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米国大統領選挙と自民党の課題

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 今週火曜日の米国大統領選挙では、同時に行われた上下両院選挙(下院の全議席と上院の3分の1議席が改選)の結果の方が気になって、日本時間の水曜日は終日、ネットで各州の開票速報を見守っていました。
 長年仲良くお付き合いいただいている国会議員が共和・民主両党に何人か居るので、彼らの当落が心配だったのです。上下両院とも共和党が勝利しましたが、民主党の仲良し議員たちも全員当選していたので、大喜びでお祝いメールを送信しました。
 それにしても、便利な時代になったものですね。外国の選挙戦の開票速報をライブでチェックできるんですから・・。
 相手側も同じ様に、日本の情報を迅速に取っています。昨秋の総選挙で私が落選してしまった時には、多くの米国連邦議会議員が励ましメールを下さいました。9月に結婚した時には、日本で報道された翌日には、「TO SANAE YAMAMOTO」と書かれたお祝いのメールやファックスが届いたのでビックリでした。

 さて、ジョージ・ワシントンが憲法制定会議の席上、互選で初代大統領に選ばれた1788年以来、4年ごとにオリンピック開催年に行われてきた米国大統領選挙は、「11月の最初の月曜日の次の火曜日」を「一般投票日」と定めています。
 今週行われた「一般投票」では、ブッシュ大統領の続投が決まったわけですが、厳密に言えば、まだ大統領選挙は終了していないのです。間接選挙制の儀式的な行事が残っています。
 11月の「一般投票」で各州で得票の多かった候補者が、その州の選挙人全員を獲得。各州の選挙人は、「12月の第2水曜日の次の月曜日」に各州議会で「公式投票」を行い、来年1月6日に連邦議会でこれを開票。選挙人票の過半数を得た候補者が正式に「大統領当選者」となり、1月20日正午に「正式就任」となります。
 政党内の大統領候補指名を勝ち取る為の各地区での「党員集会」や「予備選挙」は2月からスタートしていますから、事前準備も含めると数年がかりの気が遠くなるような戦いを経ての大統領就任。米国大統領になる人の気力・体力・資金力なるものは、凄いものだと思います。

 今回の結果を受けて、古い記憶を辿ってみました。
 レーガン、ブッシュと共和党政権が続いた後の1992年の大統領選挙では、民主党がクリントン氏を擁立して12年ぶりに政権を取り戻しました。ブッシュ現大統領の父上が敗れたのです。
 この選挙で民主党全国委員長を務めたロナルド・ブラウン氏(後の商務長官・故人)と話したことが有りました。
 「共和党に勝つ為に、どんな作戦を立てていますか?」と尋ねると、次のような答えが返ってきました。

 「第1に、『自分の庭に水を撒くこと』だよ」。
 日本では選挙区を「票田」と呼びますので、同じ事を「田の草取り」と表現しますが、ブラウン氏の言った「自分の庭に水を撒く」とは、本来の民主党支持者を絶対に逃がさないように定期的に手入れをして票を固めることです。
 特に、有色人種・女性・貧困層・零細企業の利益や権利を守る為に努力をしてきた民主党のカラーを大切にすると同時に、支持基盤の再点検をすることを強調しておられました。

 「第2に、新しい支持層を開拓することだよ」。
 新有権者となる18才の若者(米国民は18才から選挙権を得る)を対象にロックコンサートを開いたりして、若者が親しみを持てる選挙運動を行うこと、加えて、外国からの移民も大切な新有権者なので、アプローチを強化するとのことでした。
 特に、カリフォルニア州、フロリダ州、テキサス州、ニューヨーク州では、移民の影響力は大きいのです。

 「第3に、『レーガン・デモクラット』の奪還だ」。
 レーガン・デモクラットというのは、元は民主党員だったのに、レーガン元大統領の魅力によって、レーガン政権時代から共和党支持者に変わってしまった人のことです。
 彼らを再び取り返す為に、中間所得層への減税政策を発表するということでした。

 ブラウン元商務長官の言葉を思い出してみると、まさに現在の自民党が党勢回復の為に検討しなくてはならない取り組みばかり。
 国が違っても、選挙の本質は一緒なんやなあと思います。

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