コラム

  1. TOP
  2. コラム
  3. 5期目だ!野党だ!!永田町通信 平成21年10月~平成24年12月
  4. 「森林法改正案」は、高市案と政府案の合体版で、本日成立!

「森林法改正案」は、高市案と政府案の合体版で、本日成立!

更新日:

 昨年4月以来、外国資本等による森林買収に一定の歯止めをかけることなどを目指して起草作業に励んでまいりました「森林法の一部を改正する法律案」について、嬉しいご報告です。
 

 「森林法の一部を改正する法律案」は、臨時国会開会中だった昨年11月30日に、私が代表提出者となって衆議院に提出し、今年の通常国会では継続審議扱いとなっていました。
 

 自民党の議員立法を受けて、政府側も、本年3月1日になってから「森林法の一部を改正する法律案」という全く同じ名称の法案を衆議院に提出してきました。
 

 議員立法と政府提出法案の両案は、去る3月23日の衆議院農林水産委員会で審議入りし、3月30日に同委員会で質疑と採決が行われました。
 

 3月11日以降、国会では、東日本大震災や福島第一原発事故への対策を最優先にした審議日程となっていましたが、この「森林法の一部を改正する法律案」は震災復興対策にも活用できる内容でしたので、早期の審議入りとなりました。
 

 私たちが提出した議員立法は、「森林所有者等の届出制度の創設」、「地方自治体による公有林化への財政支援措置」、「森林組合などを活用した施業の集約化の推進」、「無届伐採が行われた場合の造林命令及び中止命令の新設」、「所有者不明森林の行政による植栽代執行制度」などを規定していました。
 

 政府提出法案は、「所有者不明森林の適正な森林施業を確保する為の施策」、「無届伐採が行われた場合の造林命令の新設」、「森林計画制度の見直し」が主な内容です。
 

 3月30日の衆議院農林水産委員会では、質疑終了後に、「自民党の議員立法と政府提出法案を合体した修正案」が提案され、全会一致で可決、翌31日の衆議院本会議でも可決し、参議院に送付されました。
 

 昨日の参議院農林水産委員会で可決し、本日4月15日、とうとう参議院本会議でも可決し、成立しました。
 

 私が何よりこだわって規定したのは、「森林所有者等の届出制度の創設」と「地方自治体による公有林化への財政支援措置」でした。
 

 所有者不明の森林が放置されていることは外国資本の思うツボですし、行政が適切な指導監督を出来ないことから伐採後の植栽もされないままに山が荒れています。
 先ずは、日本全体の森林について、所有者を明確にする届出制度が必要だと考えました。
 

 地方自治体は、国土利用計画法の届出に係る情報の他、固定資産課税台帳等に記載されている個人情報を保有していますが、「個人情報保護条例」などによって情報共有ができず、林政部局が所有者情報を十分に把握できない現状でした。
 そこで、抜本的な対策として「全ての森林所有者等に係る届出制度」の新設が必要だと考えました。
 

 自民党案では、「新規所有者」に届出義務を課すとともに、経過措置の項目で「既存の所有者」にも届出義務を課していました。
 しかし、与野党の修正協議の際に、政府側から「既存の所有者の届出までは、実務的に対応できない」という話が出て、修正案では「新規所有者の届出義務」だけになってしまいました。
 

 これでは実効性が半減してしまいますので、起草者としては大いに不満だったのですが、代わりに「都道府県知事及び市町村の長は、この法律の施行に必要な限度で、その保有する森林所有者等の氏名その他の森林所有者等に関する情報を、利用目的以外の目的のために内部で利用することができること」という規定が入りましたので、今回は我慢することとし、法施行後、数年間の状況を見ながら、必要があれば再改正を試みることにしました。 
 

 また、既に東京都などが重要な水源林の公有林化を進めていますが、同様の取組みをする地方自治体を財政支援する措置も盛り込むことができました。外国資本による買収に歯止めをかける上では最も実効性がある施策です。
 

 7ヶ月もかけて起草した法律案でしたので、自民党の殆ど全ての項目を入れた修正案を可決していただき、とても嬉しく思っています。
 昨年以来、全国の多くの皆様から激励やアドバイスを賜り、有難うございました!

 

《以下、参考資料》


【自民党案(議員立法)の概要】


1、森林所有者等となった旨の届出等
 

①新たに森林所有者等となった旨の届出(地域森林計画対象の民有林)
②法施行の際現に森林所有者等である旨の届出(同)(経過措置)
③市町村長から都道府県知事への届出内容の通知(保安林又は保安施設地区内の森林)


2、伐採の中止及び伐採後の造林の命令
 

地域森林計画の対象の民有林(保安林等を除く)において、市町村長は、
①届出をしなかった者の行った伐採又は伐採後の造林が、市町村森林整備計画に不適合
で、かつ、
②森林の有する公益的機能を維持するために必要があると認められるときに、
伐採の中止命令又は造林の命令を行うことができる規定の新設


3、命令をした場合の代執行
 

都道府県知事又は市町村長は、造林又は植栽等に係る命令をした場合において、
①当該命令を受けた者が当該命令に係る行為を行わず、行っても十分でなく、又は行う見込みがなく、かつ、
②当該森林の現に有する水源のかん養機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼす等のおそれがあると認められるとき、
自ら当該行為の全部又は一部を行うことができる規定の新設


4、罰金刑の上限の引上げ
 

①林地開発の許可違反、保安林の立木の伐採許可違反等(50万円→100万円)
②保安林以外の森林の立木の無届伐採等(30万円→50万円)
 

5、国及び地方公共団体が講ずる措置等
 

①保安林に係る適切な権限行使
②森林の土地に係る境界の確定のための措置
③森林に関するデータベースの整備等
④施業の集約化等の事業の推進
⑤森林所有者等が不明な場合の間伐又は保育に係る制度の創設等
⑥地方公共団体が行う保安林等の買入れ等に係る財政上の措置


6、施行期日等
 

 施行期日及びその他の所要の措置

 

【政府案の概要】


1、趣旨
 

森林の有する公益的機能を十全に発揮させるため、森林計画制度の見直しを行うとともに、
①森林所有者が不明の場合にも適正な施業を確保するための措置、及び
②森林所有者のいかんを問わず、無秩序な伐採による公益上の支障を防止するための措置を講じる。


2、概要
 

ア 森林計画制度の見直し
 

森林所有者等が作成する現行の森林施業計画を見直し、持続的な森林経営を確立し得る計画に転換するため、
①計画の認定要件に、路網の整備状況等に照らして計画内容を適正かつ確実に実施できると認められることを追加する
②計画の記載事項に、森林の保護に関する事項を追加する
③計画の作成主体は、森林所有者のほか、森林経営の委託を受けた者とする
等の改正を行う。
 

イ 森林施業に必要な土地使用権の設定手続の改善
 

路網等の設置のために必要な他人の土地について、土地所有者等が不明の場合でも使用権の設定を可能にするため、意見聴取の機会を設ける旨を公示すること等により、手続を進められるよう措置する。
 

ウ 早急に間伐が必要な森林の施業代行制度の見直し
 

森林所有者が、早急に間伐が必要な森林(要間伐森林)の間伐を行わない場合に、所有者が不明であっても、行政の裁定により施業代行者が間伐を行うことができるようにするなど制度を拡充する。
 

エ 無届伐採が行われた場合の行政命令の新設

無届による伐採について、伐採後の造林を行わせるための命令を新たに発出できるよう措置する。


3、施行期日

平成24年4月1日(森林計画制度の見直しに伴う都道府県・市町村等の計画の改定については、公布日)

 

【修正案要綱】 ☆以下の項目を政府案に加えたものが成立


1、森林の土地の所有者となった旨の届出
 

①地域森林計画の対象となっている民有林について、新たに森林の土地の所有者となった者は、市町村の長にその旨を届け出なければならないこと。ただし、国土利用計画法第23条第1項の規定による届出をしたときは、この限りでないこと。                   

②市町村の長は、1の届出があった場合において、当該届出に係る民有林が保安林等であるときは、都道府県知事に当該届出の内容を通知しなければならないこと。                   

③1に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、10万円以下の過料に処すること。                    


2、森林所有者等に関する情報の利用等
 

①都道府県知事及び市町村の長は、この法律の施行に必要な限度で、その保有する森林所有者等の氏名その他の森林所有者等に関する情報を、利用目的以外の目的のために内部で利用することができること。 
                      
②都道府県知事及び市町村の長は、この法律の施行のため必要があるときは、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、森林所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができること。    


3、伐採の中止命令
 

市町村の長は、届出義務に違反して立木を伐採した者に対し、造林命令のみならず、伐採の中止を命ずることができることとすること。
                        

4、国及び地方公共団体が講ずる措置
 
国及び地方公共団体が講ずる措置について、以下の規定を設けること。
①保安林に係る権限の適切な行使             
②森林の土地の境界の確定のための措置       
③森林に関するデータベースの整備等        
④施業の集約化等の事業の推進           
⑤地方公共団体が行う保安林等の買入れに係る財政上の措置
                           

5、施行期日の見直し
 

行政による立入調査の主体の拡大に係る改正規定並びに上記第2及び第4については「公布の日」から、土地の使用権の設定に関する協議の認可等に係る改正規定については「公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日」から、それぞれ施行することとすること。     


6、その他
 

その他所要の規定の整理を行うこと。
 

前のページへ戻る

  • 自民党
  • 自民党奈良県連
  • リンク集