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菅内閣の会議乱立と「責任の所在」の曖昧さ:経済産業委員会質疑報告①

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《衆議院 経済産業委員会 内閣委員会 連合審査会:質疑報告①》
 

 4月27日(水)、衆議院では、福島第一原子力発電所事故対策や電力需給対策に関して、経済産業委員会と内閣委員会の連合審査会が開催され、僅か20分間でしたが質疑時間をいただきました。
 私が質疑したテーマ別に分けて、概要をご報告致します。
 

 1回目は、東日本大震災及び原発事故に関する対策会議の乱立と複雑な組織図、そしてその組織図が国民や国会議員に明示されないことによる弊害、公表された対策についても責任の所在が不明確であることによる弊害を指摘した部分です。

 

【高市早苗委員】
 

 今回の震災被害や原発事故対応のために、菅内閣は非常に多くの会議を立ち上げた。国民にとっても、国会議員にとっても、組織図が見えにくい状況になっている。
 
 私の手元に、「東日本大震災災害対応に係る政府体制図」という図がある。会合やグループといった名称の組織の数が、大小合わせて28個に上る。
 

 この「東日本大震災災害対応に係る政府体制図」という資料には「機密性2」と書かれてある。
 

 「機密性2」というのは、政府内でどういう取り扱いをするべき書類なのか?


【枝野幸男官房長官】
 

 私が初めて閣僚にならせていただき、行政刷新大臣になった時に、自分の大臣室のパソコンのワードを開けると、自動的に右肩にそれが振ってあった。
 

 別に機密性があるものではないが、要するに機密性の低いものとして、自動的に、パソコンのワードを開けると白地のところに、右肩に付いていたのが「機密性2」情報ということなので、一般的な意味で、「機密性が無い」か「低い」かという性質のものだと理解している。


【高市早苗委員】
 

 官房長官のお膝元である内閣府の「格付の定義」によると、「機密性1」というのは、「公表、公開またはそれを前提として作成した情報」、「職員以外が知り得ても問題のない情報」となっている。
 

 「機密性3」というのは、「本府職員のうち特定の職員だけが知り得る状態を確保する必要がある情報」、「機密文書に相当する機密性を要する情報」となっている。
 

 今、官房長官から「機密性が低い情報」と御答弁いただいたが、この「東日本大震災災害対応に係る政府体制図」に記された「機密性2」については、「職員だけが知り得る状態を確保する必要があるが、通常、特定の職員に限定する必要がない情報」、「漏えいにより国民の権利が侵害され、または行政事務の遂行に支障を及ぼす恐れがある情報」と書かれている。
 

 何故、この「東日本大震災災害対応に係る政府体制図」が「漏えいにより国民の権利が侵害され、行政事務の遂行に支障を及ぼす恐れがある情報」に当たるのか。
 

 むしろ、この組織図は、国民や国会議員に明らかにされなければならない。「機密性2」と位置づけていること自体がおかしい。
 

 既に報道されている「第1次補正予算案の骨子」でさえ、自民党本部に来た時には「厳秘」というマークが押されている。
 情報の分類やレーティングを間違っているのではないか。そして、出すべき情報を出さない体質が菅内閣にあるのではないかと思う。
 

 先ず、この「機密性2」については、何故こういうことになっているのか?
 そして、この組織図は、もっと分かり易く国民や国会議員にお示しいただきたいが、答弁を願う。


【枝野幸男官房長官】
 

 御指摘の通り、全く機密扱いにする必要のない文書だと思うので、その右肩に付いていているものは、今後、当然外させる。
 

 どうやら役所の色々な文書が、普通にワードを立ち上げて打つと「機密性2」情報と付けられているようなので、私の立場から全省庁に対してそれを外せという指示を出す。
 

 その上で、必ずしも、例えば「情報公開法」の趣旨等に鑑みた時に、厳秘扱いにする必要がないものまで何となく無難に「マル秘」とか「厳秘」とかと押す傾向があるということは私も感じていたので、本当にそういった機密性が要るものであるのかどうかをしっかりと判断した上で、そういった扱いをするようにという指示も、各省に対して連絡を出したいと思っている。
 

 当然のことながら、特に今回の原発事故等に絡むようなところについては、あらゆる情報を全て出すようにということについては、口頭等で折に触れて申し上げてきているところだが、これについても、更に徹底して指示をしたい。


【高市早苗委員】
 

 全てに通ずることだ。
 政権交代をしてから、特に「政治主導」ということを打ち出されてから、多くの情報が国民の代表である国会議員にも伝わらなくなってきている。
 

 自民党政権時代なら、どの党から請求があった場合でも「厳秘」や「機密性」の判子も押さずに官僚の判断で出していたような資料、つまり、制度の運用といった程度の情報ですら、私たちが政府に要求をすると、「政務三役の了解がなければ出せない」ということで、情報が国民に示されない状況である。
 官房長官、是非ともしっかりと対応をお願いしたい。
 

 今般の福島第一原子力発電所事故については、原子力安全・保安院、経済産業省、東京電力、官房長官、原子力安全委員会がばらばらに記者会見を行って、情報が錯綜することによって国民が不安になっているという一面も各方面で指摘をされている。
 

 例えば、先ほどの「東日本大震災災害対応に係る政府体制図」によると、経済産業大臣、細野総理補佐官、東京電力で「福島原子力発電所事故対策統合本部」を立ち上げて、この統合本部は、総理が本部長を務める「原子力災害対策本部」と連携するということになっている。
 

 政府と東京電力でこの統合本部を立ち上げたのであれば、毎日の記者会見にしても、先般発表された「原発事故の収束に向けた工程表」の発表にしても、発信する情報を一元化して、その内容についても官房長官か経済産業大臣が責任を負う形で一括して会見を行うべきだと思うが、経済産業大臣はどうお考えになるか?


【海江田万里経済産業大臣】
 

 先立って東京電力が発表した「事態の収束に至る道筋」、「工程表」と言われているが、私どもは「工程表」という表現は使っていないが、その「道筋」の発表に間に合わなかったから、その時もそういう御意見をいただいた。
 

 今週の月曜日から、これは東京電力の中でだが、統合本部の記者会見には保安院も参加をしている。
 もちろん東京電力も参加をしている。
 それから、必要に応じて原子力安全委員会も陪席するが、全体の取りまとめを統合本部の事務局長である細野補佐官がやって、これもまたいろいろな御批判もあるが、とにもかくにもそういった体制で情報発信をしていこうということで、今行われているところだ。


【高市早苗委員】
 

 この「原発事故の収束に向けた工程表」の位置づけについて伺う。
 

 4月20日の経済産業委員会で、海江田大臣は、「あくまでも作業をやります主体は東京電力ですから、その意味で、東京電力がまとめてああいう形で発表していただいたということです」と答えておられる。
 

 その答弁を伺った時に、「工程表の内容や実現というものについて、菅内閣は責任を負わないということなのかな」という印象を受けた。
 

 一方で、細野総理補佐官は、「工程表の実現に政府が責任を負わないということはあり得ない」と発言しておられる。
 

 また、海江田大臣も、4月24日の「日中韓経済貿易大臣会合」に於いて、韓国と中国の担当大臣に対して、この工程表の内容を提示しながら、収束に向けた道筋を説明されたという旨を、経済産業省北東アジア課より伺っている。
 

 農林水産品のみならず工業製品についても、それから被災地だけではなく日本全体の生産者が風評被害に苦しんでおられる中なので、工程表を公に発表したり、諸外国の大臣への説明に使用されるのであれば、その内容や実現については菅内閣が全面的に責任を負うものであるということを明言されるべきだ。
 

 この工程表の内容や実現については、菅内閣によってオーソライズされたものだと考えてよいか?


【枝野幸男官房長官】
 

 この原発事故の収束は、政府と東京電力の両者が責任を持って、国民の皆さんあるいは国際社会に対して収束をさせる責任を負っているというふうに思っている。
 

 また、それを進めていく上での工程表も、原子力安全・保安院をはじめ政府も、統合本部のもとで事実上、色々な意味で共同して、その上で東電としての工程表を作って提示したので、この実現に向けて、政府としてもしっかり責任を持って進めてまいる。
 

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☆この日、枝野官房長官は、「情報の格付け見直し」の指示を各省庁に出して下さったようで、早々に経済産業省からは連絡をいただきました。
 

☆次回も、この質疑の続きをご紹介します。
 

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