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選挙必勝法?

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 春先に、知り合いの編集者から「選挙必勝法」の本を書かないかという話がありました。「選挙に強い現職国会議員が書くなら買う人もいるでしょうが、落選した人が書いた選挙ノウハウ本など、買う人が居るわけないでしょう」と、思わず大笑いしてしまいました。
 「いえ、落選されて初めて見えたことって一杯有ると思うのです」と、出版社の方は本気の様子でした。当選した数回の選挙と落選した昨年の選挙の比較分析を期待されているのかもしれません。
 
編集者と別れて街を歩きながら、私は「落選して初めて見えたこと」なるものを思い返していました。それは、ひと言で言うと「有権者の期待から乖離していた自分」です。
 落選してからは、奈良1区の有権者の方々が率直に私の欠点を指摘して下さる様になりました。主な内容は次の通りです。

 最も多かったのは、政策テーマへの不満です。
 「早苗さんの演説は、金融だの税制だの経済政策に偏り過ぎ。もっと福祉や教育を語らないと駄目だよ」「貴女は教育政策ばかり喋っていた。大事なのは、経済でしょう」「高市さんは憲法や安全保障などという庶民にとってはどうでもいい話をする。地元の道路整備の話をしなくては票にならないよ」「私は道路問題の演説を聞いたが、京奈和自動車道など国の直轄事業の道路なんてどうだっていい話だ。私達は、もっと身近な県道や市道整備の話を聞きたいのに」等々。
 たまたま私の話を聞いてくださった時に私が話していたテーマが期待外れだった様で、人によって私のイメージはバラバラなのですが、地域密着型の話題への期待が圧倒的多数でした。

 次に多かったのは、私の頑固なこだわりへのお叱りでした。
 1昨年に副大臣に就任した日から、「政府の仕事を最優先することが、納税者への責任だ」と地元スタッフにも言い聞かせて、平日は早朝から夜間まで役所での公務に没頭してきました。週末には、奈良に戻ってミニ集会を重ねるなど地道な活動は続けていたつもりでしたが、他県での表彰式などの国内公務や国際会議の為の海外出張で、奈良に戻れない週末も度々でした。
 「副大臣だから平日に地元に戻れないというのは怠慢だ。要領良く国会を抜け出して、通勤時のサラリーマン向けの駅頭演説や地元行事への出席を重視すべきだった」「国政での活躍など奈良に居る有権者には見えない。毎日直接顔を見ることが出来る候補者に投票するものだよ」というご指摘が多数でした。
 国会や内閣の役職も無くて比較的時間が有った1期目や2期目に行っていた地元活動がこなせなくなってしまった事は、有権者の側から見ると「高市さんの政治スタイルは変わってしまったなあ」という印象になったのでしょう。

 省みますと、現職代議士だった頃の私は、「他人から自分がどのように見られているか」という事に全く無頓着でした。
 「国政は、まず外交、安全保障、経済、教育が大事。市道案件にまで過度に介入すべきではない」だの、「内閣の役職についている間は省務に全力投球するのが、納税者への務め」だの、政治スタイルについても妙に頑固にこだわっていました。
 英国のサッチャー元首相の言葉に「他人がどう思うかよりも、自分が何をしたいかが大切だ」というのが有ります。私も、自分の政治信条に基づく言動については、評判の良し悪しを気にしないことが重要だと思い込んでいました。
 ただし、私と違ってサッチャー元首相が偉大なのは、他人の評判に自らの言動を左右されはしないが、取りあえずは、自分を非難している相手に説明をしたり誤解を解く努力を怠らなかったことです。
 
 遅まきながら、多くの方に親身のご指摘を戴いて、初めて自分の欠点に気付かせていただけました。奈良の有権者のニーズに鈍感過ぎた上に、自分の「こだわりの理由」を説明する努力も出来なかった自分を反省しつつ、修行のやり直しです。
 冒頭に書いた「選挙必勝法」の本などは、私には到底書けませんが、国会制度に関する著書を執筆することになりました。来春発売予定です。

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