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「夫婦別氏」に係る最高裁の判断

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 本日15時過ぎに、「最高裁大法廷が合憲判断」との速報が流れ、安堵しました。

 

 これは、「夫婦同氏」を規定する『民法』と「婚姻届の手続」を規定する『戸籍法』について、「法の下の平等」を定めた『日本国憲法』に違反するかどうかが争われた3件の家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷は、両規定を「合憲」とする決定を出しました。

 東京都内にお住まいの事実婚の男女3組が、別氏の婚姻届を受理するよう家庭裁判所に求めておられたものでしたが、受理しないという判断が確定しました。

 

 僅か5年半前(2015年12月16日)に、最高裁大法廷は、「夫婦同氏」を定めた『民法』の規定を合憲としていましたから、「これが覆ることはないはずだ」と考えていました。

 しかし、昨夜のテレビ番組で夫婦別氏制度導入を求める夫婦の言い分のみを特集しているのを観て、それが世論の大勢だと思われた場合に、今日の最高裁の判断が如何なるものになるのだろうかと不安になってしまいました。

 

 もしも最高裁で違憲の判断が出ていた場合には、法務省は速やかに『民法』の改正に着手することになったでしょう。

 法改正によって「戸籍上も別氏の夫婦」が出現した場合には、「子の氏の決め方」について、全ての別氏夫婦が納得できるルール作りが必要になります。

 「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」や「出生時に夫婦が別居状態で、協議ができない場合」には子の氏が定まらず、戸籍法第49条の「出生の届出は、14日以内にこれをしなければならない」という規定に抵触する可能性があるからです。

 

 現時点で衆議院に提出されている「夫婦別氏制度の導入」を可能にする法律案は、2018年(平成30年)6月14日に当時は立憲民主党だった山尾志桜里議員が代表提出者となって複数の他党議員とともに提出した『民法の一部を改正する法律案』の1本だけです。

 

 本法律案に規定されている「子の氏の定め方」ですが、「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」「協議が調わないときは、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」とされています。

 

 果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。

 

 離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では「子を養う経済力」「子と過ごす時間を確保できるのか」「子との関わりや愛情」「子の年齢によっては子の意思」「健康状態」「教育・居住環境」などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。

 しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。

 

 私は、「子の氏の安定性」が損なわれることを懸念するという理由で、同法案に対しては、反対の立場でした。

 

 自民党は、先ずは直近の『選挙公約』を完全に実現することに注力するべきだと考えています。

 直近の衆議院選挙の『自民党衆議院選挙公約2017』には、「旧姓の幅広い使用を認める取組を進めます。まずは、住民基本台帳とそれに連動するマイナンバーカードにおいて旧姓併記ができるように準備を進めます。また、パスポートへの旧姓併記の拡大に向けた検討や、銀行口座についても旧姓使用が可能となるよう働きかけを行うなど、取組を進めていきます」と記されています。

 直近の参議院選挙の『自民党参議院選挙公約2019』も、殆ど同じ書きぶりです。

 

 これらの公約を実現する為に、自民党議員は努力を続けてきました。

 既に、マイナンバーカード、パスポート、免許証、住民票、印鑑証明は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になりました。

 士業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許への婚姻前の氏の併記や使用が可能になっています。

 

 残る課題は、地方公共団体や公私の団体が付与する資格についても、婚姻前の氏の併記と使用を拡げることです。

 加えて、各種申請などの事務手続で戸籍氏しか認めていないものを解消していく必要があります。

 

 私は2019年(令和元年)9月から約1年間、再び総務大臣を務めましたが、その1年間で、『地方自治法』『住民基本台帳法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、申請時などに戸籍氏しか使えなかったものを全て婚姻前の氏か併記で対応できるように変更しました。総務省が単独で改善できたものだけでも、合計1142件でした。

 全府省庁が同じ取組を実施し、地方公共団体、公私の団体、事業者などに同じ取組を要請すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることは殆ど無くなると考えます。

 

 その為にも、私が平成14年に起草した『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』の成立が必要です。

 この法律案では、「夫婦親子の戸籍氏が同一であることを維持」しつつ、「婚姻前の氏を通称として使用できる措置」を、国、地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付けていますので、日本全体で一挙に対応が進むはずです。

 

 私は、昨年12月に、この『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』を、自民党政調会の法務部会に再提出しました。

 自民党には、中曽根弘文参議院議員を会長とする約150名の議員連盟があり、同法案の国会提出・成立に向けた取組を応援して下さっている同志の皆様とともに、婚姻前の氏の通称使用を拡大する為の取組について議論を続けています。

 

 仮に将来、「夫婦別氏制度」が導入されたとしても、「戸籍の夫婦親子同氏を維持した上で、婚姻前の氏の通称使用を希望する」という方々は必ず残るはずですから、その方々の利便性向上の為にも、「夫婦別氏制度」導入への賛否に関わらず、同僚議員の皆様に早期に賛同していただきたい法律案です。

 自民党の『選挙公約』を完全に実現する為に、最も現実的な方法だと自負しています。

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