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「日本の水源林を守る議員勉強会」報告②:1本目の議員立法案要綱

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地下水の利用の規制に関する緊急措置法案(仮称)要綱素案

第一 総則

 一 目的

 この法律は、地下水が、国民共通の貴重な財産であり、公共の利益に沿うように利用されるべき資源であるとの観点から、地下水の利用に対する規制が総合的に講ぜられるまでの間の緊急の措置として、特定の地域内における地下水の利用について必要な規制を行うこと等について定め、もって国民生活の安定及び公共の利益の増進に寄与することを目的とすること。
 

 二 基本理念

 地下水は、広い地域を基盤とし、長い期間をかけて涵養されるものであり、かつ、その水流が広域にわたり、流域全体において多面にわたる機能を発揮する国民共通の貴重な財産であることにかんがみ、公共の利益に最大限に沿うように利用されなければならないこと。


第二 地下水の利用の規制

 一 地下水利用規制地域の指定等

 1 国土交通大臣は、地下水の水源の保全又は渇水若しくはこれに準ずる事態における地下水の公共的な利用のために土地の所有者等による地下水の利用を規制する必要があり、又は規制する必要が生ずる蓋然性があると認められる地域を地下水利用規制地域として指定することができること。
 

 2 国土交通大臣は、地下水利用規制地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、国土審議会及び関係地方公共団体の意見を聴かなければならないこと。
 

 3 国土交通大臣は、地下水利用規制地域の指定をする場合には、当該指定に係る地下水利用規制地域について、次に掲げる事項を定めるものとすること。
 

 ⑴ 二の届出を要する揚水設備(動力を用いて地下水を採取するための設備をいう。以下同じ。)の要件

 ⑵ 四3の補償の実施に必要な基準
 

 4 3⑵に掲げる事項を定めるに当たっては、地下水が、国民共通の貴重な財産であり、公共の利益に沿うように利用されるべき資源であることを踏まえ、揚水設備の使用に係る費用その他地下水の採取及び保存に係る実費を基礎として定めるものとすること。ただし、地下水の利用に関し地方公共団体に負担金を拠出している場合その他公共性の観点から特に配慮すべき事情がある場合に別段の定めをすることを妨げないこと。
 

 5 国土交通大臣は、地下水利用規制地域の指定をする場合には、当該指定に係る地下水利用規制地域について、三又は四1の命令(以下単に「命令」という。)を行うかどうか、地下水利用規制地域において地下水を採取している者(以下「採取者」という。)のうちどの範囲の者を命令の対象とするか及びどのような命令を行うかについて判断するために必要な基準を定めるものとすること。
 

 6 5の基準(採取者のうちどの範囲の者を命令の対象とするかに係る部分に限る。)を定めるに当たっては、上水道、生活用水等地域住民の日常生活に直結する地下水の利用を優先的に保障するとともに、地下水の利用に関し地方公共団体に負担金を拠出している場合はそれに配慮する等、採取者の地下水の利用の公共性を考慮するものとすること。
 

 7 国土交通大臣は、3に掲げる事項又は5の基準を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係地方公共団体及び採取者の意見を聴かなければならないこと。
 

 二 届出

 地下水利用規制地域内の揚水設備(一3⑴により定められた要件に該当するものに限る。以下同じ。)により地下水の採取をしようとする者は、揚水設備ごとに、国土交通大臣に届け出なければならないこと。
 

 三 地下水の採取の禁止等

 国土交通大臣は、地下水利用規制地域における地下水の水源の保全を図るため必要があると認めるときは、当該地下水利用規制地域内における揚水設備の所有者、管理者又は占有者(四において「揚水設備所有者等」という。)に対し、当該揚水設備による地下水の採取を禁止し、又は制限することができること。
 
 四 緊急時における地下水の供給

 1 国土交通大臣は、渇水又はこれに準ずる事態に対処するため緊急の必要があると認めるときは、揚水設備所有者等に対し、期間、水量及び方法を定めて、採取した地下水を保管し、又は国土交通大臣が指定する公共のために水を利用する者に供給すべきことを命ずることができること。
 

 2 国土交通大臣は、1の措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた揚水設備所有者等がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても1の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができること。
 

 3 1又は2により供給を受けた者は、当該揚水設備所有者等に対して、一3⑵により定められた基準に従い、補償をしなければならないこと。


第三 雑則

 一 土地の立入り、報告の徴収及び立入検査

 地下水の状況に関する測量又は実地調査のための土地の立入り、揚水設備の構造及び使用の状況に関する報告並びに揚水設備の設置の場所又は揚水設備に係る採取者の事業場への立入検査に関する規定を設けること。
 

 二 条例との関係

 この法律の規定は、地方公共団体が、地下水の利用に関し、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではないこと。


四 罰則

 一 第二の三又は四1の命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処すること。
 

 二 第二の二の届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処すること。
 

 三 次の1から3までのいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処すること。
 

  1 第三の一の測量又は実地調査のための立入りを拒み、又は妨げた者
  2 第三の一の報告をせず、又は虚偽の報告をした者
  3 第三の一の立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者


第五 施行期日等

 一 施行期日

 この法律は、○○から施行すること。
 

 二 検討

 国は、地下水が、その存する土地の所有権に基づき自由に利用すべきものではなく、国民共通の貴重な財産であって、公共の利益に沿うように利用されるべき資源であるとの観点から、地下水の利用に対する規制の在り方について、速やかに、総合的な検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとすること。
 

 三 その他

 国土交通省設置法等の一部改正その他所要の規定を整備すること。

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