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石井代議士刺殺事件の悲しみ

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 APEC閣僚会合出席の為に滞在していたメキシコで、弟からのショッキングな電話を受けました。「今から10分前に石井紘基代議士が息を引き取られたんだって」。刺殺事件の第一報でした。

 帰国する飛行機内の新聞で、家賃を払えなくなった人がお金を無心して断られた事を根に持っての犯行と知り、怒りが込み上げるとともに、ロシアからお嫁に来られた奥様や美しいお嬢様の泣き顔が目に浮かんで、涙がこぼれました。数年前に石井代議士ご一家と食事をともにし、とても素敵な奥様からは政治家の妻としてのご苦労話を伺った事がありました。


 大臣や党幹部以外の国会議員の身辺は実に無防備です。「公人」ということから、プライバシーは殆ど無く、自宅の住所や電話番号、家族構成まで公開されています。

 私の東京の宿舎にかかる電話も、全く面識の無い方からのものの方が件数は多く、嫌がらせや脅迫は日常茶飯事。地元の事務所や自宅も同様で、過去にも放火未遂や車庫や自動車の破壊、尾行車に苦しめられてきましたが、大臣などの警護対象者以外は自分で身を守る他に対応策が無いのが現状です。

 知らない人がお金を貸してくれと言ってくることも珍しい事ではありません。お断りすると凄む人もいました。


 行政の対応や法制度の不備で因っておいでの国民の声を伺うことは、代弁着たる代議士の責務と思っていましたし、生のお声が議員立法のヒントになった事も多いので、私自身も出来得る限り、知らない方であっても面談はしてきました。常に有権者に対してオープンであろうと心がけると、代議士の身辺は無防備になります。石井代議士もそんな姿勢があだになってしまったのでしょう。

 やっと最近になって、議員会館 (国会事務所) 入口には外国並みに金属探知機が設置されましたが、それまでは刃物や爆発物を持つて議員会館に入ることは簡単なことでした。来訪者が受付で住所と氏名を書いたら「奈良県の山田様他五名、お通ししていいですか」と受付から電話が入りますが、毎日、予算要望などで、各種団体や県市町村関係者等、事前に約束の無い来客は何十組もございますので、いちいち「奈良県の何という組織の山田さんですか?」と確認することも失礼に当たり、事実上はフリーパスで入って戴かざるを得ません。

 議員宿舎の方は、相変わらず無防備で、深夜に夜回りの記者さんが部屋のベルを押すこともしばしば。「**新聞です」と言われてドアを開けたら暴漢だったら・・と思うと怖くなります。


 公人として求められるプライベート面の情報公開やオープンな政治活動と安全確保のバランスの難しさや、「事件が起きなければ動けない」警察の事情など、考えさせられた悲しい事件でした。

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