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個人情報保護法全面施行を前に

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 数年前の事ですが、弟宛にエッチな女性下着等の通販チラシが届くようになりました。「何故こんなものが突然俺の所に?」といぶかる弟の横で、心当たりがあった私は小さくなっておりました。
 実は、通販カタログで自分の下着を注文する時に、同居していた弟の名前で申し込みをしていたのです。多分、その通販会社の名簿がエッチ系通販会社に流出し、弟は女性下着の愛好家だと思われたのではないかと想像するのです。怒る弟に謝りまくった次第です。
 
 今年5月までにも、通販会社やインターネット接続サービス業者、消費者金融業者の顧客情報流出が報道されています。
 特にゾッとしたのは、昨年、市が運用する戸籍情報システム点検をした事務機器メーカーがバックアップデータを紛失してしまった事件と、今年に入ってからは、患者名や病歴を書いた診療報酬明細書を運送会社が紛失してしまった事件でした。
 
 このような事件発生を防止する為に作られた「個人情報保護法」の全面施行が来年4月1日に迫っています。
 この法律により、「不正手段による個人情報取得」「本人の同意を得ずに個人データを第3者に提供すること」等が禁止され、5千件を超える個人情報を取り扱う事業者が対象となります。顧客側も、自分に関するデータの開示・訂正・利用停止を要求出来ます。
 内閣府では、「事業者のみなさまへ」というパンフレットを発行して法律の内容徹底に努めてくれているようですが、全国民が自分の個人情報に関する権利について理解出来る様、政府広報番組などで周知して欲しいと思います。
 各企業においても、個人情報を取り扱う社員に対し、企業内研修等で情報保護意識を徹底していただきたいものだと思います。
 
 しかし、企業にとって頭が痛いのは、退職した社員が顧客名簿を持ち出して悪用するケースでしょう。
 経済産業省で勤務していた折に「不正競争防止法」を整備しました(昨年の通常国会で成立)。
 これは産業スパイ防止目的で、特許出願前の技術データ、製造ノウハウ、販売マニュアル、顧客情報等の営業秘密を取得・使用・開示することを刑事罰の対象とする法律でした。違反者には3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されます。
 ところが、この法律も「職業選択の自由」に配慮し、元従業員の処罰が困難なところが難点です。「退職前に不正に自宅等に持ち出した」事を証明できなくては罪になりません。社内で営業秘密へのアクセスが制限されており、従業員がその情報を「営業秘密」と認識している事も必要な要件です。

 個人情報や営業秘密を完璧に守る立法技術というのは難しいものだと、改めて感じています。私も、景品が当たるアンケート葉書に喜んで個人情報を書き込んでしまう癖を改めなくては・・。

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