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子供を守る力②

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 特に夏休みの期間中、親御さんたちに気をつけていただきたいな…と思っていることを書かせていただきます。
 

 身体的暴力の被害を受けている子供たちにとっては、学校で加害者に会わなくても済むことが救いになる期間でもありますが、「ネットいじめ」については、時間や空間を選ばずに継続するという深刻さがあります。
 夜間や休暇中など自宅に居る時間もネットいじめは続き、転校しても続くケースがあります。
 

 加害者も、メルアドやチャットルームIDは複数作れるので加害者特定には手間がかかるという特性を知っていますから、匿名による気軽さで対面では言えない様な残酷な言葉を書き込みます。
 被害者側は、加害者がすぐには分からない不安から、周囲の友人たちに対する疑心暗鬼で大きなストレスを抱え込みます。
 

 中傷や写真等をコピーして送られる、チェーンメールとして転送される、直接本人にコメントを送るためのeメールアドレスのリンクを張られる事もあります。
 知人からの攻撃に留まらず、人間関係が無い人による攻撃にまで発展していきます。
 

 被害者の実名や住所、電話番号、写真などが流れ始めたら、直接、見知らぬ人から嫌がらせ電話がかかってきたり、性犯罪に巻き込まれたりといった現実世界の恐怖に繋がっていきます。
 

 残念ながら、行政にもネットいじめの発生件数を正確に把握することはできません。ネットいじめ被害者の3割から4割は、誰にも話していないとされるからです。
 

 私が子供の頃には、電話機は家に1台だけでした。友人との電話も家族が集う居間で会話することとなり、親は子供同士の人間関係や興味の所在をよく把握していました。
 私の両親は、「経済的に自立していない子供にプライバシーなど無い」という考え方でしたから、勉強机の引き出しを自由に開け、日記も読んでしまいます。私の学校生活も友人関係も全て親が掌握している状況でした。
 

 昨今では、自室から携帯電話やメールで友人とやり取りする子供が多い上、ネットいじめに悩んでいても、携帯電話を取り上げられてしまうことを恐れて親に打ち明けないケースが殆どだとされます。
 

 親御さんにとっては、我が子が犯罪に巻き込まれそうになっていることや悪質ないじめを受けていることに気付きにくい環境になっています。
 

 それでも、やはり親御さんの役割は大きいと思います。
 

 是非とも、「子供が使うパソコンや携帯にはフィルタリングをかけること」「パソコンは、居間などの共有スペースに置くこと」「パソコンのブラウザー履歴を定期的にチェックすること」「子供の名前で検索して、ブログやウェブサイトをチェックしてみること」「子供がネットいじめに遭っているということを知った場合には、証拠保全をすること」などを心がけていただきたいと願っています。
 

 そして、学校はもとより各ご家庭でも、匿名性を悪用した誹謗中傷がいかに陰湿で卑怯な行為であるのかということを子供たちに教え込んでいただくことが重要だと思います。
 

 ちなみに、子供たちの安全確保とネットの課題については、私自身も議員立法によって改善したいと頑張ったことがありましたが、親御さん方の更なるご理解とご協力が必要です。
 

 平成20年、私は、自ら起草した「インターネット上の有害情報から青少年を守るための法律案」を通常国会に提出するべく奮闘していました。
 自殺、家出、売春、違法薬物販売、殺人や暴行シーン描写などの関連サイトを規制し、18歳未満の青少年が利用するパソコンや携帯電話についてはフィルタリング(有害サイトに繋がらない措置)をかけることを義務付け、学校における情報モラル教育を推進することも盛り込んだ超大作の法律案でした。
 

 議員立法作業に着手した時から覚悟していたことではありましたが、インターネット業界や総務省関係者の猛反対に加えて、ネット上では私の落選運動まで展開されており、脅迫や嫌がらせの電話も多く、まさに地獄の苦しみを味わいました。
 

 しかし、最もつらかったのは、親御さん方からの反対でした。「有害情報であっても、子供にも『知る権利』があるはずだ」、「子供の携帯電話にフィルタリングをかけるかどうかは『親の教育権』だ」との反対意見が保護者団体から寄せられました。
 

 これが政治的には決定打となり、与野党協議を経てようやく成立した法律からは義務規定と罰則規定が削除され、全く実効性の無い法律が1本増えただけの結末となりました。
 インターネット上の情報が誘因となって子供が加害者や被害者となる事件は、今も多発しています。
 

 インターネットは便利なもので、今や、ビジネスにも勉強にも行政サービスにも日常生活にも欠かせないものとなりました。
 だからこそ、情報通信の健全な発展に向けて「負の側面の克服」への努力を、怠ってはいけないのだと思います。

 

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