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「委員長のため息」

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 今年の通常国会開会にあたって衆議院常任委員長交替の人事があり、私の主な仕事は院の役員から党役員へと変更になりました。これからは、堀内総務会長の下で副会長を務めることになります。

 昨年1月から丸1年、なんとか無事に衆議院文部科学委員長の職責を果たせたと思っていますが、その経験から、国会の委員会運営に関して改善されるべき点も見えました。
 在職中は「野党を怒らせたら委員会開けなくなっちゃいますから、委員長は短気を起こさずに我慢して下さいよ」と与党側理事に諫められていたので我慢しましたが、今日は少しばかり書いちゃうもんね。

 昨年の通常国会召集時に民主党が作った「委員会審議等の対応について」というメモが手元に有ります。
 「国会開会中の大臣の海外出張は必要やむを得ざる場合に限る」
 「大臣に代わって副大臣・政務官が本会議委員会で答弁することは原則として認めない」
 更に「審議時間は十分に確保すること」と書かれているのに、「原則として夜なべは認めない」「新委員会の定例日については原則2日とする」「参議院先議については一切認めない」とも書いてあります。
 この他にも各法案の審議入りを出来るだけ遅らせる為の方針が列挙されていました。

与党側では、全委員会の委員長や筆頭理事を集めてこのメモを研究し、この目茶苦茶な野党の戦術に立ち向かい早期の法案審議入りに最善を尽くす旨を確認し合ったのでした。

 「政府与党」という言葉が示す通り、与党は政府に閣僚を送っていますから、政府提出法案として国会審議に付される予定の法案については、党内で事前に何度も会議を開き、必要な修正を政府に了解させるなどの作業も終えています。ですから、法案が国会に提出されたら、早急に委員会審議に入って1日も早く成立させることが与党議員の仕事となります。
 一方、野党は、委員会の場で政府提出法案を慎重に審査しようとします。最後は多数決なので、野党議員の人数での否決は無理ですが、出来るだけ審議を引き延ばすことで会期切れに持ち込めば得点になるのです。
 しかし、昨今は日本人が経験したことのない事態が次々に発生しており、国会における法整備にスピードを求められる場合も多く、「慎重審議」の名を借りて審議入りまで拒否されてしまうと、政府の対応が遅れて国益を損なうケースも出てきます。

 私は民主党メモを見た時、「これでは『国会活性化法』の精神が生かされないじゃないか」という怒りを覚えました。
  平成11年に成立したこの法律は、形骸化した国会審議を活性化させ、政策決定を政治主導に変えることが目的でした。政治家同士の議論を活発にする為に、閣僚の代わりに官僚が答弁する政府委員制度を廃止しました。かと言って、全ての答弁を大臣が行なうのでは、大臣は国会会期中は国際会議に出席することも出来ず、省庁での職務をこなす時間も確保できません。こで、大臣に代わって答弁できる副大臣制度が平成13年から導入されたのです。
  ところが、野党は相変わらず「大臣不在なら委員会開会に応じない」といった戦法なのです。昨今でも、各国の大臣が集まる国際会議への出席を断念した大臣がいました。
 私の委員会でも、大臣が他の委員会に呼ばれた30分間は委員会を中断したり、大臣に昼食を諦めてもらって終日ぶっ通しで審議をしたり、と苦慮しながら、なんとか多数の法案審議を会期内に終えることが出来たのです。委員長席の私もつらかったですが、町村前大臣も遠山大臣も空腹やトイレを我慢して、よく頑張って下さいました。
 そんな中、委員会を抜け出して昼ご飯を食べてきた野党議員が「食事の間、委員会の審議が聴けないのが問題よねえ」と不満顔で言った時には、流石にキレそうになりました。

 今だから言いますが、委員会中に大声で携帯電話をかけてた貴方、隣席の議員とお喋りばかりしているので「ご静粛に!」と注意した私に逆ギレして怒鳴った挙げ句に退席してしまった貴方、6時間の委員会なのに毎度10分間しか座らずに出席カウントだけ取らせてた貴方、私は怒っていたんだゾ!(あ~、スッとした)
 

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