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憲法論議に期待

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 今年の参院選、1人の有権者として物足りなく思ったことが有ります。
 自分が候補者だった衆院選では、自分自身のものも含めて政見放送を観る暇など無かったのですが、今回は、じっくりと各政党や候補者たちの政見放送を拝見しました。
 ところが、どれもこれも年金問題がメインで、憲法観や国家観を真正面から語った政見には、とうとう出会えませんでした。
 
 今夏に改選された議員たちは、間違いなく憲法改正作業に携わるはずの方々です。平成12年1月20日に衆参両院に設置された憲法調査会が、来年1月には5年の調査期間を終えるからです。
 そして、日本の全ての法律が憲法に基づいて作られるわけですから、候補者の憲法観は、既に成立した改正年金法の是非以上に私たちの生活にとって重要な事柄だったと思うのです。
 年金や福祉制度、税制や教育のあり方、男女共同参画型社会の姿や選挙の時の1票の格差問題も、憲法14条で保障されている「平等」を「結果平等」と捉えるか「機会平等」と捉えるかによって、随分イメージが違ってきますもの。

 変だなあ・・と思う条文も結構有ります。
 例えば、73条と86条は内閣の職務を書いた条文ですが、「予算を作成して国会に提出すること」と書いてあります。内閣が提出するのは「予算案」であって、国会で議決されてから「予算」になるわけですから、明らかに日本語として不正確です
 89条では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」となっていますが、国民にも憲法尊重義務があってしかるべきです。
 奴隷制度の無い日本の憲法なのに、18条には「何人もいかなる奴隷的拘束も受けない」とあって、米国の押し付け憲法丸出し。
 前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」との文言も、「他の国は全て良い国」との前提ですが、北朝鮮の前では絶対に言いたくない言葉であります。
 刑事事件被疑者の権利については沢山の条文が有りますが、被害者の権利は1条も無いし、不幸にして総理が重病になった時の継承順位くらいは憲法に書いておきたいし・・。

 本来、国旗・国歌・元号なども憲法に書き込むべき事でしょう。
 また、「公共の福祉」とは何なのか、もっと具体化して強調すべきだと思います。憲法が国民に保障する「自由」や「権利」は「公共の福祉に反しない限り」尊重されるものであって、濫用されてはならない旨が12条と13条に書かれています。国民が自由や権利とともに責任や義務を果たして、社会の秩序が維持されるよう、是非とも十分に文言を検討して欲しい部分です。

 そもそも、昭和27年のサンフランシスコ講和条約発効前に米国の関与を受けて制定された法律は、内容の是非に関わらず作り直し、「日本の心」と「日本の言葉」を持ったものに仕上げていくのが、主権国家の国民としてのプライドだと考えています。
 次の選挙戦こそは、活発な憲法論議を期待したいと思います。

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