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予算委員会質疑報告⑧:経済安全保障⑤:機微技術流出の防止

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○高市委員 中国の国家情報法第七条でございますが、いかなる組織及び公民も、国家情報工作に協力しなければならない、国家は、国家情報工作に協力した個人と組織に対して保護を与える旨を規定しています。日本在住の中国の方々や企業にも情報収集協力義務が課されており、国防上や経済安全保障上の脅威となる可能性が高いのではないかと心配しております。

 例えば、極超音速兵器は、現在の日本の防空システムによる迎撃は困難だと指摘されています。この極超音速兵器開発の鍵となるのが、推進装置、設計、耐熱材料、流体力学など、日本が強みを持つ民生技術でございます。これらの関連技術を支える日本の大学や研究機関に中国科学院や国防七校の研究者が在籍し、中国に帰国後に中国の大学や研究機関で極超音速関連研究に従事している事例が多数確認されています。

 日本では、海外人材受入れ時のスクリーニングが甘くて、日本の先端技術が中国の武器、装備品の性能向上を下支えしてしまっている可能性が高いということを懸念しております。

 例えば、フランスやイタリアでは、ビザ申請を受けた段階で外務省がスクリーニングを実施し、治安機関、情報機関に対する照会も行っていると承知しています。

 日本の出入国在留管理庁も、昨今の状況に鑑み、留学生や研究者の受入れ審査を運用面で強化していると承知しております。

 法務大臣に二点伺います。

 留学生や研究者には、どのような内容を申告させているのでしょうか。また、これまで申告内容によって在留資格を付与しなかった事例というのはございますでしょうか。

 

○古川国務大臣 お答えいたします。

 まず一点目でございますけれども、御指摘のとおり、現在、機微技術管理の重要性というものは国際的にも大変これは高まっておりまして、我が国におきましても、機微技術の流出防止の観点から、留学生、外国人研究者の受入れに当たりましては、その審査を一層強化する必要がございます。

 そこで、具体的には、在留資格認定証明書の交付申請などの審査に当たりまして、これは通常、受入先、あるいは学歴、本邦でどのような活動内容をするのかというようなことを申請書等で確認しておりますけれども、これに加えまして、機微技術の流出防止の観点から、必要に応じまして、これまでの実績、あるいは具体的な研究内容等に関する資料の提出などを求めることといたしております。

 そして、二点目の御質問でございますけれども、その御質問の事例の有無につきましては、今後の審査など、この取組に支障が出るおそれがございます。あらかじめ手のうちを明かすようなことになってはならないというようなこともございますので、ここでつぶさなことをお話をすることは差し控えたいと思いますけれども、しかし、私の方から申し上げられますことは、きちんとした、厳格、的確な審査を行って、その結果、不交付決定を行うということは当然あり得るということでございます。

 法務省としては、これまでもこの機微技術流出防止という観点からしっかりした審査を行ってきておりますけれども、これからも、引き続き関係省庁とも連携をしながら、引き続き、この厳格かつ的確な審査を実施をし、それをもって機微技術の流出防止に努めたい、このように考えております。

 

○高市委員 在留資格を付与しなかった事例があるかないかというのは、手のうちを見せることにはならないと思います。むしろ、先ほど列挙された申請内容について明らかにしておられるわけですので、ちょっと今の御答弁では実は納得できないのですが。

 それはさておき、英国には、大学院生レベルの外国人理系研究者をスクリーニングする制度がございます。身分事項、研究内容、発表論文、研究資金の財源、推薦人二人の身分事項までを申請させており、これは外務省が責任を持つということが法律で定められています。おおむね日本で申請されている内容と似ていると思うんですけれども、先ほど、研究資金の財源については特におっしゃらなかったと思うんですが、いかがですか。法務大臣に。

 

○古川国務大臣 研究資金の財源につきましては、そういうこともその背景を知る上での一つの要素だというふうに考えております。

 

○高市委員 しっかり申請内容に入れていただきたいと存じます。

 しかし、英国の場合も、ほぼほぼ日本と同じような内容を申請させているんですけれども、最近になりまして、共産党員か否かを確認していないじゃないかとか、千人計画への参加経験の有無、また、研究成果の提供を本国に約束したか否かといった項目が含まれていないじゃないかということ、それから、米国のように機微技術流出で摘発されたケースもないということから、制度の有効性というものに疑問の声が上がって、問題点が議論されていると聞いております。

 さらに、先ほど、私が、極超音速兵器のところで例示いたしましたように、これからの国防の在り方を左右するゲームチェンジャーとなる革新的技術はデュアルユーステクノロジー、つまり軍民両用技術でありまして、日本では、大半が防衛事業とは無関係の民間企業や学術機関で民生技術として研究開発されています。

 経済安全保障担当大臣に伺います。

 今は、とにかく今国会に提出をしていただく法律案の準備に没頭していただきたいんですが、今後、留学生や研究者の受入れ審査、法務省と連携してということでございますが、この受入れ審査やセキュリティークリアランスというものに関しても徐々に検討を進めていかれることだと思いますが、その場合、対象者や申請内容や技術分野をいかに定めていくべきか、望ましい在り方について、もしもお考えがあれば、伺います。

 

○小林国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、我が国といたしましては、諸外国の優秀な人材を集めて科学技術力の更なる発展を図る観点から、留学生や外国人研究者の受入れを進めてきているところであります。

 他方で、我が国の技術などの他国に対する優位性、ひいては国際社会にとっての不可欠性を確保していく観点からは、機微技術の流出防止の重要性が高まってきております。

 国際的にもこうした傾向が見られる中で、留学生や外国人研究者の受入れに当たりましては、大学や研究機関における内部管理の強化ですとか、あるいは受入れ時の審査の一層の強化に取り組む必要があると考えます。

 こうした観点から、昨年から、審査において必要とされる場合には、留学生や大学などの関係機関に対しまして、追加的に、これまでの職歴、学歴、あるいは資金提供者などの情報を求める運用を開始したところでございます。

 一方で、留学生や研究者の受入れ審査に当たっての対象者や技術分野につきましては、現時点で、審査の具体的内容が明らかになることにより今後の審査に支障が生じるおそれがありますことから、お答えは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしても、関係省庁が緊密に連携をして、適切な審査をこれからも行っていきたいと考えております。

 また、御指摘のいわゆるセキュリティークリアランスについてですけれども、これは、主要国を中心に、諸外国では、機微技術に関するものを含めまして、主として、政府が保有する秘密情報の保全等の観点から導入されているものと承知をしております。

 先端的な重要技術の保全につきましては、法制の手当てを講ずるべきだと認識しておりまして、現時点におきましては、経済安全保障法制に関する有識者会議を開催して、その在り方について、現在議論をいただいているところでございます。

 重要なことは、先端的な重要技術を官民が連携をして育てて、そして守っていくことであると考えておりまして、現在行われている有識者会議の議論なども踏まえながら、更に検討を深めてまいります。

 いずれにしても、議員御指摘のとおり、経済安保に関連して取り組まなければならない課題は多岐にわたっておりますので、関係省庁と連携をしながら、できることからスピード感を持って対応していきたいと思います。

 

○高市委員 できることから一歩一歩、日本の経済安全保障の強化をよろしくお願いをいたします。

 外務省に対しては、時間があれば質問するということで予備的通告をしておいたのですが、昭和三十五年二月外務省発表資料集第十号に収められている「在日朝鮮人の渡来および引揚げに関する経緯、とくに、戦時中の徴用労務者について」と題する昭和三十四年七月十一日の外務省記事資料について伺います。

 この外務省記事資料というのは、外務省としての正式発表のうち、外務報道官としての公式見解を表明する場合及び外務省より正式発表を行うものという位置づけだと外務省から伺いました。

 外務大臣に伺います。

 昭和三十四年七月十一日の外務省記事資料の記載内容は、現在においても、この調査結果が最新のものであり、外務省が訂正する必要がない公式見解だと考えてよいのか、それとも、その後、新たな調査が行われ、現在では無効なものなのか伺います。

 

○林国務大臣 今、委員から御指摘の記事の資料、存在について承知をしておるところでございます。

 当該資料に記載のある数字等が正確であるかどうかについては、それを否定する客観的な情報はないということでございますが、現時点で、その詳細について確認することはできないため、お答えすることが困難でございます。

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