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中国人船長釈放の愚挙。民主党政権に問いたいこと

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 日曜日の夕方ですが、官邸周辺で菅内閣の愚かな対応に抗議しておられる方々の声が、街中に響き渡っています。
 

 国会閉会中である現在は委員会質疑も質問主意書の提出も不可能であることから、国民の代表である国会議員でありながら、多くの国民の皆様が抱いておられるであろう悔しさや疑問を代弁する機会を得ることができず、もどかしさで一杯です。
 

 沖縄県石垣市尖閣諸島近くの日本領海内で日本の海上保安庁巡視船「みずき」に衝突して公務執行妨害で逮捕・送検されていた中国漁船の其雄船長を、那覇地検は、拘置期限の5日も前である24日に「処分保留」で釈放してしまいました。
 
 チャーター機で中国に帰国した船長は英雄扱い。
 福建省の空港では中国政府の外務次官補の出迎えを受け、マスコミ取材には「日本側は、繰り返し私が入った場所が日本領海だったと認めさせようとしたが、私は拒否した。私が死んでも釣魚島は中国のものだ。今後も釣魚島で漁をしていく」と答えた旨が報道されています。
 そして昨日、中国政府は、日本に対して「謝罪と補償」を求めてきました。
 

 私自身が菅内閣に対して疑問を投げかけることができる最初のチャンスは、臨時国会召集予定日である10月1日の午前10時から可能な質問主意書の提出です。
 現在の自民党執行部が本会議や予算委員会の質疑者に私を選んで下さる可能性は低いと思いますので、時間はかかりますが閣議決定した答弁書を返してもらえる質問主意書を活用するしかないだろうと考えています。
 

 明日から国会召集日までの4日間で事態がどう動くのかを注視した上で質問主意書を作成しますが、現段階で菅内閣の見解を問うてみたい点の一部を挙げてみます。
 

 第一に、那覇地検の鈴木亨次席検事が記者会見で「我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当ではないと判断した」と述べ、仙谷官房長官が「地検独自の判断」であることを強調した点についてです。
 

 普段は「外交一元化」を強調している政府は、地検が「外交判断」をすることの是非については如何に考えているのでしょうか?
 

 また、地検が独自で行ったと主張しておられる「外交判断」の契機となった事象は何だったのでしょうか?
 閣僚級交流の中止?条約交渉の中止?青年交流の中止?レアアースの輸出停止?フジタ社員の拘束?
 

 そして、本当に地方検察庁が、最高検察庁や内閣官房と相談もしないで、重大な決定を行い得たのかどうか?…絶対にそんなはずは無いと感じます。
 仮に那覇地検の釈放決定に菅総理大臣や仙谷官房長官や柳田法務大臣が関与していたとしたら、官房長官が虚偽の記者会見をしたことになります。
 

 第二に、鈴木次席検事が「漁船を巡視船に故意に衝突させたことは明白で、危険な行為だった」としながら、「巡視船の損傷は、航行に支障が生じるものではない」、「巡視船乗組員が負傷する被害がない」、「衝突は、巡視船の追跡を免れる為の咄嗟の行為で、計画性が認められない」という事を釈放理由とした点についてです。
 

 仮に今後、日本の船であれ中国以外の外国船であれ、海上保安庁の巡視船に衝突して公務執行妨害行為を行った船があった場合、海上保安庁の船が航行可能な損傷であって怪我人も出なければ、検察側は同程度の処分で済ますということになるのでしょうか?
 命懸けで任務を遂行しておられる海上保安庁職員の無念は如何ほどかと思います。
 

 また、船長の逮捕後、「悪質性が高い」としてきた見解は、変わったのでしょうか?
菅内閣も「法に則って粛々と」対応するとしていましたが、まともな法執行だったと胸を張れるのでしょうか?
 

 那覇地検には、「取り調べによって如何なる事実を把握したのか」、「中国漁船の行為については具体的にどの行為を違法と考え、どの行為を合法と考えたのか」、根拠にした法律名を挙げながら説明をしていただきたいものです。
 鈴木次席検事を、参考人として国会に招致する必要があると考えています。
 

 第三に、日本領海内での外国漁船不法操業に対する今後の対応方針や、日本の漁業者を中国から守る手段についてです。
 

 中国漁船の其雄船長は「今後も釣魚島で漁をしていく」と発言しているようですが、再び彼の船が不法操業をしたとしても、「中国への外交的配慮」から逮捕や拘置は為されないということでしょうか?
 

 中国以外の漁船であれば、どう対応する方針なのでしょうか?
 

 また、25日に中国外務省が発表した声明には「釣魚島とその付属島は古くから中国の領土であり、中国は争うことができない主権を有する」との文言がありました。
 今回の1件によって、沖縄県の漁業者が尖閣諸島付近で操業していたら中国側に拿捕される危険性が、これまで以上に高まったと考えるべきだと思います。
 菅内閣は、日本の漁業者を守る為の手段について、どう考えているのでしょうか?
 

 この他にも多くの疑問点がありますので、国会召集日に質問主意書にまとめて提出致します。
 

 それにしても、昨日までの報道番組や討論番組の中で、船長釈放に関する日中双方での街頭インタビュー映像が紹介されていましたが、中国人は「中国の領海だから、当然」「釣魚島は中国の領土だ」とコメントしているのに対し、日本人は「政府はもっと毅然とした対応を」という方がおられる一方で「中国人観光客が減ると困るから、これで良かった」「経済の方が大事だから、もっと早く釈放するべきだった」とコメントされる方々もいて、とても虚しくなりました。
 

 以前より手がけてきた「領土教育の充実」を推進することが大切だと、改めて痛感しました。
 

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