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予算委員会質疑報告②:対外的な発信機能の強化

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【2月10日 予算委員会質疑報告②:対外的な発信機能の強化】


○高市委員

 さて、昨年の25年度予算案の審議の折にも持ち込ませていただいたのですが、本日も自民党の選挙公約を持ってまいりました。

 まず、一昨年の衆議院選挙で私たちが提示をいたしました『政権公約2012』は、たしか茂木大臣が政調会長時代に個別の政策を積み上げ、その後、後任の政調会長でいらっしゃいました甘利大臣のもとで最終的に取りまとめられたものでございます。

 そして、この『参議院選挙公約2013』でございますが、これは私自身が責任者として取りまとめをさせていただきました。

 この2冊とも安倍自民党総裁のもとで党議決定をされたものでございますので、安倍内閣の皆様には、この2冊の公約の中身、しっかりと1つでも多く実現をしていただきたいと期待を申し上げております。

 本日、皆様にお知らせをしたいのは、この2冊の公約に書かれました全ての政策につきまして、予算要求事項、それから税制措置事項、そして法的措置事項の3種類に分けまして、それをさらに所管官庁別に分けました一覧表を政調会長室でつくっております。

 そして、自民党政調会の全ての部会長がその一覧表を持っておりますので、今回の26年度予算案の編成過程においても、私たちが実現したい政策がしっかりと盛り込まれているかどうかのチェックを行ってまいりました。

 そして、1月には、自民党の職員に大分御苦労をおかけしたのですが、私の手元資料といたしまして、全部の公約について、丸、三角、バツ、つまり、既に実現されたもの、今途上であるもの、そしてまだ着手されていないもの、これを分類した表もつくらせていただきました。

 本日は、主に、この2冊の公約に書かれた政策と安倍内閣のお取り組みの整合性、それから進捗状況についてお伺いをしてまいります。

 まず最初なんですが、昨年の予算委員会では、安倍総理に、「国民の生命、領土と資源、そして国家の主権と名誉を守り抜ける国をつくっていただきたい」とお願いいたしました。私はそれが国家の究極の使命だと考えているからでございます。

 まず、「領土と資源を守り抜くために必要な施策」についてお伺いをいたします。
 私は、まずは「対外的な発信機能の強化」、これは非常に重要である、それとともに、「対内的な領土教育の強化」、これも重要であると思っております。

 「領土教育」につきましては、昨年のこの委員会で下村大臣にも山本大臣にもお願いをいたしまして、物すごく精力的にお取り組みをしていただいております。

 本日は「対外的な発信機能の強化」ということについて伺ってまいりたいのですが、自民党の参議院選公約にはこの点を明記いたしております。

 さて、大変残念なことでございますが、先週2月6日にアメリカのバージニア州議会で、「日本海」という名称と、韓国が主張いたします「東海」という名称、これを地理的な地名として併記することを求める、こういう法律案が可決されました。
 つまり、「シー・オブ・ジャパン」というのと「イースト・シー」、これが併記される可能性が出てきた。知事が署名したら成立ということになるわけでございます。

 外務大臣にお伺いをいたしますが、この一連の動きがございました。1月から続いておりましたけれども、バージニア州議会議員に対して外務省はしっかりとした働きかけ、説明をされたのかどうか。
 それから、今後同様の事態が起こる可能性もございますが、それに対する対応の取り組みをされているのかどうか。以上2点をお伺いいたします。


○岸田国務大臣

 6日の日に米国バージニア州議会の下院におきまして、日本海と東海を併記することを求める法案が可決されたこと、大変残念なことだと思っております。

 この法案につきましては、今後、バージニア州の上院において審議される予定と承知をしておりますが、これまでも、この問題につきまして、バージニア州議会を初めさまざまな場で、現地、我が大使、さらにはロビイスト等を通じまして、働きかけを行ってまいりました。

 現状、まだ審議が続きますので、この時点で、具体的なやり方ですとか誰に働きかけた、具体的なものは控えさせていただきたいと思いますが、引き続き、こうした働きかけは続けていきたいと思いますし、また、やり方、そして具体的な働きかけ先につきましてはしっかり工夫をしていかなければならないと思っております。

 バージニア州、現地におきましては、韓国系米国人の数が多く、また増加している現状の中で、選挙事情も絡み、大変難しい事情にはありますが、米国政府自身は、この呼称問題につきましては、日本海の単独使用というものをしっかりと支持しております。
 この点につきましては、先日、国務省の報道官も記者会見の場で確認をしているところです。

 こうした米国政府の方針等もしっかりと確認し、説明を加えながら、今後も努力をしていきたいと考えております。


○高市委員

 国連でもとっくにこれを標準的な地名として認定をされていると理解をいたしております。しっかりとした働きかけをお願いいたします。
 
 それから、最近、この問題に限らず、主に中国や韓国の関係者によりまして、国際法的な事実、また歴史的な事実と違った形の誤ったメッセージが国際社会に発信され、そして欧米諸国のメディアなどの中にはそれを信じ込んで報道をしておられる、こういうケースが散見されるように思います。

 日本国としても、しっかりとした政府の見解、そして国際法に則った事実を広く国際社会に発信していかなければいけない。これが喫緊の課題だと思っております。

 内閣全体として、こういった対外的な発信機能の強化ですとかそのための施策の実行について責任を負う方はどなたでしょうか。官房長官にお伺いいたします。


○菅国務大臣

 世界各国が対外的な働きかけを強化している中にあって、やはり対日理解の向上に向けて、国際広報の強化というのは国を挙げて取り組んでいくことである、私ども、極めて重要であると認識をいたしております。

 安倍総理の指示のもとに、官邸において関係各府省庁の会議を主宰するなど、私が内閣における対外広報の取りまとめ役の責任者として、政府一体となった国際広報活動に現在努めているところであります。


○高市委員

 それでは官房長官が最高責任者ということで、これからもしっかりとお願いをいたします。また、注文をつけさせていただきます。

 我が党の政調会に「領土に関する特命委員会」というものが設置されております。
 その事務総長を務めていただいております佐藤正久議員が参議院の方でも一部紹介をされたかと思うのですけれども、外務省が作成いたしました『最近の中国による情報発信』という資料がございます。
 中国がかなり独自の主張に基づく宣伝活動を多様な手段で展開している、この様子が書かれております。

 その中でも特に私が脅威を感じましたのは、中国メディアの海外進出、国際展開でございます。

 中国の国営テレビでありますCCTV、中国中央電視台と書きますけれども、この国際放送は24のチャンネルを持ち、国連の6つの公用語で中国の立場を発信しております。
 それから、CCTVのインターネットテレビでありますCNTVは、12言語で放送しております。

 特に、中国が2012年にアメリカに開局しました「CCTVアメリカ」でございますが、これは番組のアンカーに著名な外国人を起用いたしまして、金髪の女性キャスターが伝える番組というのは、一見中国メディアによるものとは思えず、何となくCNN風の演出になっているということでございます。ロサンゼルス地域におけますシェアは、CNN、FOXに続くシェアを誇っているということになります。

 他方、日本では、ほぼ全世界をカバーする唯一の外国人向け国際放送というのは「NHKワールドTV」だと承知をいたしておりますが、ここは1つのチャンネルを持つだけで、基本的には使用言語も英語だと思います。

 官房長官にお伺いしたいのですけれども、より多くの外国人に日本の国際放送を視聴していただくためには、多言語化ですとか、それから多様な演出上の工夫というものも必要なのではないかと考えるのですけれども、いかがでしょうか。


○新藤国務大臣

 私の方が所管しておりますからお答えいたしますが、御指摘のとおりであります。

 そして、日本の国際放送を充実させる。それは、日本のプレゼンスを高めることと、それから、我々が思っている以上に、実は世界は日本のことを興味を持っている。ですから、それに対して正確な私たちの国の見解を伝え、そして日本の魅力をお伝えする。それは、たくさんのチャンネルをふやしていかなければいけない、こういうことであります。

 しかし、残念ながら、まだ今、私どもの国際放送は、実は、かつては海外にいる日本人向けに日本語の放送をやっていた、それが国際展開だったんですね。
 それを自由民主党の方で、また与党・政府で検討して、そして実際に放送が始まったのは平成20年度からです。
 ですから、5年目にしてはかなり頑張っているとも言えなくはないが、でも、まだまだ全然足りない、こういうことであります。

 御指摘の多言語化、これはやはり予算措置が必要でありますから、そういったものも工夫します。

 それと、番組の演出も、ここで枠を広げまして、さらにもっといろいろな番組が入れるような、そういう演出上の工夫もことしやることにいたしますから、御指摘を踏まえて、さらに充実強化を図ってまいりたい、このように思っております。


○高市委員

 新藤大臣に多少伺いにくいことをそれでは伺いますが、1月25日に行われましたNHKの籾井会長の就任記者会見なのですけれども、それは物議を醸しましたけれども、私自身は、特に国際放送に関する御発言には大いに共鳴をいたしました。

 籾井会長は、「尖閣、竹島について、諸外国の人たちにどうやって理解してもらうかということは国際放送しかないと思っている」、「なぜ日本の領土であるかということをもう少し説明してもいいのではないか」とおっしゃいました。
 
 放送法第65条は、総務大臣が、NHKに対して、国の重要事項などについて、国際放送を要請できる旨が規定されております。


 尖閣諸島や竹島が日本国領土であるということについての歴史的、法的な正統性というのは、まさしく国の重要事項に当たると私は思います。


 また、放送法の第81条にも、外国人向け国際放送につきまして、「我が国に対する正しい認識を培い、」との文言がございます。
 
 総務大臣、個人的見解とはいえ、この国際放送で領土に関する正しい情報を発信するべきだというNHK会長のお考えというのは、日本の領土を守る上では必要なことでありますし、放送法にも違反しないことじゃないかと私は考えるんですが、いかがでしょうか。


○新藤国務大臣

 まず、話を整理してお答えさせていただきますが、放送機関のトップが発言されたことについて、政府としては、個別の発言にコメントすることは差し控えたい、このように思っています。

 それから、会長が個人的な見解とおっしゃった部分については、全て御自身が取り消される、こういうふうにおっしゃっております。
 そして、会長としての発言は、放送法を遵守して、公共放送のトップとしての責任を全うしていく、こういうことが会長会見の中で残っているところであり、またそれを示されたわけであります。

 その上で、今の御指摘の放送法の、領土主権も含める国の公的見解については、先生が今御指摘いただいたとおり、放送法の65条において、国はそういった放送を要請することができる、そして81条において、これは我が国に対する正しい認識を培い、普及すること、これを番組編集においてお願いしているわけであります。

 さらに、NHKが国際番組基準、番組基準を定めている中で、これは「わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える。」このようになっております。

 これは昭和34年から決められている基準であります。それに沿ってNHKはしっかりと活動していく、こういうことが確認されているところでございます。


○高市委員

 国の要請を受けるかどうかもNHKに託されているのだろうと思っておりますが、必要な要請をしっかりと行っていただくようにお願いを申し上げます。
 
 さて、官房長官、26年度の予算案に計上されております対外発信機能を強化するために必要な施策について、特に領土主権に係るものについて、何か新しい取り組みがあれば御紹介ください。


○菅国務大臣

 委員から御指摘のとおり、領土主権について、我が国の立場を対外的にしっかりと主張することは極めて大事だというふうに思っています。

 安倍政権発足の際に新たに設置をされました領土担当大臣、山本大臣のもとに、内閣官房が政府全体としての領土主権に係る戦略的な対外発信を強化すべく、関係省庁と緊密に連携しながら、企画調整をいたしておるところであります。

 そういう中で、具体的に申し上げますと、前政権の際では、内閣府の国際広報予算というのは3億5000万円でした。

 政権復帰してから、私ども5億円を計上しまして、さらに補正予算で8億1000万を計上いたしました。
 さらに、本年度におきましては、内閣府広報予算は18億円を計上して、関係省庁においても、領土主権に関係する予算については、それぞれ増額をさせていただいているところであります。

 具体的に申し上げますと、国内外のシンクタンクや有識者との連携に対しての予算、あるいは領土関係情報発信資料の作成などの予算、それぞれ4億3000万、2億円、こうしたものを計上いたしておりますし、また外務省等においても、所要の施策に係る予算を計上し、我が国の領土主権というものをしっかり対外的に広報していきたいと考えています。


○高市委員

 内閣官房のサイトで、山本一太大臣が、日本語と英語で日本の領土問題について見事な発信をされているのを拝見したところでございます。これからもぜひとも頑張っていただきたいと思います。


☆以下、予算委員会質疑報告③に続く。

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