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政調会人事の話②:農林部会長人事が話題に

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 自民党政調会の部会長人事が話題になることは珍しいことですが、今回は新聞に大きな見出しが躍るなど、ちょっとした騒ぎになりました。

 齋藤健(さいとう・けん)衆議院議員を農林部会長に決めた件でした。

 党内からも驚きの声が漏れ伝わってきました。
「よりによって、高市政調会長が農林部会長に齋藤健さんを選んだらしい。一体どうしてだ?」
「齋藤さんは経産省の官僚だったから、自由化路線だろう。まさか、TPPの農林分野の結果を見据えた人事じゃないだろうな」
「農水省が困惑しているらしいぞ」

 一部の新聞には、「党農林族幹部が農林部会長ポストには坂本哲志議員を推していたのに、高市政調会長がこれを撥ね付けた」とか「官邸の意向が働いた人事か?」といった内容の憶測記事まで掲載される始末。

 坂本哲志衆議院議員の名誉の為に書いておきますが、坂本哲志議員は農林水産政策に精通しておられ、私自身も農林部会長ポストに就いて欲しいと願っていた議員の1人です。
 ところが、部会長人事の際に入手した『衆議院常任委員長就任予定者リスト』の「衆議院農林水産委員長」の欄に坂本哲志議員の名前があったのです。

 国会の常任委員長は、党の部会長とは兼任できないという党人事ルールがあります。
 「坂本哲志議員は既に当選4期だから、部会長よりも衆議院常任委員長を経験された方が、御本人の将来の為にはメリットが大きいだろう」という私なりの判断をしたわけです。

 9月までは、小里泰弘衆議院議員が農林部会長を務め、大活躍をして下さいましたが、その実績から今回は農林水産政務官に起用されました。
 同じく農林分野に詳しい江藤拓衆議院議員も、昨年から農林水産副大臣を務めておられ、そのまま政府での続投が決まりました。

 更に困ったことに、部会長の適齢期とされる当選回数の議員の中で、幹事長室が実施した「希望役職アンケート」に「農林部会長」と書いた議員は皆無でした。

 かなり困り果てていた私の目に飛び込んできたのが、齋藤健議員のアンケート記述でした。彼は、特定の役職名を書かず、ただ1行だけ「苦労する仕事」と書いてありました。

 「そうだ、齋藤健さんが居た!」と、私は膝を打ちました。

 齋藤健議員とは、私が党の経済財政金融調査会の事務総長を務めていた時や、政調副会長を務めていた時に、度々一緒に仕事をしていました。

 元職に関する経済産業分野だけでなく、どの政策分野でも見事な理解力と的確な表現力を発揮して下さる極めて優秀な議員であることは良く知っています。

 自民党では、TPP交渉そのものに関する対応は、政調会では行っていません。安倍総裁の直轄機関(党則83条機関)である「外交・経済連携本部」(衛藤征士郎本部長)の中に設置された「TPP対策委員会」(西川公也委員長)で必要な議論が行われています。

 そんな事情から、これまでも私は、政調会の農林部会長には、「足腰の強い農林業にする為の政策」「農業所得を倍増するという公約実現に必要な政策」の構築と関連法案の審査を求めてきました。

 齋藤健議員でしたら、JETROなどを活用した農産物・林産物の輸出促進、国産農林産品の国内需要創出(学校給食への国産品使用拡充・国産材の活用促進等)、農林分野のサービス・イノベーションの推進、農林業者の新たなチャレンジに資する資金繰り対策、ネット販売などIT活用に初めて取り組む生産者への支援など、もともとの得意分野での政策構築が期待できます。

 「攻めの農林業を実現するには、齋藤健さんの知識やネットワークが役に立つはず」と考え始めるとワクワクしてきました。
 御本人に就任依頼の電話をかけると、「えっ、私が農林部会長ですか…」と驚いておられましたが、「ご希望通りに、『苦労』をして下さい。良い政策を期待しています」と伝え、承諾をいただきました。

 党政調会の人事は、一部に報道されたような官邸主導人事であるはずもなく、官邸からは「どうして齋藤健さんを農林部会長にしたの?」と訝る電話がかかってきた程でした。

 今では、党の政調審議会や総務会の場で、農林部会が審査を終えた農林関係法案の内容説明をする齋藤健部会長の弁舌は実に見事なもので、農林政策への深い理解が無ければ出来ない説明ぶりです。
 最近は、多くの党幹部や農林水産省の官僚からも高い評価を受けていると聞きます。

 一時は波紋を広げた人事ではありましたが、「結果良し」だったと安心しています。

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