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性犯罪対策の論点

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 昨年の臨時国会で強姦等の法定刑が強化される刑法・刑事訴訟法改正が行われた直後に奈良市で発生した女児誘拐殺害事件は、余りにも残酷で悲しいものでした。
 私の実家から徒歩20分の小学校の児童が被害者となったのですが、普段から地域ぐるみで子供たちを見守っているような結束の固い校区でしたので、ご近所の皆さんも、「住民による取り組みだけでは限界が有るのか」という虚脱感に苛まれています。性犯罪再発防止の為に実効的な仕組みを作っていただきたいという切実な声を伺う毎日です。

 自民党本部では、事件後すぐに「出所した性犯罪者の住所情報を地域住民に提供する為の議員立法」の検討作業が始まったと聞いています。
 立法作業を進めるにあたっては、多くの検討課題が有るでしょう。  

 例えば、下着泥棒は「窃盗罪」に分類されます。「児童買春・児童ポルノ禁止法」違反者は「性犯罪者」の分類に入るのでしょうか。重大な性犯罪の前兆となる他分類の犯歴者の把握も必要でしょう。性関連犯罪者については、法改正を行って初犯時にDNAデータを採取して警察が管理するくらいの厳しい対応を望みます。   
 また、刑務所出所後の人に限らず、執行猶予判決を受けた性犯罪者への対策も必要かと思います。
 更に再犯防止という点では、更生プログラムの作成も必要でしょう。現在は、保護観察時の類型別処遇制度による「対人関係改善」や「正しい女性観教育」といった措置しか存在しない様です。米国で行われている「カウンセリング」「去勢」「パブロフの犬式の電気ショック治療」等も、医学的効果には疑問の声もあるようで、ゼロからスタートする日本では、大変困難な作業になるかと思いますが、やはり性犯罪の特殊性を考えると、医学的更生プログラムの準備にも着手すべきでしょう。
 最も大変なのは、性犯罪者住所公開の対象となる地域住民の範囲を設定する作業でしょうか。米国のメーガン法でも、住民による犯罪者家族への暴力等、数々の問題が発生している様です。公開された犯罪者住所が誤っていて、全く関係のない方の家が放火されて子供が焼死したという痛ましい事件も起こりました。当該校区の校長や防犯委員、民生児童委員、保護司等に限定して、守秘義務を課しての通知が現実的かと思います。無論、情報の正確さが前提です。
 以前にも書きましたが、家庭教育や性教育の在り方、猥褻ソフト氾濫防止策にも、国民挙げての議論が急がれますね。

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