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少子化対策を考える

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 少子化対策の必要性については広く理解が進み、最近では国会の委員会審議や党の会議、マスコミの特集などでも多く取り上げられるようになりました。

 少子化担当の猪口大臣など政府側から出るメッセージとしては、「出産無料化」や「児童手当拡充」など、金銭的支援策ばかりがクローズアップされて報道されているように感じられます。
 事実、世論調査でも、経済的支援を望む声が圧倒的で、平成17年10月に内閣府が発表した「子育て女性の意識調査」(複数回答)でも、ダントツ1位が「少子化対策として経済的支援が重要」(69・9%)という回答です。2位は「保育所整備が重要」(39・1%)、3位は「育児休業や短時間勤務が重要」(37・1%)という結果でした。

 ようやく景気が良くなってきたとはいうものの、長年続いた不況でリストラへの恐怖心が刷り込まれていますから、出産や育児にかかる費用が大きな不安要因であることも理解できます。若いご夫婦と話してみても、特に第2子以上の出産については、経済的要因から躊躇されるケースが多いのが現実です。
 女性労働力率75%の米国では、児童手当制度は無いのですが、扶養児童1人あたり約10・5万円の所得税控除と保育費用35%分の所得税控除が有り、安価な労働力の存在による安い民間保育サービスが充実していると言われます。
 自民党でも、所得税額控除方式の支援策や、小児医療費や不妊治療費の更なる負担軽減が議論されているところです。

 しかし、私は「経済的支援を充実したからといって、必ずしも出生率が上らないのではないか」という不安を拭い切れません。
 2000年と2004年に児童手当を拡充しましたが、出生率低下は継続しています。
 全国的に見ると、県民所得額では決して恵まれている方ではない沖縄県の出生率が高くなっています。米国でも、経済的に豊かとは言えない中南米移民の出生率が2・79と最も高く、国全体の平均を押し上げています。
 一方で、豊かになっている韓国などNIESの出生率は日本より低くなっています。

 私は、日本人の価値観の変化や家庭・学校教育のあり方にも目を向ける必要を感じています。
 昔は、「所帯を持って一人前」という価値観や若者本人の独立意欲、「職業は一生もの」という職業観、生命の連続性や家系・先祖に対する意識というものが社会に根付いていました。
 こんなことを書くと、年寄り臭いとか頭が古いとか言われてしまうのでしょうが、私が若い頃には、「学校を卒業したら定職に就き、親に経済的な迷惑をかけないようにしよう」「会社で嫌なことがあっても、親の顔を思い浮かべて我慢しよう」「適齢期と言われる年齢になったら、結婚相手を探そう。それが一番の親孝行だもの」「**家の跡取りを作らなくては、ご先祖様に申し訳ない」等々、ごく自然に考えていたのです。
 また、私に6歳下の弟が生まれた時も、弟の面倒を見るのは当然の仕事でした。両親は共働きでしたから、午前中は祖父が弟の世話をしてくれましたが、午後は小学校から帰った私が、弟のオムツを替えて洗濯をし、ミルクを飲ませ、離乳食を作って食べさせ、疲れて帰る母の為に食器洗いなどの手伝いをしていました。私の友人も含めて、弟や妹の世話をすることは当たり前だったと記憶しています。
 私自身は縁に恵まれず結婚が遅かったのですが、弟のお陰で乳幼児の面倒を見ることへの抵抗感はゼロです。仕事を持ちながらでも子育てをしたい、頑張れば十分にできる、という妙な自信があるのは、「勉強も大切だけど、家族の一員として家事の役割分担はしっかりさせる」という母の教育方針によるところが大きいかな・・と思います。

 最近では「多様な生き方」が認められ、日本人の価値観は変わりました。
「結婚は人生の選択肢の1つ」「失うものが多い」と考える若者が多いとされますし、定職に就かなくとも親が面倒を見て下さるお宅もあるのでしょう。結婚制度や主婦を否定的に捉える論調も有ります。
 しかし、若い方々の精神的・経済的自立や、社会全体として子育てを応援する空気が無くては、少子化問題の抜本的解決は不可能だと思うのです。

 目に見える少子化対策としては、税制を中心とした経済的支援策、不妊治療支援、地域的バランスの取れた保育所整備、子育て後の職場復帰促進、子育て対応型住宅リース制度などを研究しているところですが、加えて、家庭や学校における「家族観・職業観教育」「食育」の充実なども重要な要素になるのではないかと考えています。

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