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原子力発電所のテロ対策:経済産業委員会質疑報告②

更新日:

《衆議院 経済産業委員会 内閣委員会 連合審査会:質疑報告②》
 

 昨日に続いて、4月27日に衆議院の経済産業委員会と内閣委員会の連合審査会で行った質疑のご報告です。
 

 2回目は、事故を起こした福島第一原子力発電所以外の原子力発電所で実施されている「緊急安全対策」に関して、政府に留意していただきたい点を指摘した部分です。
 

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【高市早苗委員】


 自民党本部では、先週、電力各社から、現在実施中の「緊急安全対策」の内容を聴取した。


 福島第一原子力発電所では「津波によって全ての電源を喪失した」ということから、電力各社では、津波対応に重点を置いた「緊急安全対策」を講じておられる。
 これは、「発電所の構造」についても対応していくと伺っている。


 今回の事故の反省から「津波対応に重点を置いた対策」を講じることが重要であるという点には異論はないが、せっかく電力各社が「構造上の改善」も含めた緊急安全対策を実施するということであれば、同時に「原発テロ対策」も強化できるような内容の対策にしていただきたいと思う。


 今回の事故を受けて、国家公安委員長が何か新たにお気付きになった点はあるか?


【中野寛成国家公安委員長】


 常日頃、特に米国同時多発テロ事件以降、世界各国でテロ対策が強化されている中、特に原子力発電所というのは、やはり我々が最も意識して防護しなければいけない施設であるというふうに思っている。


 今般の東日本大震災発生後、国際テロ情勢に特段の変化があるということは把握をしていないが、いかなる事態にも備える体制というのは、より一層強化していかなければならないと思う。


 今、20キロ圏などを中心にして、24時間体制で警戒警備に万全を期しているところだが、併せて、言われたように、津波とはいえ、原発のどこに弱点があるのかというのは、今回のケースも、我々としては重視をして、守るべきポイントはどこかということなどについて、より一層、さらに精査をしてやってまいりたい。


【高市早苗委員】


 「原子炉建屋そのものへのテロ攻撃」ということだけではなく、今回、電源喪失により非常に深刻な事態が起きたということが世界中に明らかになったので、「電源設備や送電網に重点を置いたテロ対策」も、是非ともお願いをしたい。


 特に国家公安委員長には、原発テロに対処するための警察と自衛隊の共同訓練に、電源設備や送電網をねらったテロにも対応できるプログラムを考えていただきたい。


 官房長官と海江田大臣は、電力各社に「緊急安全対策」の指示を出しておられるが、せっかく構造的な対応をされるのであれば、電源設備や送電網のテロ対策強化という視点も是非とも盛り込んで、追加的な指示をお願いしたい。


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☆テロ対策については、かなり掘り下げた質疑を多数用意していたのですが、戴いた質疑時間が20分間と短く(政府側の答弁時間を除くと実質10分間程度)、今回は、この件では要望を申し上げる程度となりました。


 電力各社が実施しようとしている「緊急安全対策」の内容ですが、例えば、「緊急時の電源確保」の為には、「移動式発電機車・可搬型電源・ケーブルの配備」「非常用ディーゼル発電機への燃料補給手段の確保」「予備蓄電池の確保」「固定式非常用発電機の設置」「発電所構内への配電線敷設」「全交流電源喪失を想定した訓練の実施」などが挙げられています。


 また、「発電所の構造」については、「水密扉への取替え」「建屋や海水ポンプ周りに防潮壁・防波壁の設置」を行うなどの対策が採られる予定です。


 米国同時多発テロ事件以降、警察では、海上保安庁の巡視船とともに、24時間態勢で原子力発電所の警戒警備にあたって下さっています。
 4月22日に警察庁からいただいた文書にも、「国際テロ情勢は、依然として世界各地でテロ事件が発生しているなど、厳しい状況にある」と書かれてあり、警戒警備については十分な緊張感を持って臨んでいただいていることは承知しています。


 しかし、自民党本部での電力各社からのヒアリングでは、「電源・送電施設の構造上の津波対策強化」を実施する上で、「テロ対策を勘案した対応」については「今後の検討課題だ」というお答えでした。


 私は、「原子炉建屋そのものへのミサイル攻撃」や「オペレーションルームへのテロリストの侵入」を防止するだけでは足りず、「電源設備」や「送電網」を狙われた場合にも、炉心や使用済み燃料の冷却機能喪失により重大な事態を招く可能性があるのですから、「せっかくお金をかけて工事をするのであれば、津波対策だけではなくテロ対策も強化できる構造改良にしていただきたい」と願って上記の質疑を行いました。


 3月29日の参議院予算委員会で、菅総理大臣は、原子力事故への取組みについて、「そこまでやらなくてはいいんではないかと言われるぐらいに、しっかりとリスクマネジメントを図ってやっていく」、「今後起こり得る幾つかのシナリオ全てを想定して、それぞれに対して、しっかりとした対処案を準備する」という原則を述べておられます。


 自民党政権時代の原子力政策が、「今後起こり得る幾つかのシナリオ全て」に対応できるものではなかったことへの反省を込めて、自民党エネルギー政策合同会議でも、「原子炉規制の在り方」や「リスク管理に適した原子力関連施設の設計の在り方」についての議論を深めてまいります。

 

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