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消防長の悩み

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 先日、郡部の町の消防長さんとお喋りする機会が有り、色々な悩みを伺いました。
 
 最近は、交通事故負傷者のご自宅に電話をして、「息子さんが、事故に遭ってA病院に運び込まれました」と伝えても、電話に出たご家族がなかなか信じて下さらなくなったと言うのです。「振り込め詐欺」が頻発している為、「本当にあんた消防署の人?」と何度も聞かれ、緊急連絡にやたら手間がかかるのだそうです。残念な世情になったものですね。
 
 また、都道府県単位で組織されている警察と違って、消防署は市町村単位ですから、様々な不便や無駄が有るそうです。
 例えば、市町村境界付近で発生した火災では、管轄が違う隣町の消防署の方が火災現場までの距離が近い場合も多いらしいのです。「県単位で指令室を設置して、最寄りの消防署に出動命令を下してもらえれば効率的なのですが・・」とおっしゃっていました。
 また、携帯電話による通報の場合には、隣市や隣県で発生した火災の連絡が舞い込むことも度々有るそうです。所轄の消防署に連絡を取ると同時に、一応は出動するらしいのですが、現場到着時に所轄署の消防車が到着していたら、そのまま引き揚げる羽目になるそうです。

 タクシー会社などが導入を始めたGIS(地理情報システム)やGPS(人工衛星測位システム)、CTI(電話をコンピューター・システムに統合する技術)などを、都道府県単位に設けた指令室で活用する仕組みを作れば、通報電話と同時に出動すべき位置が把握でき、自動的に最も近い地区の消防署に出動命令が下せるはずです。迅速な初動体制作りにせっかくのIT技術を活かさない手は無いと思うのですが、消防長によると、「予算も市町村単位ですから、こんな田舎町ではIT化のお金など確保できません」とのこと。
 建物の建替え予算も確保できないとのことで、消防署の建物は老朽化が進んでいました。消防長は、「地震発生時に最初にすることは、消防車を建物外に出すことです」と苦笑しておられました。消防署が倒壊して消防車が潰れてはシャレになりません。

 市町村合併が進行する中で予算や指揮指令系統の広域化も進んでいくことかと思いますが、特に住民の生命や財産を守る組織の在り方や予算については、十分に議論を深めていただいて、この機に改善できる点には取り組んでいただきたいと思います。

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