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納得できる消費税の使い道

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 消費税率を引き上げ、全消費者の皆様にご負担をお願いした以上は、「税負担増に納得できる受益(安心)」を実感していただけるように、努力を続ける決意です。

 今回の消費税率アップは、民主党政権時代に、当時は野党だった自民党と公明党も協力をして、自公民で成立させた「税制抜本改革法」に基づくものです。

 同法の規定により、消費税率引き上げによる増収分は全額「社会保障の安定化と充実」に充てることとされていますから、結果的には全て国民に還元されるものです。

 これまでは、社会保障費の半分は借金で賄ってきました。借金で支えるような社会保障には、継続性が期待できません。
 「他の政策には流用できない安定財源」を確保し、社会保障制度の継続性と安定性を確立することが、消費税率引き上げの最大の目的です。

 社会保障給付費(年金・医療・介護)は、年間約110兆円に上ります。
 財源の6割は保険料で賄われていますが、保険料が高くなり過ぎないよう、4割は公費を投入しています(3割は国・1割は地方)。

 そのような事情から、国の政策に使える経費の半分以上が社会保障費に消えてしまっています。
 26年度予算でも、歳出総額から国債費と交付税を引いた56.6兆円のうち30・5兆円が社会保障費で、少子化対策を入れると36・6兆円になります。

 消費税率が8%でも国の消費税収は15.3兆円の見込みですから、消費税収だけでは社会保障の必要額には足りません。
 それでも、安定財源が入ることによって財政健全化にも資することとなり、将来世代への先送りは徐々に減らしていけます。

 また、時代に合った社会保障制度にすることも、大きな目的でした。

 これまでは、社会保障と言えば年金・医療・介護で、「高齢者3経費」とも呼ばれていました(給付費110兆円のうち、年金5割、医療3割、介護2割)。
 今後は、子育て世代への支援を充実する「社会保障4経費」へと転換されます。

 「消費税増収分の活用先」ですが、先ずは2・9兆円を「年金の国庫負担2分の1」の恒久化に充て、残りを社会保障の安定化と充実に充てることになります。

 子育て支援については、今年度中に20万人分の待機児童対策を行います。29年度には40万人分の対策が完了する予定です。
 また、育児休業給付金も引き上げられますし、産休中の厚生年金と健康保険の保険料免除が実現します。遺族基礎年金は、父子家庭にも支給されるようになります。

 医療・介護分野では、在宅医療の充実と認知症地域支援事業の拡充、難病・小児疾患対策の拡充が実現します。

 年金・医療・介護については、現役世代の保険料が上がり過ぎることのないよう、将来の受給が確保できるよう、各世代で負担を分かち合い「世代間の公平」を図る為に、一部は痛みを伴う改革も行います。

 介護利用者負担については、一定以上の所得の方の利用者負担(自己負担)は1割から2割に引き上げとなります。
 しかし、平成27年度からは、低所得者の方の介護保険料は軽減されます。

 国民健康保険料は、低所得の方(約400万人)については軽減を行います。後期高齢者医療制度の保険料も、低所得の方(約110万人)については軽減されます。
 他方、高所得の方の賦課限度額は見直され、負担増となります。

 前年度まで1割だった70歳~74歳の方の医療費窓口負担については、今年の4月2日以降に新たに70歳になる方から2割負担となります。
 この方々も、これまでの3割負担から2割負担になるわけですから、新たな負担増にはなりません。
 4月2日時点で既に70歳~74歳になっておられた方については、1割負担のままです。

 この件では不満のお声も多く伺いますが、もともと平成20年度(2008年度)から2割負担になることが決定していたのに、特例として毎年2000億円もの補正予算を組んで、無理をしながら1割負担を維持してきたものでした。
 世界に誇る恵まれた医療制度を安定的に維持する為にも、是非ともご理解を賜りたいと思います。

 年金特例水準の引下げについても、同様の事情です。
 そもそも年金は「物価スライド」の制度ですが、物価や賃金の下落が続いた時期にも減額をしなかった為、これまでは過剰に支給されていたわけです。これを正常に戻すことになりました。
 ただし、今後、物価や賃金が上がっていけば、年金もアップするでしょう。
 ちなみに、今年4月の改定率は▲1.0%を予定していましたが、物価・賃金の上昇によって▲0.7%に圧縮されました。

 また、住民税非課税者のうち老齢基礎年金受給者(約1200万人)につきましては、消費税率アップに伴い1万5000円が支給されます。

 昨年の臨時国会で成立した「改正生活保護法」は、今年7月に本格施行されます。また、同じく昨年の臨時国会で成立した「生活困窮者自立支援法」は、来年4月に施行されます。

 今後は、社会保障制度の公正性を確保しながら、しっかりと経済成長戦略も実行し、幅広い世代が安心できる社会保障制度の確立に向け、財源を豊かに充実させていきたいものだと考えます。

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