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経済安全保障の強化に向けて①:デジタル化に伴う消費電力急増への対策を

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 現内閣が「社会全体のデジタル化」に尽力している中、是非、多くの皆様に「経済安全保障」の課題の1つとして問題意識を共有していただきたいことがあります。

 

 それは、「情報化の進展によって、社会全体の消費電力が莫大なものになりつつある」ということです。

 

 「情報通信関連の消費電力」は、2030年には現在の約30倍以上に、2050年には現在の約4000倍以上にまで激増するという予測があります。

 あくまでも、これは情報通信関連に限定した消費電力予測ですから、更に多めに考えておいた方が良いでしょう。

 

 出典は、「国立研究開発法人 科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター」による『情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響』(Vol.1~Vol.3)です。

 勿論、将来の技術進歩を盛り込んだ比較は困難ですから、前提条件の設定には相当苦労しながら予測された数字だと思います。

 

 私は、数年前から、主に「データセンター」「AI(人工知能)」「スーパーコンピュータ」の消費電力の多さに強い関心を持って、それらの「省力化研究の状況」について各官庁や研究者や技術者の方々に問い合わせをしていましたが、未だ十分な情報は得られていません。

 日本にとっても、世界にとっても、「各種情報通信インフラや機器の省力化」は、重要なミッションです。

 

 古い話ですが、2016年に、私が「AIのディープラーニングの仕組みと課題」について講演をした折に配布した資料が残っていました。

 「課題としては、大量の計算機システムが必要であり、電力の負荷が大きい。例えば『アルファ碁』の瞬間消費電力は25万W。『アルファ碁』を1時間稼働させると、60世帯が1時間に使用する電力を消費する」。

 

 スーパーコンピュータ「富岳」についても、2014年から理化学研究所と富士通株式会社が開発を進め、2021年3月9日に完成しましたが、2017年に理化学研究所で研究をしておられた学者とともに林芳正文部科学大臣を訪問し、「省力化設計への変更が可能である」旨の提案を申し上げましたが、既に間に合わない段階だとのことでした。

 

 前記した『情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響』に、話を戻します。

 

 日本国内の「データセンター」の消費電力は、2018年時点では14TWh、2030年には90 TWh(約6倍)、2050年には12000 TWh(約857倍)とされています。

 これは、現在の最新機器を用いたと仮定し、将来の技術進歩は織り込まない場合の推定消費電力です。

 

 「データセンター」の消費電力の内訳は、現時点で、サーバが50%、電源・冷却系が25~30%、ストレージが10%と記してあります。

 

 「将来的には60~80%を占めると推定されるサーバの消費電力低減が最も重要」「データセンターでの計算負荷の増大が見込まれる将来、電力需要の提言に最も効果が大きい機器はCPUとGPU。2030年に現在の3~10倍程度、2050年に1000倍の消費電力性能(Gflops/W)達成を目標とすべき」「メモリ、電源、ストレージも、2030年に10分の1、2050年に1000分の1程度への消費電力低減が目標」としています。

 

 また、日本国内の「ネットワーク系」の消費電力は、2018年時点では23TWh、2030年には90 TWh(約4倍)、2050年には12000 TWh(約522倍)とされています。

 これは、トラフィックの年率27%の増大を仮定とし、現在の最新市販品レベルを前提とした推定消費電力です。

 このうち80%はアクセス系ネットワークによる消費だそうです。

 

 「通信分野で著しい消費電力の増大が見込まれるのはアクセス系、特に無線アクセス系。装置・設備では無線基地局とルータ。これらの消費電力について、2030年に現状の2分の1~3分の1、2050年に100分の1以下程度への低減を目標とすることが必要」「消費電力の低減には通信システム、アーキテクチャの検討も重要」としています。

 

 既に私も、パソコンやスマホ無しで仕事はできませんし、家庭内でも何時の間にか多くのIoT機器に囲まれて暮らしています。

 皆様のお宅でも、家電コントローラー、目覚ましカーテン、スマホ連動型インターホン、スマホ連動型施錠・解錠、スマホ連動型ペット給餌器、見守り用防犯カメラ、IoTクロックなど、ご利用中のIoT機器があるかと思います。

 

 生活に密着したIoT機器、ゲームや動画の利用に加え、自動運転、ロボット、水素製造などにも、電力は不可欠です。

 

 最近、経済産業省・資源エネルギー庁が、今夏や今冬の電力需給バランスを心配して注意喚起を行っていますが、暑い時期や寒い時期に1人1人が節電することで対応できるような話ではない課題が目の前に存在しています。

 

 裾野が広い情報通信産業における「省力化の研究開発」の促進とともに、「安定的な電力供給体制」の構築を急がなければ、生活や産業が成り立たなくなる時代が来ています。

 

 「経済安全保障上のリスクの最小化」に向けた備えとしての側面もありますが、同時に、日本経済成長のチャンスを生み出す取組でもありますので、内閣が強いメッセージを発出し、産学官で集中的な対応を進めるべき時だと考えます。

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