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心の闇と政治の課題

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 今年の上半期を振り返ってみますと、JR福知山線の事故は最も心が痛んだ出来事でした。私が勤務しております近畿大学でも、通学途中の学生が命を落としてしまいました。
限りない可能性に満ちた彼らの未来が一瞬にして消えてしまったのです。
 日本中の多くの方が、被害者の様々な人生やご遺族の無念さに思いを致されたショッキングな事故だったと思います。

 一方で、事故発生以降、各地で線路上への置石や自転車の放置などが多発しました。事故現場の惨状やご遺族の悲しみの声を伝え続ける報道によって、自らの行為が招き得る重大な結果を認識した上での犯行ですから、悪質極まります。
 犯人の深く暗い心の闇が垣間見えるようで、寒気を覚えるとともに、「日本は病んでいるのか」という絶望感に苛まれてしまいました。

 他人の人生もたった1度のかけがえの無いものであることを理解できず、生命を奪うことをゲームのように楽しむ人格崩壊者が増えているように思えてなりません。
 奈良の盆踊りで、会場となったお寺の住職様が、参加者に対して「7代前までのご先祖様の霊をお慰めする気持ちで踊って下さいね」と呼びかけられたことがありました。計算してみますと、7代前までの直系のご先祖様だけでも合計254人も居られるのです。全てのご先祖様が、無事に生まれて無事に大人になり、配偶者に出会うことができて、子宝にも恵まれ、またその子供が大病もせずに無事に大人になり・・という信じ難い程の幸運が続いて、やっと私たちは生まれてくることができたのです。
 他人の生命も数え切れぬ程多くのご先祖様が繋いでこられた尊く重いものです。こんな当たり前のことを分かり合えず次々に無残な事件が起きてしまう現状に、私たちは立ち向かっていかなくてはなりません。

 また、昨今は日本中に「匿名性の陰湿さ」が満ちてきているように思えてなりません。インターネット環境整備によって、情報収集も通信も大いに便利になりましたが、自分の身を隠して他人に精神的苦痛を与えることも容易になりました。
 社内で中傷メールを流されて退職に追い込まれた会社員や、ネット掲示板に酷い書き込みをされてノイローゼになってしまった主婦の方のお話も伺いました。長年かけて開発した製品や企業イメージを貶められた経営者の声も耳にしました。
 政治家も、結構大変な思いをされている様です。公式サイトを設けることが半ば義務として期待される時代になりましたから、全国からサイトに寄せられる莫大な数のメールへの返信やサイト掲載用原稿書きに睡眠時間を削って励む議員も多いようです。匿名の誹謗メールも多く、選挙期間中には中傷サイトも出現します。いちいち落ち込んでいては仕事になりませんが、匿名の相手に反論も叶わず、中傷サイトによる選挙妨害も野放し状態なのは、悔しいものです。
 自殺サイトや毒物販売サイト、出会い系サイトが絡んだ事件も頻発しています。
 利便性拡大の一方で生じている深刻な課題への対策作りやモラル教育充実への取り組みを、国政の現場でご活躍の皆様に期待しています。

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