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日本を潰すな!菅内閣の予算編成を注視

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 選挙区では、夏祭りシーズンに突入。1日に数箇所の夏祭りにお招きをいただきます。
 正午や午後3時といった時間帯に炎天下で開催される行事も多く、ある会場で温度計を見ると、気温は39度。
 先週の土曜日と日曜日は、大半を猛暑の中で走り回って過ごした為、夜になると頭痛がひどく、少々バテ気味でありました。
 
 お祭りの準備や片付けをされる主催者の皆様は、もっと大変だと思います。盆踊りはこれからが本番。水分を十分に補給なさって、熱中症にご注意下さいね。
 
 さて、ニュース番組では、菅内閣が平成23年度予算編成に向けた作業を行っている模様が報道されています。
 

 昨夏の衆院選後に行われた平成22年度予算編成は、「無知」を通り越した酷いものでした。
 シーリングもかけずに各省庁に要求をさせて、驚く程に膨れ上がってしまった規模の予算を、再び自分たちで事業仕分けしているという変な光景を見せられました。
 「政治主導」を標榜するのであれば、各省の大臣が省内で施策の必要性や効果を十分に吟味した上で概算要求をすれば、税金を使って事業仕分けショーを行う必要は無かったはずです。 
 

 ところで、私自身が閣僚として閣議決定の署名をした予算案は、安倍内閣が編成した平成19年度のものでした。僅か3年前の予算です。
 予算総額は約79兆円。
 税収は53・5兆円で、国債発行額は25・4兆円でした。
 
 当時は、内閣が「福祉から就労へ」という方針を掲げ、雇用創出に繋がる景気対策に重点を置いていた為、株価は平成元年以降で最高値を記録し、年金基金の運用も好調で、税収もそれなりに確保できていました。
 

 民主党政権が初めて編成した予算は、今年度(平成22年度)予算です。
 予算総額は史上最大規模の約92兆円。
 税収は37・4兆円で、国債発行額は44・3兆円です。更なる不足分は、特別会計積立金10・6兆円を取り崩して補っています。
 

 これでは、月収37万円のご家庭が、92万円分の生活をしたいと考え、44万円の借金をし、10万円以上も預金を使ってしまった状態と同じです。
 
 税収を超える規模の国債を発行し、蓄えまで使ったものの、子供手当や高校無償化など新規施策の固定経費は莫大でした。
 サラリーマンの社会保険料負担の大幅増や、学校耐震化予算や科学技術予算のカット等、しわ寄せが顕在化しました。
 

 今夏になって、菅総理大臣が「消費税率の引き上げ」に言及されました。
 検討すべき数字として、自民党が提案していた「税率10%」を挙げられましたが、自民党は子供手当などのばら撒き政策を続行することを前提にはしていません。
 

 民主党が選挙の度に公約してきた様々な政策を実行するとなると、税率の検討は容易ではないはずです。
 

 仮に民主党が公約した「基礎年金を全額税方式に切り替える」という政策まで実施することになると、それだけで消費税率4・5%分の経費がかかります。
 子供手当や高校無償化にかかる経費、高速道路無料化にかかる経費、医療費増加分などをカバーし、更に国と地方の借金862兆円を少しずつ減らしていくとなると、新たに必要となる税収額は、消費税率10%程度のものではあり得ません。
 

 そもそも国民は、大増税を前提にして子供手当や高校無償化の実施を求めていたのではないと思います。
 

 3年前の参院選では、民主党は、「無駄を省けば、15・3兆円の財源が出る」と主張していました。
 昨夏の衆院選では、「我々なら、16・8兆円の財源を捻出できる」と主張していました。
 国民は、「無駄を省いて出てきた余分なお金で子供手当を貰えるのであれば、有難いことだ」と考えたのでしょう。
 

 しかし、民主党政権の「事業仕分け」でカットできたとされる金額は7000億円。
 それも、日本の国際競争力増強や国民の安全確保に必要な予算まで縮減して捻出したものです。
 今後についても、仙谷官房長官が「無駄を省けても、せいぜい2兆円」と発言しておられます。
 

 平成23年度政府予算編成作業を行うにあたって民主党政権に望みたいことは、公約の再検証です。
 

 民主党が主張していた「16・8兆円の財源を捻出できる」という前提が崩れた今、改めて「真に国民にとって必要な行政サービスは何か?」、「それは、新たな税負担を許容してでも必要なサービスだと考えられているのか?」という議論をしていただきたいのです。
 

 最近、「不公平感」への怒りが深く静かに広がっているように感じられます。
 

 子供手当を受け取れる世帯や高校無償化の恩恵を受けられる世帯では喜んでおられますが、既に自力で子供を育て上げられた世帯や高額の不妊治療をした挙句に子宝に恵まれなかった世帯の方々の悔しい思いを、度々伺っています。
 

 基礎年金を全額税方式に切り替えることについても、長年働いて保険料を払い終えた高齢者世帯は、再度、税負担を強いられることになります。
 サラリーマン世帯では、保険料負担よりも税負担の方が重くなってしまいます。
 

 参院選の最中、菅総理大臣が年収によっては消費税分を還付する旨の発言をされましたが、課税最低限の設定によっては、「住民税も所得税も消費税も払わない国民」を作ることになります。これによって、他の国民の負担は必要以上に重くなります。
  
 私は、「もらう人」と「稼ぐ人」の2分化を促進するような考え方には、断固反対です。 
 

 「今さえ良ければいい」、「自分さえ得をすればいい」、「できるだけ働かずに弱者のフリをした方が得」という考え方を殊更に煽って票を集める民主党の手法は、確実に日本を潰してしまうものだと思います。
 

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