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イラク攻撃と日本経済

更新日:

   3月14日

 

 数週間前の政府内部では、「もしも戦争が始まった場合の備え」などという話題は禁句といった雰囲気で、このページでも副大臣会議で孤立してしまった悔しさを書きました。
 しかし、先週あたりから、総理や外務大臣も開戦後の日本経済の施策を明言されるようになりました。


 ここにグチを書いた翌週の衆議院経済産業委員会で、野党議員から通告なしに突然の質問がありました。「もしもイラク攻撃が始まった場合の経済への影響をどう考えているのか?」


 当時は「あくまでも日本は平和的解決の為に努力をしているところで、仮定の質問にはお答えできません」が政府側としての模範解答だったのでしょうが、起こり得るあらゆる事態に備えを検討しながらも率直に説明することすらタブー視される状況にかなり頭にきていた私は、想定しうる影響について思い切って答弁をしてしまいました。
 すると、質疑者からは「ちゃんと分析して準備していただいているのなら、安心しました」とのコメント。
 「やっぱり開戦を前提にものを考えていたのかっ」と野党の各委員から責められることを覚悟していた私は内心ホッとしました。与野党問わず皆、国民の生命や財産や国家の主権を守るべき国政の第1線に身を置いているんですもの、「平和を願って努力してさえいれば何も起こらないハズ」といった平和ボケ発想の議員は少なくなってきているのです。政府は率直な説明をすることに神経質になり過ぎていたのかもしれません。


 さて、想定しうる日本経済への影響ですが、当日の私の答弁内容について簡単に書きます。
 1990年8月にイラクがクエートに進攻した時には、予想外の出来事に原油価格が高騰しました。その煽りで物価が上がり、消費が低迷し、企業収益は減少、設備投資も減少し、日米ともに物価の下落が起こりました。原油価格高騰で日本の貿易黒字も圧縮しました。為替はドル安・円高でした。
 それでも1991年1月の開戦直後には、戦争の先行きが見えたことから原油価格は急落し、貿易収支も改善しています。
 今回は当時と違って、市場が既にある程度イラク攻撃を折り込み済みであること、原油備蓄も十分有り、産油国が早期に増産体制を組んでくれていること(むしろ産油国側は供給過剰を心配している)、日本の消費者物価に占める石油製品の割合は3・01%と小さくなっていること等から、日本経済への悪影響は湾岸戦争時ほど大きくないだろうと予測しています。
 しかし、戦争が中長期戦になると、米国の国防支出増から米国の財政収支が悪化。長期金利が上昇して米国経済が減速。そうすると日本からの対米輸出が減ってしまう可能性があります。引き続き、原油価格、為替、株価の動向は注視していくつもりです。
 

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