機能の限界を痛感しました。未だに敗戦国の日本が敵国条項の対象であることも問題です。

 外交調査会(衛藤征士郎会長)と外交部会(佐藤正久部会長)の合同会議で検討していただきます。

 

 第7に、4月中には、「サイバーセキュリティ対策」の議論を再開します。

 例えば、ウクライナは、2015年、2016年、2017年に、変電所へのサイバー攻撃を受けて大停電やデータ破壊の被害に遭っていますし、2017年には、オデッサ国際空港やキエフ地下鉄のシステム、チョルービリ(チェルノブイリ)の放射線レベル測定システムへの攻撃も受けています。

 日本を含む世界各国でも、サイバー攻撃被害が急増しています。命や財産や産業や社会機能を守る為に、サイバーセキュリティの高度化は急務です。

 過去に、自民党サイバーセキュリティ対策本部(当時:高市早苗本部長)から内閣に対しては、平成30年に『第1次提言』を、令和元年には『第2次提言』を提出しており、全ての提言項目が実行されたなら、日本のサイバー攻撃対策は相当に強化されるはずですが、未だ内閣で「検討中」の政策が24件、「未着手」の政策が3件残っており、いずれも法改正や組織改正など困難な課題です。

 政調会の組織を再構築してフォローアップを続けることとしました。

 

 未だ今国会提出予定の法律案(議員立法)の審査も複数残っている中ではありますが、政調会の各専門組織にフル稼働していただいて、皆で頑張ってまいります。

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