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新型コロナウイルス感染症対策①:「重症者数・死亡者数の極小化」に向けた対策を

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 昨日は、新型コロナウイルスに感染した妊娠中の女性が自宅待機を余儀なくされた上、自宅で出産し、赤ちゃんが死亡してしまったという報道に、やり切れなく、涙が溢れました。

 せっかく授かった大切な新しい命ですから、「自分が感染したから…」と自らを責めてしまうお気持ちもおありでしょうし、深い悲しみと喪失感の中に居られることと存じますが、今は御自身の回復を第一にお大事になさっていただきたいと願います。

 

 連日のように、軽症だった自宅療養者の容体が急変して、搬送先の病院が見付からずに重篤化したり、お亡くなりになったりと、悲し過ぎる報道に接します。

 

 内閣が懸命に取り組んでいるワクチン接種の促進やマスク着用の徹底など「感染者数を減らす為の取組」は変わりなく大切ですが、「重症者数・死亡者数の極小化」に向けた対策の重点化を切望しています。

 

 感染された方々に対して、軽症から中等症Ⅰの患者対象の治療薬である「抗体カクテル」(カシリビマブ、イムデビマブ)を、早期に幅広く処方できるようにするべきです。

 

 処方可能な場所を「感染症患者を受け入れている有床の医療機関」と「医師滞在の宿泊療養施設で、自治体が臨時の医療機関と指定した場所」に限定していては、治療薬が効かない段階に病状が進んでしまいます。

 そもそも「抗体カクテル」は感染初期に有効な治療薬とされているのに、入院先や宿泊療養施設を探すことが困難なのですから。

 

 地域総合病院の外来の医師、有床ではない開業医、感染患者宅を廻って下さっている訪問医師の皆様が、軽症患者に治療薬を処方できないような状況では、重症患者数は増える一方です。

 点滴後の観察も必要ですから、地方公共団体で「治療薬投与後の経過観察宿泊場所」や「移送手段」を確保した上で、他の病気の患者さんと導線を分けられる病院については、外来の個室などで点滴ができるようにしていただきたいと思います。

 勿論、感染した方々の自宅から病院への移動用には巡回バスを用意するなど、別途の取組も必要になります。

 

 容体によっては、医師の判断によって、中等症から重症用の治療薬「レムデシビル」(ギリアド・サイエンシズ社)、中等症Ⅱから重症用の治療薬「バリシチニブ」(イーライリリー社)、重症用の治療薬「デキタメタゾン」(日医工)の処方も必要でしょう。

 

 医師でもある国会議員が、ご自身が感染した時の話をして下さいました。

 その議員は、感染症対応病院の医師ではないので自分で治療薬を処方することもできず、入院先も無く、自宅待機だけが続き、本当に不安で怖かったということでした。

 

 ようやく8月13日に厚生労働省が通知を出し、「医師滞在の宿泊療養施設で、自治体が臨時の医療機関と指定した場所」が治療薬を処方できる所として追加されたところです。

 宿泊療養施設で治療薬を処方するということであれば、公的機関が保有する施設の活用はもとより、国と地方公共団体の総力を挙げて相当数のホテルを借り上げ、国がホテルの本来の営業利益や風評被害に対する十分な補償も行い、「自宅療養者を皆無にする」くらいの取組が必要です。

 

 安倍内閣時の昨年1月30日には、官邸から「中国・湖北省(武漢の在る地域)からの帰国者の宿泊場所」として、各府省が所管する研修宿泊施設について照会がありましたので、総務省からも複数の宿泊設備を官邸に報告しました。今こそ、国の関係施設もフル活用するべき時です。

 

 現状、治療薬については、十分な量の確保が困難なのだろうと推察しています。

 特に私が不安を感じているのは、「抗体カクテル」と「レムデシビル」の供給量です。現段階では、いずれも、国内生産をしていません。

 

 厚生労働省に問い合わせましたが、「いずれも、全世界向けの供給量が限られている中、投与対象となる患者数の見込みに対応できる量の確保に努めているところです」との回答でした。

 

 「抗体カクテル」(カシリビマブ、イムデビマブ)は、米国のリジェネロン社が創製し、昨年、提携先であるスイスのロシュ社と共同で製造・開発・販売することになりました。中外製薬の親会社はロシュ社ですから、中外製薬が日本における開発権・独占販売権を取得しています。

 「レムデシビル」は、米国のギリアド社が開発しました。既に英国では、製薬会社が契約に基づき、製造を開始しています。

 

 治療薬やワクチンについては、一刻も早い「国内生産体制」を確立するとともに、国内で生産している他の病気の治療薬の中で新型コロナウイルス感染症の治療にも有効だとして製薬会社から承認申請がされている薬については承認に向けた手続きを急いでいただきたいと思います。

 

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