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秘書の斡旋利得問題に思う

更新日:

 自民党の加藤紘一代議士事務所スタッフの口利きによる資金集め疑惑がマスコミを賑わし、民主党側では鹿野道彦代議士事務所で同様のスキャンダルが発生しました。

 自民党内でも「斡旋利得罪の対象に『私設秘書』も加えるべき」との声(私もそう思ってます)が上がる一方で、「私設秘書の定義が難しい。ボランティアやアルバイトも事務所に常駐しているし、後援会員が事務所の名刺を持ちたいと希望されたり、後援者の息子さんを行儀見習いで短期間預からざるを得ないこともある。外部から秘書とそうでない人の区別がつきにくく、事務所側でも、どこまでを『私設秘書』と呼んで
いいのか分からない」といった声も聞かれます。

 早速、通常国会冒頭の代表質問で社民党の辻元清美議員が「小泉総理の私設秘書は何人ですか?」「尾身大臣の所は何人ですか?」と質問。小泉総理は「どこまでを私設秘書と呼ぶかは難しいが、公設秘書以外で事務所に居る者という意味でなら9人です」と答弁されました。(その後、尾身大臣の「17人です」との答弁には本会議場に驚きのどよめきが起こりました。仕事の多い大臣クラスや選挙区面積の広い保守系議員だと、秘書数が多い人もいるのかなあ)

 確かに、私設秘書に斡旋利得罪を適用する法改正をするにしても「私設秘書」の定義は難しいでしょう。
 私事務所でも、1日に数時間のアルバイトをお願いしている人が1人いますが、官庁に資料を受け取りに行く用事で必要な為、高市事務所の名刺を持ってもらっています。名刺に「秘書」の肩書きはつけていませんが、外部から見ると区別はつかないでしょ
う。

 また、定義を確定したとしても、法の抜け道が出来ます。
 例えば、自分の秘書に事務所を退職させてコンサルタント会社を設立させます。秘書として過去に築いた人脈で、官庁への口利きは可能です。口利きが上手くいった報酬としてコンサルタント料を受け取り、その一部を元秘書からの個人献金という形で代議士の政治資金管理団体に寄付します。そうすると、代議士や現職秘書が
口利きをしてお金を受け取るのと同じ結果を合法的に作ることが出来るのです。

 「公設秘書以外で政党事務所及び政治資金管理団体事務所及び後援会事務所に常駐する人全員」を全て法の規制対象に加えると同時に、「議員秘書退職後の数年間、行政や政治にタッチする可能性のある企業への就職を禁じる」法律でも作るか、「議員への陳情行為そのものを禁じる」法律でも作らない限り、残念ながら抜け道は残ってしまいます。

 事実、私の事務所に持ち込まれる依頼の殆どが、広い意味では「斡旋」です。
 税制や国家予算要望も議員が中央省庁に持ち込むなら「斡旋」ですし、就職や進学の相談から、道路に歩道をつけて欲しい、公民館建て替えを応援して欲しい、住宅地内を駐車禁止にするよう警察に口添えして欲しい、といった要望まで様々です。

 行政側が個人や企業の要望に理不尽な対応をしているケースもありますから、その場合は、国民の代弁者としての立場で、行政の公平公正な対応を求めることはあります。ただし、私が特別に気をつけているのは、万が一不正な陳情が来た時に法律を理解しないままに秘書が応じてしまわない様に目配りすることです。

 高市事務所のルールは、「全ての陳情は依頼を受けた段階で書類で代議士に報告をし、代議士の了解と指示がない限り、秘書は勝手に処理をしてはならない」「どんなに親しい支援者からでも、金品の提供を受けてはならない。秘書が金品を受け取った事が発覚した時点で解雇する」「入所希望者は半年間、資質の見極めと法律の勉強を兼ねて試用期間とする」というもの。
 国会日程が多忙の時期には、国会事務所と選挙区事務所両方の全秘書の活動に細かい目配りをする事に苦痛を感じる事もありますが、雇用者である以上は管理責任もあり、何か問題が起きた時に「秘書が勝手にやったこと。私は知りませんでした」とだけは言いたくないので、なんとか頑張ってマス。

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