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年金未払い問題に思う

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 ゴールデン・ウィーク明け早々から、突然の福田官房長官辞任報道に驚き、民主党の菅代表辞任と後任人事報道が続き、今も毎日の様に「年金未払い国会議員」の名前が小出しに報道され、ちょっぴり食傷気味です。
 学生達と話していても、経済人の勉強会にお招きを受けても、最も盛り上がる話題は「年金問題」。政治家への怒りと年金制度への不信が巷に渦巻いています。
 
 この際、国の制度というものの在り方を根本的に考えてみましょう。
 つまり、本気で全国民に義務を課さなくては成り立たない制度であれば、義務違反者への罰則も含めて制度執行を徹底すべきですし、任意加入で良い程度の制度を考えるのであれば、国で運営するのは止めて民間企業に任せるべきだと思うのです。民間サービスの対価を負担出来ない層のみを救済する福祉制度を創ればいいのです。  
 
 例えば、「納税」は憲法に定められた「国民の義務」です。(日本国憲法第30条;国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。)
 納めるべき税金を納めなければ、脱税の罪に問われ、罰則の対象になります。国税当局に指摘された後で「今から納める」と言ってみたところで、追徴課税で多額のお金を支払う羽目になります。
 また、「納税すべき額に見合った行政サービスを受けられそうにないから、私は絶対に納税しないぞ」と文句を言って突っ張ったところで、多くの国民は「脱税は悪い事だ」と考えており、共感は得られません。罰則を受けるだけです。
 
 ところが、「年金制度」というのは、実に中途半端なポジションに有ります。
 「納税義務」の様に憲法上に明記されてはいないものの、国民皆年金制度導入以降は、20歳になれば国民年金保険料を払うのが「国民の義務」であるのは確かです。
 しかし、こちらは税金と違って、未納者が追徴保険料を多額徴収されたという話も聞きませんし、国会議員が「うっかり」忘れるくらいですから、社会保険事務所の督促も厳しくないわけです。
 また、「どうせ僅かな金額しかもらえないんだから、国民年金には入らないよ」「年金保険料を払わなくたって、自分が無年金者になるだけで、誰にも迷惑かけないもんね」と開き直っている義務違反者が、周囲から責められないばかりか妙な共感を得ているのも、脱税問題と違うところです。    
 
 しかし、いずれ無年金者が生活保護を受ける事になれば、そのコストは他の納税者が負担するわけです。未加入者や未納者が増える程に年金基金は逼迫し、他の人の保険料が上がっていくのです。誰にも迷惑をかけない義務違反なんて無いのです。
 今後も国民皆年金制度を維持すべきだというのであれば、保険料徴収を徹底出来る体制整備と、「うっかり」のないシンプルな制度設計が必要だと思います。

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