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日本国憲法9条改正私案

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 既に書店に新しい『諸君!』が並びましたので、先月に販売されていた『諸君!』6月号に掲載されました拙稿を下記の通り、ご紹介します。
 編集長さんからは、「日本国憲法の9条を改正するとしたら、どんな文言にしますか?」ということで原稿依頼を戴きました。


~諸君寄稿原稿~

【日本国憲法九条改正私案】
①日本国は、国家固有の権利として、自衛権を有する。
②日本国は、国防軍を保持する。国防軍の組織及び運用は、法律でこれを定める。
③国防軍は、自衛権行使の他、法律の定めるところにより、国民保護、領土保全、独立統治の確保の為に必要な措置、及び国際社会の平和と秩序の維持を目的とする諸活動を実施する。
④日本国は、前項の目的を達成する為に必要な場合を除き、他国の領土保全と独立統治を侵害する武力行使は、これを行わない。
⑤国防軍の最高指揮権は、内閣総理大臣がこれを有する。

【別条項に記載すべき関連事項私案】
①内閣総理大臣は、法律の定めるところにより(防衛・治安・災害・資源等)、国家緊急事態宣言を行い、国防軍に出動を命じる他、国家緊急事態解消の為に必要な措置をとることができる。
②内閣総理大臣は、国家緊急事態宣言を行う必要が生じた時には、原則として事前に、事態の緊急性によっては事後に、国会に対して説明を行い、その承認を得なければならない。
③内閣総理大臣は、国家緊急事態終了を宣言する時には、事前に国会の承認を得なければならない。
④国家緊急事態宣言に伴い国が行う措置を円滑に実施する為に、法律の定めるところにより、内閣総理大臣は、国民及び地方公共団体に命令を発することができる。
⑤この憲法が国民に保障する自由と権利は、国家緊急事態宣言発出時には、法律の定めるところにより、一定の制限を受ける。
⑥国家緊急事態において内閣総理大臣が欠けた場合、又は職務遂行が不可能な状態にある場合には、法律の定めるところにより、あらかじめ指名された国務大臣が、国家緊急事態終了後に新たに内閣総理大臣が任命されるまでの間、内閣総理大臣の職務を代行する。
⑦法律の定めるところにより、最高裁判所の下に、軍事規律上の犯罪に関わる裁判を行う特別裁判所を設置する。(七十六条改正)
⑧両議院の会議は公開とする。但し、出席議員の過半数の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。(五十七条改正)

【私案が目指すもの】
 私は、政府の最大の責務は、「国民」「領土」「主権(独立統治)」を守り抜くことだと考えている。残念ながら現行憲法は、日本政府が主権国家として当然に果たすべき役割について、その正当性を担保する機能を果たしていない。私案作成時に留意した点を次に記す。
 第一に、国家の生存を確保する自然権として全ての国が有する「自衛権」については、本来は憲法に明記する必要など無いのであろうが、依然、「現行憲法は、自衛権も否定した非武装中立を意味する」との解釈も存在する現状から、敢えて九条私案①に記してみた。
 第二に、九条私案②の記述では、「自衛権行使以外の国防軍出動根拠」を設けることで、災害救助活動や国際協力活動の他にも、海外における邦人拉致や領土侵犯への実効的対応を可能とすることを期した。現在の政府見解は、在外公館・在外邦人への武力攻撃や領土侵犯が発生しても、自衛隊法や自衛権発動要件抵触の可能性から自衛隊出動による回復は困難としている(福田前官房長官・石破前防衛庁長官答弁)ことから、自衛権行使以外の根拠条文の必要を感じたものだ。また、国民や領土への侵害を行った主体が国家ではなくテロリスト集団等の非政府組織である場合にも、国防軍による対応を可能とすることを目指した。関連事項私案①から⑤も、現行憲法が想定していなかった事態から国民の生命を確実に守れる体制の構築を目指したものだ。
 第三に、九条私案⑤で文民統制を担保するとともに、④では侵攻戦争を行わない決意を示した。国防軍は、邦人救出等の任務で他国に出動した場合にも、作戦実行後は速やかに当該国領域から撤退することとなる。
 関連事項私案⑧は、国防軍の安全を確保する上で必要な軍事機密保持を可能にすることを目指した。

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