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予算委員会質疑報告②:国家像・社会像について

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≪平成25年3月7日 衆議院予算委員会質疑報告②:国家像・社会像について≫



【高市委員】


 安倍総理とは、過去約15年にわたりまして、いろいろな政策について、ともに活動をしてまいりました。
 私自身が安倍内閣につくっていただきたいと考えております国家像、社会像について紹介をしながら、幾つか伺ってまいります。


 第1に、私は、「国民の生命、領土と資源、国家の主権と名誉をしっかりと守り抜く国」をつくっていただきたいと願っております。これは国の究極の使命でございます。


 例えば、日本の安全保障体制の脆弱性につきましては、過去にわたって、リスクに対する備えさえも認めない空気、これに政治がというか日本社会全体が支配されてきた。これが大きな原因でもあります。
 古い話でございますけれども、イラク戦争開戦の直前に政府内で開かれましたある会議で、「開戦直後の初動態勢について、各省庁のすり合わせを今のうちにしておくべきではないか」ということを私が申し上げましたときに、「今、平和のための外交努力をぎりぎりまでしているときに、仮に戦争になったらということで発言をされるというのはいかなるものか」、そういった御意見もございました。
 当時、安倍総理は官房副長官で、その場にいらっしゃいました。
 しかしながら、国際政治の基本というのはネバー・セイ・ネバーでございます。むしろ、「政府は、最悪の事態を想定し、しっかりと準備をしています」と伝える方が、本当の国民の安心につながるのじゃないかと思っております。


 国防のみならず、想定を超えたとされました原発事故の発生、それから社会資本の劣化によります事故を防ぐための防災対策のおくれ、こういったものも、リスクの最小化をする、最悪の事態に備える、こういう信念を持って政府に取り組んでいただかなければなりません。


 安倍内閣では、「世界最高水準の安全を担保する」ということを前提にしまして、タブーなき議論を行い、「あらゆるリスクの最小化に資する制度設計」をしていただきたいと考えますが、この点、いかがでしょうか。



【安倍内閣総理大臣】


 安倍内閣におきましては、希望を前提としないということであります。つまり、現状の認識についてはしっかりと認識をしながら、そして最悪の事態に備えていかなければならない、このように考えているわけであります。


 全ての面において、今、高市さんが指摘をされましたように、例えば外交、安全保障のように、もちろん、平和で安定した状況というのは誰もが望む状況でありますが、そういう状況を望むからこそ、そうならないように努力をしていく。そして、それが破られたときには、どういう体制を整えて国民の生命と財産を守っていくかということに備えていくことこそが我々の責任であろう、このように思っております。



【高市委員】


 第2には、「雇用と所得が拡大する強い経済」をつくっていただきたいと切望いたしております。
 

 私は、絶え間なくイノベーションが起こり、日本列島の隅々まで活発な経済活動が行き渡る国、これをぜひともつくっていただきたいと考えております。
 安倍内閣におかれましては、財政政策、金融政策、そして成長戦略、しっかりと強い意思を持って果敢に行動される、この兆しが見えておりますし、既に、政府、日銀の共同声明、これもすばらしいものでございましたので、この点は安心をいたしております。


 特に、政府、日銀の共同声明の中では、それぞれの役割分担というものが明確になりました。日銀法第四条にのっとりまして、通貨政策も経済政策の一環であること、だからこそ、政府と日銀が連携をしてしっかりと日本の経済を強くしていかなければならないこと、こういったことが定められているということ、これをしっかりと多くの国民の皆様が理解をされたと思います。
 日銀が金融政策をしっかりと担っていく、物価安定目標を達成していく。その手段、何の手段をとるか、これは日銀の独立性に係ることでございますが。また、経済財政諮問会議の方でしっかりと現在の物価の情勢、またこれからの見通しなども検証していただく。そして、政府はしっかりとした財政政策も行い、成長戦略も打ち、しかしながら健全化目標に向かって歩んでいく。この体制をしっかりと維持をしていただきたい、このように考えております。


 さて、第3に、私がつくっていただきたい国なんですが、これは総理に伺います。
まず、「行き過ぎた結果平等を排して、機会の平等が保障される社会」というものをつくっていただきたいと思います。


 私は、ジェラシーに立脚した政策というものが余りにもふえ過ぎると、すぐれた人材も企業も育たないと思っております。
 過去の格差社会論の過熱から、分配政策ばかりが歓迎されるようになって、リスクをとって努力をしている人や企業、こういった方々がたたかれて、伸びるモチベーションを奪い取る政治というものが続いたんじゃないかと思っております。


 むしろ将来に向けては、教育政策にしても税制などにしても、出る杭を伸ばす発想、それから、機会平等を保障する制度設計への移行というものが、日本の競争力を高め、産業空洞化を防ぎ、そしてまた、多くの国民の所得をふやすことにつながるのではないかと私は考えております。
 大変理念的なことではございますけれども、今後の政策設計にかかわることでございますので、総理のお考えを伺います。



【安倍内閣総理大臣】


 まさに今、高市委員が指摘をされた、頑張った人が報われる社会、我々は、選挙を通じて、頑張った人が報われる、流した汗が報われる真っ当な社会を取り戻す、これが自由民主党の大きなテーマであります。そのことを国民の皆様に御評価をいただいて我々は政権に戻ることができた、こう思っています。


 つまり、まさに誰にでもチャンスがある、そういう社会をつくっていくことがまず大前提であります。
 男性であろうが女性であろうが、年をとっていようが、あるいはまた障害があっても、誰にでもチャンスがある。今、生き方が多様化している中において、その考え方によって差別されることもない、そういう社会をつくっていく必要があるんだろう。
 そういうダイナミックな社会こそが、将来成長していく、そういう未来を手に入れることができると思います。


 ただ、もちろん人は時によって、頑張っても、不幸にしてどうしても生活の基盤を失ってしまう場合があります。そういう方々に対しては、しっかりとセーフティーネットを張って、これはみんなで助け合っていく。
 こういう共助の精神とともに、誰にでもチャンスのある、結果平等ではないという社会をつくっていきたい。
 自助自立の精神を大切にする社会、頑張った人が報われる真っ当な社会をつくるために我々は全力を挙げていきたいと思っております。



【高市委員】


 今、「正直者が報われる社会」という方向性、総理から伺いました。まさに私がお願いしたい第4の点でございます。
 これは、強い経済ですとか社会保障の安定性、継続性にも係る考え方でございます。


 昨年、厚生労働省からいただいた資料によりますと、民主党への政権交代後約1年ほど、平成22年度には、生活保護不正受給の告発件数が前年度の倍となっておりました。
 社会保障制度というのは、勤勉に働いて税金や社会保険料を負担してこられた多くの国民の御努力によって成り立っております。一部の方が自分さえ得をすればと考えて行動することによって、ほかの納税者の負担が過大なものになってしまいます。


 過度の依存心を煽るばらまき政策というものを排して、福祉の不正利用をしっかりと排していく、これはもちろん、真に必要な福祉水準の確保を前提としたものでございますけれども、ぜひとも正直者が報われる公正な社会をつくっていただきたいと願っております。


 総理に2点伺います。
 平成25年度予算案の中で、公正な社会をつくることに配慮をされた新たな取り組みがあれば、御紹介をいただきたいと思っております。
 2点目は、前政権が行っていた政策の中で、総理が、過剰な依存心を煽るばらまき政策だと判断されて、廃止や縮小を決めておられる政策があれば、御披露ください。



【安倍内閣総理大臣】


 今、委員の御指摘のような正直者が報われない社会、これは、社会の根底、基盤を崩していくことにつながっていくと思います。


 そうした考え方も踏まえまして、平成25年度予算では、例えば今お話のあった生活保護について、制度の公正さに対する信頼性を確保する観点から、不正受給対策の強化を実施することとしております。


 そして、過度の依存心をあおらない観点から、公助に対する過度な依存が起きないようにするために、例えば子ども手当について、24年度から、所得制限を導入した児童手当として制度が見直しをされたわけであります。
 25年度においても、これを踏まえた内容となっております。


 また、縮小することを決めているわけではありませんが、高校無償化について、真に公助が必要な方々のための制度にすべきという自由民主党の主張を踏まえて、26年度以降については、所得制限を含めて検討をしてまいります。



【高市委員】


 今、生活保護制度のお話が総理から出ました。
 生活保護制度というのは、御自身が病気で働けなかったり、また、失業して次の職に恵まれなかったり、そしてまた、病気のお子さんや親御さんを抱えていてとても働きに出られない、本当に困っていらっしゃる方にとって大切な制度でございます。
 でも、勤勉に働いて制度を支えておられる多くの納税者が、何かこれは不公正だとか不公平だ、こういう感じを持ちますと、制度そのものの継続性が保てなくなってしまいます。


 厚生労働大臣にこの後お伺いをしたいんですけれども、これも厚生労働省からいただいた資料によりますと、東京都区内で、仮に、30歳のお母さんが4歳と2歳のお子さんを育てておられる、こういった母子家庭があったといたします。そして、生活保護を申請された場合に、生活扶助そして住宅扶助を合わせますと、これは最大限の額でございますけれども、26万2700円、1カ月に受給される可能性があるわけでございます。


 一方で、東京都の最低賃金であります時給840円でアルバイトをされて、1日8時間、そして週に5日働かれる、そうした場合に得られる月収は13万4400円でございます。


 そうしますと、フルタイムで働くよりも生活保護を申請した方が得だといったモラルハザードも起きかねない状態であるかと思います。


 そしてまた、生活保護法というのは、憲法第25条、生存権の規定が根拠でございますけれども、憲法第25条は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利というものを保障しております。


 厚生労働大臣に伺いますが、フルタイムでアルバイトをした場合に、今のような状況ですと、憲法に保障された最低限の生活も営めないという解釈にもなってしまいますけれども、この点をどうお考えでしょうか。



【田村国務大臣】


 まずは、政調会長、お誕生日おめでとうございます。これからの御活躍を御期待申し上げます。


 さて、御質問の件でありますけれども、確かに、最低賃金法にも、健康で文化的な最低限度の生活、労働者がこれを営めるように、生活保護の施策と整合性をとる、これに配慮する必要がある、こういうふうになっておりまして、それを踏まえた上で、それぞれの都道府県の、地方の最低賃金審議会、これでいろいろな議論をしていただいて、この最低賃金、生活保障の水準を逆転しているというのがありますから、これを解消できるようにということで御努力をいただいております。


 この5年間ぐらいで、11逆転していたんですけれども、徐々に解消されてまいりまして、今、6都道府県がまだ逆転しておる状況でございまして、これは解消に向かって御努力をいただくということであります。


 いずれにいたしましても、やはり経済状況がよくならないとこれが実現していかないわけでありまして、我々、そういう意味では、アベノミクスと言われておりますけれども、この経済対策、しっかりと実現をして、早期に解消できるように努力してまいりたいというふうに思います。



【高市委員】


 まずは、しっかりとした就労支援、健康で働ける方で就労を希望されている方に対しての御支援をお願いしたいということ。
 それから、御高齢の方で本当にお仕事もできない状態で、しかも生活保護を申請できずに命を落とされる大変痛ましいこともございますので、しっかりとケアができるようにお願いを申し上げます。体制をつくってください。


 第5に、私が求めております社会像でございますけれども、これは、「世界最高水準の教育立国」をつくっていただきたいということでございます。


 まさに教育というのは、国家の基本でございます。学校、家庭、社会がそれぞれの責任をしっかりと果たして、毅然と教えるべきことを教える、そしてまた、しっかりとした躾を行うことによりまして、日本社会が抱える多くの問題が解決に向かうと確信をいたしております。


 教育については、この後、幾つか具体的な点を下村大臣にお伺いしたいと思っております。



☆この後の質疑・答弁は、次回にご紹介します。
 

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