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予算委員会質疑報告①:財政政策

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○根本委員長

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高市早苗君。

 

○高市委員

 おはようございます。自由民主党政務調査会長の高市早苗でございます。

 冒頭に、米国を襲った竜巻により大変な被害を受けられた皆様にお見舞いを申し上げ、また貴い命を亡くされた方々に哀悼の誠をささげさせていただきます。

 いよいよ今日から令和三年度補正予算の実質的な審議が始まります。国民の皆様に一日も早く安心をお届けするために、この予算委員会では、与党も野党も建設的な議論を行い、速やかに補正予算を成立させることが求められていると考えます。

 今回の補正予算案を自民党の政調会で審査するに当たりましては、第一に、感染症や自然災害、国防上の脅威などから国民の皆様の命を守り抜くこと、第二に、コロナ禍でお困りの方々、生活にお困りの方、また学業や事業継続にお困りの方々をお支えすること、第三に、コロナ禍で傷んだ日本経済を立て直し、成長軌道に乗せていくために、令和四年度予算の成立を待つ、来年の春を待つことなく岸田内閣が掲げる主要な成長戦略の頭出しをしておくことの三点を重視いたしました。

 さらに、審査に先立って、政調会の会議で全ての部会長に対し、財政支出ではなく一般会計の規模に留意して審査するよう要請をいたしました。

 財政支出は、国の歳出、地方の歳出と財政投融資の合計でございますので大きな額に見えますが、一般会計は真水と言われる国費の歳出追加額でございます。まずは、積極財政で皆様が働く場所、事業主体を守り抜き、成長への道筋を示すことによって、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善させ、最終的には税収も増える形をつくるということが最優先だと考えたからでございます。

 結果的には、財政支出は約55.7兆円、真水で見ると、一般会計は約31.6兆円、特別会計と合わせると約31.9兆円と十分な国費が追加される補正予算案となりました。他方、国債発行額は22兆580億円となりました。

 総理は、所信表明演説で財政健全化にも言及しておられましたが、今回の国債発行額の規模は大き過ぎるとお考えでしょうか。

 

○岸田内閣総理大臣

 まず冒頭、委員の方からアメリカの竜巻被害についてお見舞いがありました。私の方からもお見舞いを申し上げさせていただきたいと存じます。

 その上で、今回の経済対策、そして補正予算について御質問がありました。

 今回のこの経済対策、補正予算、委員御指摘のように、コロナ禍に対する、この緊急時に対するしっかりとしたコロナ対応、そしてお困りの方々に対する支援、そして日本経済を起動するために必要な取組、こうしたものを積み上げた結果として55.7兆円という予算になりました。

 その中で、御質問は、国債発行額22兆円、大きいと考えているかということですが、この22兆円という国債発行、これは決して小さなものではないとは思いますが、先ほど申し上げた考え方に基づいて、コロナ対応、お困りの方への支援、そして経済の再起動、必要なものをしっかりと積み上げた結果、55.7兆円、さらには国債22兆円、こういった数字になったと認識をしています。

 今は、まず緊急時であります。国民の命や暮らしを守るためにあらゆる手だてを講じなければならない。お困りの方の生活、事業を守るためにしっかりと予算を用意しなければならない。そして未来に向けて経済を再起動する。必要なものをしっかりと用意することが政治の責任であると思っております。

 

○高市委員

 私は、超低金利の今だからこそ、長期国債、10年物以上の長期国債や超長期国債をちゅうちょなく発行することがこの国債管理政策の常道だと考えております。今回の補正予算も来年度予算も含めて、日本経済が成長軌道に乗るまでは、時限的にいわゆるプライマリーバランス規律は凍結し、命を守り成長に資する戦略的な財政出動を優先するべきだと考えております。

 プライマリーバランスが赤字でも、名目金利を上回る名目成長率を達成すれば財政は改善します。

 命を守る防災対策や未来を開く成長戦略の恩恵は未来の納税者にも及びます。強い経済は、中期的には財政健全化につながり、全世代型の社会保障の実現、また、科学技術力や外交力の強化、豊かな教育の実現にも資するものでございます。

 2012年12月に民主党政権から自公連立政権へと政権交代がありました。その後のアベノミクスにより、国と地方の税収合計は、2012年度の78.7兆円から2019年度には107兆円と過去最高になりました。

 8,000円台だった株価は安倍政権下で24,000円を超え、公的年金の運用益は7年半で57.6兆円増えました。

 有効求人倍率で見ましても、2012年には100人に対して83人分の求人しかありませんでしたが、2019年には100人に対して164人分の求人がありました。

 人手不足によって事業者は待遇改善をしますから、時給の最低賃金でも、2012年度には749円でしたが、2019年度には901円に上がりました。

 一人親世帯の子供の大学進学率も、23.9%から41.9%に大幅に増加しました。

 これは2019年度までの話でございますが、コロナ禍により、2020年度以降の数字には厳しさが見られます。

 総理には、まずは経済のパイを大きくしていただき、ワイズスペンディングを前提に効果的な財政出動と成長戦略を大胆に講じていただき、雇用と所得と消費を増やし、結果的に税収増にもつながるお取組をお願いしたいのですが、御見解を伺います。

 

○岸田内閣総理大臣

 まず、委員御指摘のように、安倍政権時代の経済政策によって、GDPを始め、日本の経済は大きく成長いたしましたが、コロナ禍によって大変大きな打撃を受けました。そして、我々はこれから未来に向けて経済を再生していかなければならないわけですが、是非、まずはこの危機をスピード感を持って乗り越え、そして経済の回復軌道を取り戻していきたいと考えています。

 その際に、新しい時代における経済、世界が経済の新しいモデルを模索する中にあって、日本においても経済の成長と分配の好循環をしっかり実現していかなければならない、このように考えております。

 ワイドスペンディングというお話がありましたが、経済の成長においても、科学技術ですとかデジタル、グリーンあるいは経済安全保障、新しい課題を、成長戦略にしっかり取り組むことによって成長を実現する。そして、成長の果実をしっかり国民の皆さんに分配をし、それを実感してもらう。そのためには、官と民が協働する形でしっかり分配を行い、そして分配が消費から成長につながる、しっかりこういった好循環をつくっていかなければならない。その際に、御指摘のワイドスペンディング、効果的な財政、経済の仕組みをしっかり考えていかなければならないと考えます。

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