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郵政民営関連法案について

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この「大和の国から」をご愛読下さっている皆様から、郵政民営化問題に関するご質問も沢山いただいていますので、今日はこの件についても触れてみたいと思います。

 郵政民営化問題が本格的に議論されていた間、私は国会に議席を持っておりませんでしたから、新聞やテレビで報道される範囲の情報と、時々主人が教えてくれる政治の現場の空気しか判断材料はありませんでした。

 当初、政府案の概要がマスコミに出た時には、正直なところ、内容的にかなり不安を感じていました。
 私が住んでいる奈良市でも、東部地区に行きますと(かなりのどかで美しい、山と田畑が広がる地域です)、もともと都市銀行の支店は無く、既存金融機関の支店が合理化の為に1部閉鎖となりました。振り込みや小包を受け付けてくれるコンビニエンス・ストアも在りません。鉄道も通っておらず、この地域に住まいされて車を運転なさらない方々にとっては、郵便局の窓口は非常に大切な存在です。

 「このような地域に在る郵便局は、本当に維持されるのだろうか」、「市町村合併によって役場の窓口が遠くなる地域の方々の為に、郵便局窓口で役場業務の一部を行う方針だが、個人情報保護体制の確立は如何になされるのだろうか」、「金融市場において既存金融機関との公平な競争は担保されるのだろうか」・・といった素朴な不安を感じていました。
 プロである特定郵便局の方々も同様の不安を訴えておられましたので、上記の不安要因が払拭される手当てがあるのかどうかを、主人に質問しては色々と教えてもらっておりました。

 その後、既に皆様がご承知の通りの内容で、衆議院の審議段階で法案は修正され、また、参議院の審議では付帯決議もなされ、改めて法案の条文も読み直してみましたが、私の感じていた不安や疑問点は解消されたと思っています。
 郵便局ネットワークの維持は法律上義務付けられることとされ、3種、4種郵便やひまわりサービスの継続も義務付けられますから、「社会福祉的ニーズ」は満たされます。
 金融・資本市場の混乱回避や国債管理政策の適切な運営、個人情報の保護、公社職員の雇用確保義務など、相当な配慮がなされていると感じました。

 反対に、現在の公社のまま放置した場合、郵便局ネットワークが無傷で残るかと言えば、これは大いに疑問です。

 公社ではこの2年間で既に75の郵便局を廃止し、廃止理由の中に「利用の減少」というものも見受けられます。
 公社は、このところ広報ビラまで作成して「コンビニでのゆうパック取り扱いとポストの増設」を進めており、公社本体が利益を上げることができても、かえって郵便局窓口業務は圧迫されているとしか思えません。公社が頑張ったお陰で廃止をする郵便局が出てくることが予想されます。

 郵便局が生き残りの為に利用者が喜ぶサービスを提供したくても、現行法では収益事業が厳しく制限されています。
 ある郵便局長さんが「私たちは『蜘蛛の巣営業』しか出来ないのですよ」とおっしゃっていましたが、攻めのビジネスが展開できないのです。
 国民の大切な財産で有る24700の郵便局を、座して死を待つような立場で放置するよりは、過疎地対策や福祉的機能は国が責任を持って守り、郵便局にも新たなビジネスチャンスを与えることで郵便局の発展のチャンスを作り、利用者の利便性向上を図る方向での対策が打たれる方が良いのではないかと思いました。

 正しい対策が実行されれば地域活性化にも繋がり、この後に想定される他の公共サービスの民間開放が多くのビジネスチャンスを生みます。
 国民の安全・安心を確保すべきことは「公」が責任を持つべきだと思いますし、民間で効率よく十分にできることは「民」に開放すべきでしょう。
 郵便局の問題についても、ユニバーサル・サービスを担保するネットワークの保全、公的役割を安全に果たせる体制の確保、社会福祉的サービスの保障については、移行期間に更に練っていただき、分かりやすく広報活動を行っていただきたいと思います。

 今回の総選挙で審判が下されるべき多くの課題の存在については、昨日書きましたが、「郵政民営化の是非」も今回の総選挙の象徴的争点です。
 利用者である私たち国民、そして現場のプロである郵便局長さんや職員の方々、経済構造の転換期にあって未来の日本経済の青写真を描かなければならない政治家たち、皆で忌憚のない議論ができる絶好の機会だと思います。

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