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2016年4月30日 記者会見

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《冒頭発言》

 2日間にわたって開催された「G7香川・高松情報通信大臣会合」が無事終了しました。
 G7情報通信大臣会合は、21年ぶりの開催でありましたが、大所高所から最新のICTをめぐる議論を深めることができました。
 参加各国から、日本が「情報通信」というテーマに光を当てて本会合をホストしたことについて、高い評価をいただきました。
 G7各国、欧州委員会、さらにはオブザーバのITU、OECDの全ての参加者の積極的な議論と貢献に感謝します。

 今回の会議は、インターネットが世界にとって欠くことのできない基盤となり、国内でも、国際社会においても、ICTやサイバー空間に関する多くの課題が議論されているタイミングで開催されました。
 そのような中、G7として、2020年までに新たに15億人をインターネットに接続することを目指すこととしました。
 また、インターネット上の「情報の自由な流通」の重要性を確認し、サイバー空間に関する課題について共同して取り組むことを確認できたことは、大変意義深いと考えます。

 更に、会合での議論を通じて、基本的価値を共有するG7各国と、「憲章」、「共同宣言」及び「協調行動集」の3つの成果文書を取りまとめました。
 地球上の全てのヒト、モノがいつでもどこでも容易に繋がる「デジタル連結世界(Digitally Connected World)」へ移行する歴史的な機会であります。その機会を捉え、デジタル連結世界の実現までの今後10年~15年を見据えた、中長期の目標や基本理念を「憲章」として取りまとめることができました。そのことは、非常に画期的であります。
 また、「共同宣言」は、「憲章」を踏まえ、デジタル連結世界の実現に向けた、当面の行動戦略を記述するものであります。行動戦略の具体的な内容としては、①デジタル・ディバイドの解消などICTアクセスの向上、②サイバーセキュリティやプライバシー保護を踏まえた、情報の自由な流通の推進、③IoT、人口知能(AI)などの新たなICTの登場を踏まえた、イノベーションの推進、④ICTの活用による、健康医療、高齢化社会、女性活躍、防災など、地球規模課題への取組の4つの分野を掲げています。
 さらに、これら4つの各分野ごとに、G7各国の具体的な取組を集め、G7のメンバーの間での相互の参画や国際機関も含めた連携による協力強化を図ってまいります。そのために、共同宣言の付属書として「協調行動集」を作成しています。
 日本といたしましても、①質の高いインフラ整備を通じたデジタル・ディバイドの解消、②各国の関連団体の連携や各国共通の評価指標の開発を通じたサイバーセキュリティの確保、③各国のIoT関連団体の連携、④AI開発原則の検討などを通じたイノベーションの促進、⑤コミュニケーションロボットに関する研究開発成果の共有を通じた高齢化社会への対応、などに積極的に取り組んでいきます。
 様々な分野においてICTをより戦略的に積極的に活用する。これにより、世界経済の発展に貢献することが期待されます。

 引き続き、会合を通じての議長としての所感をお伝えします。

 第1に、IoT、ビッグデータ、5GやAIなど新たなICTの登場を歓迎するとともに、イノベーションを促進し、その恩恵を人類の繁栄のために最大限活用していくことが大切です。
 AIについては、その機能はいずれ人類の知能にも匹敵すると言われるなど、我々の社会経済に革命的な変化をもたらすと考えております。このAIについて、今後、G7をはじめとする世界の智恵を結集し、人類の繁栄につなげていく。そのために、G7各国が中心となり、OECD、ITUなどの国際機関とも協力した上で、AIの社会経済への影響や、その開発原則について、産官学の関係者の参加を得て議論を進めてまいります。
 また、本会合は、香川・高松で開催されましたが、ICTが地域の活性化に寄与することについても、共通理解が得られました。

 第2に、新たなICTがもたらす便益を最大化することです。
 そのために、政府、産業界、学会、ユーザーなどすべての関係者、すなわち「マルチステークホルダー」が協力し、知恵を絞ることが重要です。
 特に、オープンなインターネット環境を確保するための情報の自由な流通の確保は極めて重要です。このオープンなインターネット環境に関して、セキュリティの確保やプライバシーの保護など、安全・安心の観点を巡る議論が生じております。
 G7としては、安全・安心なインターネット環境を確保するためのサイバーセキュリティ、プライバシー保護などにも、連携して取り組む必要があります。

 第3に、すべての人々がICTを使いこなし、新たな価値を生み出すことができるよう、プログラミング教育を含めた人材育成が重要です。

 第4に、特に途上国におけるデジタル・ディバイドの解消も重要であり、G7が共同して貢献していくことが必要です。
 昨年9月に国連で「2030アジェンダ」が採択されましたが、人類の喫緊の課題である地球規模課題の解決にICTの活用が極めて有効であるとの共通認識が得られた意義は、極めて大きいと思います。これにより、地球規模での持続可能かつ包摂的な経済成長を実現することができます。
 我が国としても、その取組を積極的に推進し、その成果を来年の情報通信大臣会合に報告していきたいと考えています。

 我々G7の共通認識は、成果文書に確実に反映されたと理解しています。その内容は、今後のG7の行動指針となるものであり、国際機関との連携も通じ、積極的に取組を進めてまいります。
 今回の会合の成果は5月26日・27日に伊勢志摩で開催される首脳会合にも反映して頂けるよう、しっかりと報告していきたいと考えています。

 今回の会合の開催に当たっては、多くの方々にお世話になりました。
 大臣会合と平行して開催された産官学の会議「ICTマルチステークホルダー会議」の参加者からは、大臣会合へ有益なインプットを頂きました。
 また、香川県、高松市の皆様には、会合の準備段階から全面的なご支援をいただき、心から感謝申し上げます。

 私からは、以上です。ありがとうございました。


《G7各国代表による発言(総務省による日本語仮訳)》

【イギリス ベイジー文化・デジタル経済担当大臣】
 日本及び高市大臣に対し、今回の会合をホストしてくれたことに心より感謝申し上げます。とても楽しめる面白い会合でありました。完全に意見交換出来たことを非常に嬉しく思っています。
 また、ICTをG7で議論する大臣会合としては21年ぶりであるということは非常に意義のあることです。これによりICTをG7のアジェンダに載せることが出来たと思います。
 合意された成果文書は、実践的かつ現実的な目標を打ち立てたものであり、イギリス政府またG7のパートナーに対し、このアジェンダをより広い他の国際フォーラム、例えば、G20、国連、IGFなどに具体的な提案として持っていく良い機会を与えてくれたものだと考えています。イギリスはG7のパートナー、特に日本との協調行動を取る機会を与えてくれたことに感謝します。
 また、高市大臣がIoTに関して言及されましたが、私もそれに賛同をします。これはとても大きな機会を与えてくれるものです。「次のインターネットの波」とも呼ばれていますが、約200億のデバイスが2020年には接続されるそうです。そのためには、セキュリティを強化することが重要です。私共はパートナーと協力をしながら、インターネットを安心・安全なものにしていくことを担保したいと思います。
 さらに、「憲章」の中で、「マルチステークホルダー・アプローチ」へのコミットがなされたことを歓迎します。特に、インターネットガバナンスについてです。デジタルが現在引き起こしている革命に政府が関与するためには、市民社会や企業と協力をしていかなければなりません。
 また、オープンな市場、情報の自由な流通へのコミットも歓迎します。データ利用の必要性、市民のデータ保護の必要性も確認されました。
 今後、協働を楽しみにしていることは、イギリスが特にフォーカスしている分野、例えば、5Gの研究開発やIoTとスマートシティへの影響の研究などです。
 さらに、イギリスでは「We Protect」というオンラインにおける市民の保護を図るイニシアティブがありますが、そういった「包摂性」や「接続性」の必要性もこの「憲章」で反映されています。今後、この「憲章」にある「2020年までに15億人をインターネットに接続する」という目標に進展があること、誰も取りこぼさないようにすること、デジタル革命の便益を誰もが享受出来るようにすることを期待しています。
 イギリスは、「デジタル戦略」を今後数ヶ月で発表することとしており、この非常に深く、知的なG7大臣会合での議論についても、デジタル戦略に反映していきたいと考えています。
 高市大臣、このような会合をホストいただき感謝します。この会合は、まさに、G7諸国間の協調、エンゲージメントの新たな一歩であります。これも高市大臣と日本政府の熱意の籠もった努力なくしては成られなかったと思います。ありがとうございます。
 さらに、香川県高松市の皆様に感謝します。日本の美しい地域に来る機会を与えて下さいました。そして、「接続性」のアジェンダが日本においても、東京以外の地域において便益があるということを目の当たりにしました。

【欧州委員会(EU) アンシップ副委員長(デジタル単一市場担当)】
 まず、高市大臣はじめ、この会合の準備に当たられた全ての人に対し御礼申し上げます。2日間、大変有意義な議論を行いました。数多くの非常に重要な課題について議論することが出来ました。
 今、高市大臣やベイジー大臣が発言されたことに全て同意しますが、2つの重要な課題について強調して申し上げたいことがあります。
 1つは、「データの自由な流通」、もう1つは、「インターネットへのアクセス」についてです。
 現在、EUにおいては、「デジタル単一市場(Digital Single Market)」を確立しようと努力をしています。それが目指すものは、EU全域でデータを自由かつ安全に流通する機会を確保するということです。これに関してさらにやらなければならないことがあります。我々はG7の全ての国との間で、データを自由かつセキュアにやり取りが出来なくてはなりません。G7は意を同じくする国であって、そのような共通な環境を作っていく必要があります。
 「インターネットへのアクセス」も非常に重要な課題です。
 ご存じのように、今日、30億人超の人がインターネットにアクセスしていますが、未だ40億人超のアクセスが確保されていません。我々は野心的な目標を掲げています。それは、15億人の人を2020年にまでに新たにインターネットに接続させるというものです。これは非常に野心的な目標ではありますが、是非、達成しなければならない目標だと考えています。というのも、インターネット、特にブロードバンドへのアクセスと経済成長とは強い相関があるからです。マッキンゼーの調査によると、ブロードバンドアクセスが10%増えるとGDPが  1.4%伸びるということであります。したがって、途上国のために、我々はインターネットへのアクセスを拡大するための更なる努力をしなければなりません。
 様々な論点があり、G7各国間で協力をしていかなくてはなりません。例えば、「データの所有や資格」。また、産業界のデジタル化戦略や各国の戦略の間の統合化、また、「標準化」についても議論しなければなりません。様々な分野で協力をしていかなければならないということで、私自身も実りある協力がG7各国間で今後、花開いていくことを大変楽しみにしています。
 今会合の暖かいおもてなしに改めて感謝申し上げます。有意義な会合を次回、イタリアで開催されることを楽しみにしています。ありがとうございました。

【イタリア ジャコメッリ経済発展省政務次官】
 私も高市大臣、日本政府の皆様に心の底から感謝申し上げます。まず、ICTそしてデジタル世界をG7のアジェンダに引き戻してくれたこと、この決定に感謝をします。これは素晴らしい意思決定であり、正しい決定です。その意味で、大変深い洞察力を示されたと思います。また、暖かいおもてなしにも感謝申し上げます。皆様の友好関係、また、我々の作業のために、このリラックスした素晴らしい環境を提供してくれたことにも感謝したいと思います。同様に、香川県、高松市の関係者の皆様にも感謝します。
 G7は素晴らしい出発点になると思います。というのも、今後、ICTを国際レベルで発展させる原動力となる全ての政府が関与をしているからです。G7が設定した道のりに沿って、ICTを更に推進し、国際レベルで協調しながら必要な政治的な課題にも対応していく下地が出来ました。
 私共は、インターネットガバナンスについては「1つの声」にまとめることが必要です。また、マルチステークホルダー・アプローチについても1つの声を持つことが必要であり、責任を共有する姿勢が必要です。これは、政府だけではなく、企業にも求められていることです。そして、グローバルな接続性を拡大し、インターネットを拡大していく努力を続けなければなりません。言い換えれば、インターネットを普遍的な人権として捉えることが肝要であると言えます。
 インターネットが国家の経済開発にもたらす影響だけでなく、インターネットにアクセス出来るということが様々な福祉などの資源や人権促進のあらゆる資源の効率的利用に繋がるからです。
 我々は様々な障壁を乗り越え、協調していかなければなりません。大変実りの多い2日間の議論を経て、我々の課題が明確になりました。それに対する答えをこれから見出していかなければなりません。政治的レベルでは、例えば共通の標準・規格を立て、調和を促進していくことが重要です。また、インターネットをグローバルな、あらゆる人のためのビジョンに変革していかなければなりません。
 G7サミットの次の議長国はイタリアとなります。日本政府には相談役として、イタリアでの次期会合に向けた様々な準備に携わっていただきたいと思います。各国政府、国際機関などと協力をしながら、やらなければならないことを整理し、実行して行きたいと考えています。将来の開発のためのベースを作り、出来るだけ早く前進をしていくということです。
 また、最後になりましたが、心からの感謝を香川県、高松市の関係者に申し上げたいと思います。
 本当にG7大臣会合を主催して下さったことに感謝します。作業環境はとても素晴らしいものでした。

【米国 ノベリ国務省経済成長・エネルギー・環境担当次官】
 まず、高市大臣及び日本政府のビジョン、この情報通信大臣会合を21年ぶりに開催して下さったことに感謝します。
 また、香川県、高松市に対しても御礼申し上げます。この会合を開催することを可能にして下さり、また我々を暖かく迎えて下さったことを感謝します。このような美しい場所で会議が出来たことで、その分、会議も円滑に進められたと思います。
 21年ぶりの情報通信大臣会合の成果には大変満足しています。これは、将来に向けての道を切り開くものであります。そして、全ての国にとって重要なものであります。つまり、将来、デジタル経済が今後どうなっていくか、という大きな課題に取り組んでいるわけであります。デジタル経済は、それを国だと考えると、世界第5位の規模を有しています。G7諸国だけでなく、世界全体にとって重要なものとなります。
 我々が合意した文書はデジタル世界の将来に関する様々な指針、原則を示すものでありますが、その中には、先にご指摘のとおり、「情報の自由な流通」も含まれますし、インターネットガバナンスに関しては、マルチステークホルダー・アプローチを取るということも含まれています。また、「デジタル連結性」を広く遍く実現するということも含まれています。インターネットの恩恵を、未だ接続されていない40億人にもたらすということが重要です。したがって、ここで示された15億人を2020年までに新たにインターネットに接続するという目標に大変満足しています。
 米国は、「グローバル・コネクト・イニシアティブ(Global Connect Initiative)」というイニシアティブをスタートしました。同じような目標に向かって活動しています。ですので、G7の各国がそれぞれのイニシアティブを取っていく中で、連携・協力をして、インターネットの恩恵が全ての人に届くようにしていきたいと考えています。原則に基づいた繁栄する、連結した世界を目指したいと思います。ありがとうございました。

【ドイツ マハニック経済・エネルギー省事務次官】
 繰り返しになりますが、私も日本政府に対し、素晴らしいおもてなしに感謝するとともに、心からの感謝を香川県、高松市に対しても申し上げたい。大歓迎を受けました。明日までこのおもてなしを受けることが出来るということで、とても嬉しく思います。
 1970年代、G7が確立され、そのイニシアティブを取ったのが、当時のヘルムト・シュミット ドイツ首相とフランスの大統領でした。
 G7は世界の経済にとって重要な様々な課題について議論するというのが狙いで、当時は金融市場や経済が主題でありました。しかし、今や、「デジタル化」というのが主たる論点となっています。デジタル化は、我々の経済の基礎を変えることになるもので、「第4の産業革命」と呼んでいる人もいます。
 これは重要であるばかりか、このトピックを20年もの間、G7のアジェンダに載せてこなかったことは、本当に遅れを取ったと思います。その意味で、G7で再び取り上げるという判断をした日本に対し本当に感謝します。
 ICTは、毎年議論をすべきであると思います。全ての政府は共通の問題を抱えています。つまり、技術や経済の変化があまりにも早いペースで起こっているがために、我々がこの変化に追いついていくためには様々な努力が必要で、各国との様々な協議の場や提案の中から示唆を得ていくことが必要だと思います。デジタル世界のための憲章、また、それに盛り込まれた原理・原則を国内化して、将来に向かって続けていくことが必要だと思います。
 次にG7あるいはG20のコンテクストで会合を開催した時に、具体的な課題についてより深く議論が出来るように、その間、互いに協議を重ねて解決策が提示出来るようにしていくことが必要です。
 そこで、いくつか課題を指摘したいと思います。
 まず、どのような競争、秩序を作りたいのかということ、デジタル化に対する需要がどれ程あるのか。そして、データの所有権をどう解決していくのか。どのような標準・規格を作ればグローバルな情報の流通を確保出来るのか。そして、その課題が通商・貿易にどのような影響を与えるのか。これらは既に顕在化している課題でありますが、それらについて2日間しっかりと議論出来たことは光栄です。原則についても議論が出来ました。将来、もっと深くこれらの課題について検討を進めていくことが必要だと考えます。
 今回、ドイツと日本は「Industry4.0」を共に進めていくための覚書(MoU)に調印しました。そのような取組は今後も増えていくことが大切です。
 また、イタリア政府は来年G7の議長国で、ドイツはG20の議長国となります。両者でこの大臣会合から発展した様々なイニシアティブを継続し、G7やG20のプロセスに取り込んで行きたいと考えています。私共もさらに協議を進め、向こう1年間に具体的な成果に貢献できることを期待しています。これらは我々人類の未来を形作るものであり、真剣に考えなくてはなりません。
 今会合は第1歩となります。ここで構築した基盤の上に、これから築き上げていきましょう。そして、経済競争力を高め、デジタル・ディバイドを解消し、新たな機会を作り、インターネットを万人が使えることを可能とする環境を作りましょう。

【フランス フォール経済・産業・デジタル省企業総局長】
 まず冒頭に、熊本地震で亡くなられた方、その家族の皆様にお見舞い申し上げます。この悲劇的な事件に私共も大変に心を痛めております。
 G7情報通信大臣会合を主催して下さった日本政府に感謝を申し上げます。この会合は約20年開催されておりませんでしたが、復活をさせて下さいました。20年前に生まれた人達というのは、デジタルの世界に生まれてきて、彼らが今後の世界を構築していく訳で、そういった中でG7各国がこの問題に取り組んでいくことは必要なことだと思います。
 また、香川県、高松市にも感謝申し上げます。忘れられない素晴らしいおもてなしをいただきました。地中海を思い起こす素晴らしい環境の中で会議が出来ました。私は南フランスの地中海沿岸で生まれ育ちましたので、大変親近感が持てました。
 この高松市での会合は、G7にとって、また世界にとって大きな成果を生み出したと考えます。
 よりデジタルな、より連結した世界は、世界全体に大きな影響を与えると思います。デジタル技術が果たす役割、人々の生活の質を改善し、経済を拡大するに当たって重要な役割を果たすことを示しました。
 また、企業がデジタル変革を進めることは全ての国にとって重要な課題となっています。デジタル技術は地球規模の課題である気候変動や自然災害、高齢化などに対処するために有益です。
 会議の中ではさらに、人権と基本的な権利の重要性についても指摘されました。オフラインで確保されている権利はオンラインでも確保されなければなりません。デジタルの世界に暮らしていても、従来の世界に暮らしていても、基本的な権利は守られなければなりません。
 同様に、セキュリティやプライバシーの重要性についても指摘されました。様々なイニシアティブについて議論がありました。G7諸国間のみならず、EUとの間、また全世界的に協力を強化するという点を確認しました。
 また、さらに15億人もの人々をデジタル世界に接続をするということであれば、他の国々も巻き込んでいかなければなりません。ITUやOECDなどの国際機関が参加したという点でも、今会合は特徴的であったと思います。
 今回の「憲章」及び「共同宣言」は、非常に有意義な興味深い内容となっています。そこで決定された内容を、フランスは実行に移していきます。また、日本を始めとするG7諸国との間、全ての国との間で国際協力を強化していきます。
 来年のG7はイタリアが、G20はドイツが議長国となります。そこでの協力を進めてまいります。

【カナダ ダジュネ イノベーション・科学・経済発展省次官補】
 日本が2016年に議長国としてリーダーシップを取られたこと、我々をこの高松という美しい場所に招聘して下さったことに感謝します。
 この2日間、G7の同僚と、例えばイノベーションや経済発展の促進、ICTを使ったグローバルな課題への対応など、大変面白い、刺激的な協議を行いました。
 今後、デジタル経済に関するOECD閣僚会合が6月にメキシコのカンクンで開催されますが、カナダは、それに向けて生産的な議論を継続していくことを楽しみにしています。
 カナダは、イノベーションが生産の発展に果たす役割を認識しています。また、「ナショナル・アジェンダ」を策定します。これは、成長を促進し、デジタル経済の機会が万人に行き渡るようにすることを担保するのが狙いです。
 その一部として、まず、高速で信頼できるインターネットを提供し、デジタルインフラ、つまりアクセスの格差を解消します。インターネットによるイノベーションや経済発展を可能にするためには、インターネットがオープンであること、相互に接続をされていること、マルチステークホルダー・ガバナンスが確保されていることがその成功の秘訣です。カナダは、G7のパートナーと共に、堅牢でグローバルなインターネットを確立し、信頼と情報の自由な流通を確保していきたいと考えています。
 データは「新たな石油」と呼ばれています。グローバルなデータの流通の重要性を認識しています。データの流れが自由でなければ、成長、競争力そして生産性を高めることはできません。しかし、一方で、効果的なプライバシー保護とデータ保護について法益を超えて担保していく責任があります。相互運用性のある政策枠組みが必要です。そのためには国際的な協力が必要でしょう。
 日本が重要なアイテムをG7の議論として取り込んでくれたことを賞賛いたします。大臣会合においては21年間、トピックスとして触れられなかったということですが、包摂的な情報社会では接続性は未だ大きな問題です。今月のはじめ、カナダは、(米国の)「グローバル・コネクト・イニシアティブ」とその原則を支持しました。15億人の人を2020年までにインターネットに接続させるというもので、これは、カナダが行っている、途上国の市民に対してデジタル技術の恩恵に浴させるというイニシアティブとも合致をします。デジタル・ディバイドを解消し、全ての人がデジタル連結性を享受できるように邁進していきたいと思います。
 日本の関係者の皆様、ありがとうございます。香川県の浜田知事、G7の同僚にも感謝します。カナダはこれらのトピックスについてG7と今後も協調を続けていくことを楽しみにしています。


《質疑応答》

【会合の成果のポイントと日本としての取組について】

Q:NHKの木下です。高市大臣にお伺いします。冒頭でもございましたが、今回の大臣会合の中で大臣が一番強調したい成果を1つ教えていただけますか。それと同時に、今後、それに対して日本としてどのようなリーダーシップを持って取り組んでいかれるのかお考えをお聞かせください。

A:(高市大臣)今回、G7として21年ぶりに情報通信という分野に光を当てて大臣会合を開催いたしました。先程来、各国の代表者からその点についても評価をいただき、大変光栄に思っております。この21年間行われて来なかったG7の大臣会合ですけれども、来年イタリアで開催していただき、ドイツでもG20がございますから、この成果を引き継いで発展していく、という道筋をつけられたことが、私にとっては大変嬉しいことです。
 最近、ICTの世界では、オープンなインターネット環境におけるセキュリティなど安全・安心の確保、IoTやAIなど新たなICTの登場を踏まえた社会経済の繁栄などについて活発な議論が行われています。このような中で、世界のリーダーであるG7がその知恵を絞り、世界のモデルとなるような行動戦略を、成果文書として取りまとめることができました。これも嬉しいことです。
 先程、ドイツのマハニック次官から、「最初の一歩だ」という言葉がございました。確かにそのとおりであると思います。成果文書そのものは我々の取組の第一歩に過ぎません。この成果文書に基づく具体的な行動を推進し、世界をリードすることが我々G7としての使命だと考えます。
 日本の具体的な取組についてのご質問ですけれども、2点ご紹介します。
 まずは、AIです。AIについては、その機能はいずれ人類の知能にも匹敵するだろうと言われていますけれども、我々の社会経済に革命的な変化をもたらすものです。今後、G7をはじめとする世界の知恵を結集し、人類の繁栄につなげていくために、日本のほか、他のG7諸国やEUにおいても、AIの社会経済への影響や、その開発原則について、産官学の関係者の参加を得て議論することとしております。
 次にサイバーセキュリティです。サイバーセキュリティ対策のため、ネットワークの脆弱性を客観的に評価する「測定基準」を開発することや、皆様にも本日ご覧いただきましたけれども、情報通信研究機構(NICT)が運用するNICTERへの各国の参画を推奨することとしております。
 その他、IoT推進組織間の協力、コミュニケーションロボットの開発など、国際連携によるプロジェクトを推進していきます。
 このような取組の成果を、来年、イタリアが開催されるG7情報通信大臣会合にも報告できるよう、しっかりと取り組んでまいります。


【AIの開発原則に関する所感について(日本語仮訳)】

Q:共同通信の飯田と申します。英国のベイジー大臣、EUのアンシップ副委員長に対して質問です。
 まず、ベイジー大臣への質問です。どのようにしたらAIと人間との調和を図ることが出来るでしょうか。日本の高市大臣がG7情報通信大臣会合においてAIに関する8つの開発原則を示されましたが、AI開発のために国際的なルールを確立することについてはどのように思われますか。

A:(イギリス ベイジー大臣)G7の会合から私が受け止めた強い印象は、やはり、日本の政府がAIについて真剣に捉え、AIについての一連の倫理指針或いは原則のようなものを開発し、それに基づいた研究開発や応用などを検討する基盤とするということでした。その意味で、イギリス政府にとって、この会合はとても有益なものでした。
 そしてAIの課題は、イギリスのアジェンダでも上位に引き上げていくには重要です。ですから、日本政府と協調しながら、AIの原則に関してさらに精査していきたいと考えています。


【欧州デジタル単一市場の推進と今会合の成果について(日本語仮訳)】

Q:次に、アンシップ副委員長に対する質問です。「デジタル単一市場」の戦略を推進しているEU地域の代表として、今回のICT大臣会合の成果についてどのように思われますか。また、今回の会合で合意したデジタル世界のための憲章を実行する上で、日本がどのような役割を果たすとお考えでしょうか。

A:(EU アンシップ副委員長)デジタル単一市場戦略についてご説明します。日本には既に一つの市場がありますが、EUでは20年前、単一市場を目指して、各国間の国境を取り除くという作業を行いましたが、それは物理的な障壁を取り除いたに過ぎません。デジタルな単一市場はまだEUにはありません。5億人以上の健全な消費者を構成する大きな市場があるだけです。つまり、デジタル的には28の小さな市場しか存在しません。ですから、障壁を取り除くことが重要です。
 私共のデジタル単一市場戦略の狙いの1つは、データが自由かつ安全に欧州域内全域を流通出来るような環境を作ることです。今回の大臣会合は、非常に良い成果物を提出しました。私共は、自由で安全なデータの流通がEUとEU域外のG7諸国との間で確保できるような環境を考えたいと思います。日本の方々はあまり問題だと思われないかもしれませんが、例えば、欧州の小さな国を一例に挙げると、医師の診断を行う際、1年に3~4しか症例がなければ、同じような疾患を持った人の症例を集めて標準化を図り、より良い診断を出すことが出来ません。それを可能にしたいと思います。
 ビッグデータからも様々な便益を受けることが出来ると思います。様々な相関関係を得ることが出来ますが、いつの日か、病院から電話が掛かってきて「アンシップさん、すぐに病院に来てください。あなたは、6時間以内に脳梗塞を起こす可能性が高いです」という日が来るかもしれません。こういった電話を受けるのはあまり嬉しくはありませんが、有り難いと思うでしょう。脳梗塞を予防する方が予算的に遥かに安く済みますので、保険会社も喜ぶと思います。
 誰もが、情報の自由な流通から裨益するのは明白です。私共は、米国と共同して、プライバシーシールドに合意しました。自由で安全なデータの流通をEUと米国間で確立出来るようになりました。私共は日本とも協調して同じような環境を作り上げる必要があります。また、企業、市民一般についても同様のことが言えます。多くの日本企業は欧州の市民や企業にサービスを提供しています。例えば、繋がる車(Connected Car)があります。例えば、トラックなどを製造している企業は、既に数十万のトラックを接続させることが出来るそうです。そういったトラックから、毎秒データを収集しています。そのトラックがどこを走行しているのか、目的地はどこかが分かるので、トラックを隊列化することが出来ます。このトラックは機械的に接続されている訳ではありませんが、隊列を組んで走ることが出来るのです。その結果、燃費を5~6パーセント改善することが出来ます。欧州では、データローカリゼーション(Data Localization)が起こります。例えば、トラックが国境を越えた際、そのデータはローカリゼーション(局地化)される訳です。IoTについては、今回の大臣会合でも議論しましたが、この議論はG7諸国や欧州連合域内だけでなく、全世界でこの協議を行うことがとても重要です。
 デジタル単一市場戦略からこの「共同宣言」と「憲章」は十分に相容れるものであり、互いを補完しあうものであります。

A:(事務方)時間の都合があり、大変申し訳ございませんが、これで合同記者会見を終了させていただきます。皆様、どうもありがとうございました。

A:(高市大臣)皆様、本当にありがとうございました。先程から、私の隣でベイジー大臣が熊本地震へのお見舞いをこの場で申し上げたいとおっしゃっておられました。他の皆様からも、レセプションの場や会議場内で、今回の地震へのお見舞いの言葉を頂戴し、かつての東日本大震災も含め、今回の地震でも沢山のご支援を賜りましたことについて、私から御礼を申し上げました。
 私達は、「ワンボイス(One Voice)」でメッセージを発信していくことを誓い合いまして、これから精一杯頑張ってまいります。
 結びになりますけれども、地元、香川県、高松市の皆様には大変感謝をしております。誠にありがとうございました。記者の皆様もお疲れ様でございました。

                                  以上

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