予算委員会質疑報告②:給付の在り方
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○高市委員
次に、給付の在り方について伺います。
自民党は、衆議院選挙の政権公約で、非正規雇用者、女性、子育て世帯、学生を始め、コロナでお困りの皆様への経済的支援を行いますとお約束しました。
今回の経済対策には、住民税非課税世帯に対する給付金、新型コロナウイルス生活困窮者自立支援金、学生支援緊急給付金、住居確保給付金、子育て世帯に対する給付など、様々な支援策が盛り込まれ、自民党の公約でお示しした対象者についてはカバーされています。これらの支援は、補正予算成立次第、直ちにお困りの方々にお届けするべきですが、今後の課題について問題を提起させていただきます。
今回の子育て世帯に対する給付につきましては、自民党の政権公約ではコロナでお困りの皆様への経済的支援としていたことから、所得制限を設けるべきだというのが自民党としての見解でございました。他方、公明党の選挙公約では、ゼロ歳から高校3年生まで全ての子供たちに1人当たり10万円相当の未来応援給付をするとされており、給付の目的そのものに多少違いがございました。
選挙直後に、このすり合わせは、政策事項というよりは連立事項だということで、自公両党の幹事長が会談をされました。その結果、所得制限は設けることになったものの、給付には児童手当の仕組みが活用されることが決まり、夫婦いずれかの年収が960万円以上の世帯が給付対象から除外されることになりました。
フリップを出しております。
このフリップのとおり、児童手当の仕組みを活用すると、年収を主たる生計維持者の収入で判断することになりますから、今回の子育て世帯への10万円相当の給付では、世帯合算年収が全く同じ1,050万円であっても、夫の年収1,000万円、妻の年収50万円の世帯には給付されない、夫の年収950万円、妻の年収100万円の世帯には給付されるという設計となり、自民党政調会の会議でも不公平だという異論がございました。
一定の期間があれば、世帯合算年収で給付対象を決めるということは可能でございました。しかしながら、年内には現金給付を開始するという総理の強い思いや自治体の実務を考えますと、まずは、既に給付口座が把握できる児童手当の対象である15歳以下の子育て世帯に給付し、次に、口座を確認して、16歳から18歳の子育て世帯に給付するという方法しかございませんでした。
私は、党の政策責任者として、総理の年内給付への思いをお伝えし、今回については迅速な給付を優先せざるを得ないということで党内の説得を行い、議論を決着させました。しかし、今後も子育て世帯に限定した各種給付が行われる可能性はございますので、この際、改善に向けた取組に着手するべきです。
そもそも、現行の児童手当の仕組みにも不公平は存在いたします。このフリップのとおり、小学生と3歳未満の子供2人を育てる共働き世帯の場合、夫の年収1,000万円、妻の年収50万円の世帯が支給される児童手当は、小学生も3歳未満も5,000円の特例給付ですので、合計しても1万円です。夫の年収950万円、妻の年収100万円の世帯が支給される児童手当は、小学生に1万円、3歳未満に15,000円の本則給付ですので、合計すると25,000円です。世帯合算収入が同じ1,050万円でも、主たる生計維持者の年収で本則給付の対象が決まるからでございます。
この児童手当法が制定された昭和46年から、はや50年が経過しました。半世紀前と違いまして、共働き世帯の数は専業主婦世帯の2倍を超えています。夫婦いずれかの年収を基準にするという考え方はもはや実態には即さず、世帯合算に見直しをするべきではないかと考えております。
世帯合算の所得制限を設けている制度は多く、例えば不妊治療に対する助成、保育料、高等学校等就学支援金などが挙げられます。
自民党政調会の少子化対策調査会では、児童手当の在り方について検討を開始いたします。
児童手当法の改正をして間もないことは十分承知の上ではございますが、世帯の働き方による不公平を解消するための児童手当の収入制限の在り方、また18歳以下に支給対象を拡充するなど、少子化対策全体の中で見直しを検討するべきだと考えておりますが、総理の御見解を伺います。
○岸田内閣総理大臣
働き方また家族のありようが多様化する中で、委員御指摘の点、これは問題意識としては大変重要な問題意識だと思います。
そして、児童手当ということにつきましては、中学生までの児童を対象として、主たる生計維持者の収入を基に支給額を決定しているわけですが、この点につきましては、特に世帯合算ということにつきましては、これは、世帯合算を導入するという意見と、そして、この点については、変更を加えることによって世帯への影響が出る、すなわち、従来支援を受けていた世帯が外れる等々、様々な変化があることを踏まえて慎重であるべきだという意見と、そういう意見があり、先般の児童手当の見直しの議論においてもこの点について見送ることとなった、こういった経緯があったと承知をしています。
そして、5月の児童手当の改正法の附則の中で、児童の数に応じた効果的な支給あるいは財源の在り方あるいは支給要件の在り方、こういった観点から検討を加えるということが附則に盛り込まれたと承知をしております。
そして、この児童手当についてももちろん議論は必要だと思いますが、委員御指摘のように、様々な支援の仕掛けの中で、子供施策全体の中で、どのように取り扱われているのか、どのようなバランスが取られているのか、こういった観点から、児童施策全体の中で今の点についても考えていくべき課題であると認識をしております。
○高市委員
時代の変化も見据えながら、できるだけ多くの方に公平感を持っていただくいい施策を岸田内閣で構築していただくことを大いに期待申し上げております。
総理は、今回の子育て世帯への給付については、予備費を活用した5万円の現金については年内に給付を開始、補正予算を活用した5万円相当のクーポンを基本とした給付については来年春の卒業、入学、新学期に向けて行うこととしておられました。
しかし、クーポンを基本とした給付につきましては、事務費が高い、地方自治体はワクチン接種などコロナ対応で業務多忙だ、また、現金10万円を一括給付すべきだといった御指摘がございます。
地方自治体の負担を軽減するという観点から、本日現在、どのような方策を総理がお考えなのか、自治体の準備を考えてももうタイムリミットだと感じておりますので、総理の明確な御見解を伺います。
○岸田内閣総理大臣
子育て世帯への給付金につきましては、今日まで地方自治体の皆様方から様々な御意見をいただきました。本当に多くの御意見をいただいてきました。また、国会が始まりましてからも与野党の皆様方からこの給付金については様々な御指摘があり、そして議論が続けられてきました。
私としては、地方自治体と調整しながら、柔軟な制度設計を進めていかなければいけない、このように申し上げてきたわけですが、そうした様々な議論、指摘を受けて、様々な制度設計の検討を行ってきました。
そして、自治体の判断により、そして地域の実情に応じて、選択肢として、年内からでも、先行分の5万円の給付と併せて、10万円の現金を一括で給付する形で今回の対策の内容を実行する、こうしたことも選択肢の一つとして是非加えたいと私は思っています。そういった方向で、是非、具体的な制度設計、考えていきたいと思います。
○高市委員
ありがとうございます。その理由書の提出とか、もうややこしいことをせずに、一括で、自治体が迷いなく一括10万円でしたら10万円の現金給付ができるように、対応をお願いしたく存じます。