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「地下水の利用の規制に関する緊急措置法案(議員立法)」の内容

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 今日は、昨日アップした「森林法の一部を改正する法律案」とセットで衆議院に提出しました「地下水の利用の規制に関する緊急措置法案」について解説文を掲載します。
 

 この法律案も、「地下水の公共性」を謳い、土地所有者の国籍に関係なく「秩序ある地下水利用」を求めるものではありますが、例えば外資が地下水脈上の土地を買収して大量の水を汲み上げて母国に持ち去るような動きに対しては、一定の歯止めをかけることを念頭に置きながら作成しました。
 
 「土地所有権」には、「その土地において地下水を利用する権利」が含まれていることから、これを制限する法令がない場合には、土地所有者は自由に地下水を利用することができます。
 

 しかし、地下水は、広い地域を基盤とし、長い期間をかけて涵養されるものであり、また、その水流が広域にわたって存在し、流域全体において多面的な機能を発揮する国民共通の貴重な財産です。
 このような性質に鑑みれば、地下水は、たまたまある土地の地下に存在するからといって、その土地の所有者が無制限に利用してよいというものではなく、むしろ、「公共の利益」に最大限に沿うように利用されるべき資源だと考えます。
 

 現状では、地下水の利用を規制する法律としては、地盤沈下の防止を主目的とした「工業用水法」と「ビル用水法」、温泉の適正利用を主目的とした「温泉法」が存在するのみです。
 

 本来であれば、地下水の利用の規制に関する総合的な法制度があってしかるべきですが、現在そのような制度はなく、その検討には相当の時間を要します。
 このため、総合的な利用規制が講ぜられるまでの間の当面の緊急措置として、地下水の水源保全や渇水時等における水の公共的利用など、現行法とは異なる観点から必要な規制を行うことができるよう、この法案を提出しました。


 以下、法案内容を解説します。


 第1に、「地下水の水源の保全又は渇水等の事態における地下水の公共的な利用のため地下水の利用を規制する必要が生じており、又は生じる蓋然性があると認められる地域」を、国土交通大臣が、「地下水利用規制地域」として指定することができることとしました。
 

 この地下水利用規制地域の指定に当たっては、国土交通大臣は、「関係行政機関の長及び関係地方公共団体」に協議するほか、「国土審議会」の意見を聴くこととしており、地域の地下水の利用状況等を適切に反映することとしています。


 第2に、「地下水利用規制地域内」において、「一定の要件に該当する井戸を利用して地下水を採取する者」に対し、「届出義務」を課すこととしています。


 第3に、地下水の需給バランスが大きく崩れ、地下水位が大きく低下するなど「地下水利用規制地域内における地下水の水源の保全を図るために特に必要があると認めるとき」には、国土交通大臣は、「地下水の採取を禁止し、又は制限することができる」こととしています。


 第4に、「渇水等の事態に対処するため緊急の必要があると認めるとき」には、国土交通大臣は、「採取した地下水を水道事業者等に供給するよう命ずることができる」こととしています。
 

 この供給命令に基づき「地下水を供給した者」に対しては、「地下水の供給を受けた者」が補償をしなければならないこととし、その補償の額は当事者間の協議により定めることとしています。
 協議が調わない場合は、国土交通大臣が、実費(揚水設備の使用に係る費用等で、水自体の対価は含まない)を基礎とする補償額の裁定の基準に基づき裁定をすることとしています。


 第5に、国土交通大臣は、「届出義務の対象となる井戸の要件」、「地下水の採取制限等の処分を発動する基準」及び「補償額の裁定の基準」を、地下水利用規制地域ごとに策定することとしています。
 

 これらの策定に当たっては、関係行政機関の長及び関係地方公共団体に協議するとともに、「地下水採取者の意見を反映するために必要な措置」を講じなければならないこととしています。
 

 また、地下水の採取制限等の「処分の発動基準」の策定に当たっては、「地方公共団体に負担金を拠出している場合」など「地下水利用の公共性」を考慮することとしているほか、「補償額の裁定の基準」の策定に当たっても同様に、地下水の利用の公共性の観点から特に配慮すべき事情がある場合には別段の定めをすることを可能としています。
 

 これらの措置を講じることにより、地下水利用規制地域内において「現に地下水を採取している者」への配慮を可能としました。

 
 以上、簡単ではありますが、法案内容説明です。
 森林法改正案とともに来年の通常国会で成立させることを目標に、他党議員への根回しも含めて頑張ってまいります。
 

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