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秋篠宮殿下、妃殿下、おめでとうございます!

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 秋篠宮殿下、同妃殿下、皇室の皆様、親王殿下のご誕生をお慶び申し上げます。

 多くの国民が同じ思いでおられたことと思いますが、ここ数日は何となく落ち着かず、「どうか母子ともに無事で、元気なお子様がお生まれになりますように・・」とお祈りしていましたから、今朝は、思わずテレビの前で嬉し涙を流してしまいました。
 このところ、総裁選挙関係の事務作業で秘書も私も極度の睡眠不足が続き、体調が優れない状態でしたが、一気に疲れが吹っ飛びました。

 早速今朝から、数名の記者より「紀子様のご出産とは関係なく、皇室典範改正の議論は続きますよね?」「安倍政権になったら、皇室典範改正はどうなると思いますか?」といった質問を受けました。
 せめて今日1日くらいは、法改正問題を考えずに純粋に親王殿下ご誕生の喜びに浸りたい気分でありましたので、正直なところ「明日以降に尋ねて欲しいなあ」などと思いました。しかし、立法府に居る者としてノーコメントというわけにもいかない課題ですので、私の思いをこの欄にも書かせていただきます。

 私は、「日本の伝統と皇室の権威を守りつつ、安定的皇位継承を可能にするベストな方法」を何年かかけてじっくりと研究し議論していけばいいのであって、政府が慌てて不完全燃焼の法案を提出すべき状況にはないと思っています。

 永田町にも反対意見が多い「女系天皇」に即位していただかなくてはならない状況が発生する可能性は、まだ何十年も先のことでしょう。
 もしも皇太子殿下ご夫妻の間に親王殿下がお生まれにならなかったとしても、皇太子殿下が「男系男子の天皇」として即位され、本日お生まれになった親王殿下が「男系男子の天皇」となられ、さらにその数十年後に即位されるであろう天皇陛下が「男系男子」か「男系女子」か「女系男子」か「女系女子」か・・というところで現行の皇室典範改正の必要が生じる可能性があるということです。
 もちろん「数十年後」というのは皇位継承対象の皆様がご健康でおられることが前提ですが、少なくとも今秋の臨時国会や来年の通常国会で慌ただしく法改正をしなければならない状況にはありません。

 日本では、国を代表する「権力」と「権威」は切り離された存在と考えてよいと思います。
 国を代表する権力を持った内閣や国会は、変遷していきます。しかし、国民に敬愛され、世界に向けても日本国民統合の象徴としての天皇陛下が、万世一系の権威と品格を持って存在して下さることの意義は非常に大きいものだと思います。

 私は、世界の王室に例を見ない「万世一系」という皇室2000年の伝統もまた、「天皇陛下の権威」の前提であると考えています。
 皇位が古代より125代に渡って一貫して「男系」で継承され続けてきたことの持つ意味は、とても重いものです。「皇統」という言葉は「歴代天皇から繋がる血統」を指します。父方・母方の系統を交えながら血筋をさかのぼれば皇室に繋がる方の数は多いのでしょうが、その中でも「男系」の血筋を継承している方に限定して皇位継承資格を認めてきたことで、「男系」の血統が125代も続いたわけです。

 仮に、有識者会議が政府に提案している通り、「女系天皇容認」「女性天皇容認」「長子優先」で皇室典範を改正しましたら、2代後に「権威ある皇統」というものは断絶する可能性が大きくなります。
 次期天皇陛下は「男系男子」の皇太子殿下、次々期天皇陛下は「男系女子」の愛子様、愛子様が民間人の田中さんと結婚されて第1子が女子であったら、その次の天皇陛下は「女系女子」となります。そして、この天皇陛下の男系の祖先は田中家・女系の祖先は小和田家ということになります。法改正により、2代目で天皇陛下直系の祖先は女系も男系も両方民間人になる可能性があるわけです。

 永田町では、一部に「男女平等社会になったのだから、女系天皇も女性天皇も認めたらいいじゃないか」とおっしゃる方もおられます。例えば山崎拓代議士は、「女帝を認め、職業選択の自由(退位)も認めてはどうか」とおっしゃっていると報道されていました。
 しかし、最新の社会の風潮や一時的な世論を基準に皇統を論じることが妥当なのかどうか、憲法が一般国民に保障している自由や権利(男女平等・職業選択の自由・門地による差別禁止・参政権・居住の自由等)をそのまま皇室に適用することが正しいのかどうか、もっと慎重に考えなくてはならないと思います。

 親王殿下ご生誕の速報に接した後、主人がポツリと言いました。「数十年も経てば、医学の発達で男女の産み分けも可能になるんだろうがなあ・・」。
 生命倫理の問題もありますから、医学的に可能であったとしても、皇室が男系維持の為に産み分けをされるかどうかは分かりませんが、主人は、何時も私とはちょっと違った変化球的視点で物事を捉えるので面白い人だなあ・・と思いました(余談でした)。

 遠い将来を見据えて「安定的皇位継承の為の方策」を議論することは必要でしょうが、同時に「日本の伝統」「皇室の権威」も守っていけるような配慮も入れながら複数の案を作成した上で十分な精査をする時間が持てることを、強く希望しています。

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