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鳩山首相と小沢幹事長が招くモラル・ハザード

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 昨日の衆議院本会議で、鳩山首相の政治資金問題に関する答弁を伺いながら、故・松岡利勝農水相のことを思い出していました。

 松岡農水相とは、安倍内閣で一緒に閣僚として働いておりましたから、彼の自殺は、時が経っても消し去ることのできない悲し過ぎる記憶です。

 当時、法律違反をしたわけでもなかったのに、事務所費の使途を明確に説明できなかったことから、予算委員会などの場で、民主党議員から猛烈な追求を受けていた松岡農水相。

 ところが、民主党の党首と幹事長が疑惑の対象となった途端に、民主党の山岡賢次国対委員長は、「(野党が)司法のまねごとをしても、一時の話題にはなるかもしれないが、国民にとっては何の益にもならない」と発言。無念です。
 
 鳩山首相にしても、小沢民主党幹事長にしても、政治資金収支報告での巨額の虚偽記載や脱税の疑いがかかっているにもかかわらず、「私は、知らなかった」、「秘書がやったこと」、「収支報告を修正します」で済むといった姿勢を貫いています。


 しかし、政治資金管理団体や政党支部の長は国会議員です。
 国会議員が政治資金収支報告を提出する時には、表紙には、国会議員本人の名前が記載されます。


 私の事務所では、これまで、月々の収支については税理士の先生に領収書を渡して費目分けをしていただいた上で、年度末に秘書が政治資金収支報告書を作成し、その後、自由民主党奈良県連でも費目間違いや不備が無いかのチェックをしていただき、最後に私が電卓を叩いて検算をした上で、提出をしていました。

 過去に、会計担当の秘書が、「提出の締切りに間に合わない」という理由から、収支報告提出後に私に書類のコピーを廻して事後報告としたことがあり、私は激怒しました。
 自分が長である政治団体の収支報告には、責任を持つべきだと思い込んでいたのです。


 しかし、今回の鳩山首相の発言から、「国会議員自らが責任をもって収支報告書をチェックした場合には、収支報告内容にミスがあった場合に罪に問われるが、秘書まかせにしていたなら、『知らなかった』と言うだけで罪には問われない」ということが、明らかになりました。

 私自身、毎年、政治資金収支報告書の提出時期には睡眠時間を削って検算をしていたことが馬鹿馬鹿しく思えました。
 今後、永田町では、確実にモラル・ハザードが起こると思います。


 鳩山首相の会計責任者であった元秘書には、「虚偽記載」と「脱税関与」の疑いがあると思いますが、果たして「故人献金」で名前を借りた方々の分の「寄付金控除証明書」は総務省に返却されたのでしょうか。

 鳩山首相にも、政治資金規正法上の「選任監督義務違反」と「量的制限違反」の疑いがあると思います。
 
 鳩山首相は、昨年11月にも、株式売却の所得申告漏れ7200万円が発覚し、「証券電子化でタンス株は寝かせておいたら無効になると指摘されて売った」、「売却益を申告すべきことを知らなかった」と発言されています。
 これも、国会議員資産報告で虚偽記載をなさっていたことになると思いますし、そもそも、「こんな経済音痴の首相に、日本経済は任せられない」という思いです。


 私は、国税当局が、鳩山首相が母上から受け取っておられた「月額1500万円の子供手当」について、追徴課税もせずに終わりにするとしたら、納税者にもモラル・ハザードが起きると思います。


 国民は、生前贈与も相続も、苦労しながら行っています。
 注意深く真面目に申告をしていても、国税庁との見解の違いによる僅かな申告漏れを指摘されて多額の追徴課税を支払った方も多くおられると思います。

 今後は、「運悪く国税庁にバレたら、その時に贈与税を払います。ただし、首相と同様に追徴課税には応じません」という「鳩山式」を実行される方も出てくるかもしれません。
 
 鳩山内閣では、鳩山首相以外の閣僚についても、多くの政治資金規正法違反が報道されました。

 憲法第75条では、「国務大臣は総理の同意がなければ訴追されない」となっていますので、疑惑の閣僚たちは逮捕も起訴もされないでしょう。
 しかし、この閣僚特権は、閣僚が国会での説明責任を果たすべき立場にあることを考慮したものであると言われます。
 依然、政治資金問題に関する国会審議を拒絶している民主党の姿勢は、憲法の精神を踏みにじるものだと思います。


 鳩山首相は、野党時代、「秘書が法を犯した場合は、すぐに国民に謝罪して議員バッジを外す」とまで言っておられましたが、その鳩山首相が、小沢幹事長の政治資金疑惑に関しても、「こういう問題があるにもかかわらず、民主党を国民の皆さんの多くが選んだ」とおっしゃっています。


 首相が、「日本人は、クリーンな政治など求めていない。法律違反をする政治家をも承認する国民だ」と決め付けたに等しく、本当に情けなくなりました。 

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