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自民党と民主党の新憲法草案作りに期待すること

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 自民党は、一昨年の総選挙の折に、「立党50年の2005年11月までに、新しい憲法草案を作る」と国民に公約しました。党本部では熱心な議論が行われ、着々と憲法改正案作成作業が進んでいる様子が報道されていますね。  
 私が国会在職中に最も長く所属したのが衆議院憲法調査会でした。平成12年1月に衆参両院に憲法調査会が設置されてからは、自身の衆議院文部科学委員長や経済産業副大臣就任によって所属が叶わなかった時期を除く殆どの期間は、憲法調査会に属していました。衆議院憲法調査会では小委員長も務めておりましたから、肝心な時に現場に居られない寂しさで一杯です。それでも、国の在り方、国民の在り方といった「日本の国柄」を定めていく重大な作業ですから、強い関心を持って議論の行方を見つめているところです。
 
 民主党も、昨年6月に「民主党憲法提言中間報告」を発表しました。こちらもしっかりと拝読致しましたが、「この内容に変えるくらいなら、現行憲法の内容の方が遥かにマシ」というのが、私の率直な感想でした。
 民主党案は、「グローバル社会の到来」「連帯革命」「分権革命」という言葉を使って、「国家主権の縮減と共有化」を唱えています。安全保障も国連の決議を重視するとして、全体的に国家の役割を制限していく方向性が見て取れます。
 また、「地球市民的価値」を訴え、国家の枠を超えて保障されるべき新たな個人の権利を強調しています。例えば、「安楽死等『自己の生命や身体の処分に関わる事柄』や『家族の維持・形成に関わる事柄』について、個人が自己決定できる」とする「自己決定権」の保障、外国人参政権実現を含めた「外国人の権利拡大」、「憲法に子供が権利を享受し、行使する主体である旨を明記する」とした「子供の権利拡大」等が記されています。
 この他にも、「靖国参拝問題を事実上終焉させる」として「国家と宗教の厳格な分離」が提案されていました。
 文中には、「国家による戦争の正当化」「家族における抑圧」「地域社会や階級・民族など様々な中間団体組織に組み込まれて、その中で人生を全うすることを余儀なくされ」等、「国家」「地域社会」「家族」への否定的表現が散見されます。

 邦人誘拐・拉致事件やテロリズムの脅威、領土や領海を巡る外交問題の頻発、外国人による凶悪犯罪や青少年犯罪の多発、ネット犯罪や模造品の増加等々、昨今の状況を見るにつけ、「国家・地域社会・家族の使命と責任」はより重視されるべき環境になっていると感じます。最終的に国民を守ってくれるのは、母国しか無いのが厳然たる現実です。
 今こそ、政府が国民の生命や国の主権を守りぬける体制を整備し、国民も「公共の福祉」を重視して、秩序ある安全な社会を築くべき時ではないでしょうか。

 幸い自民党では、国民の生命や社会の秩序・安全を守る為の「国家の新たな役割」と「地域社会や家族の価値」が重視されており、国民の自由や権利に付随する「責任や義務」を問う方向性で議論が進んでいる様です。
 素晴らしい新憲法草案の完成を楽しみにするとともに、「国家観」について正反対のスタンスをとる両党の憲法論議を契機に、政策による真の政界再編に期待しています。

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