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中国と北朝鮮に対する各国の脅威認識

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 2009年以降の諸外国の首相や国防大臣の発言、『国防白書』などの記載から、米国、英国、オーストラリア、ロシア、中国、韓国、北朝鮮などが、サイバー空間を、陸・海・空・宇宙空間と同じく「作戦領域」と位置付け、「サイバー空間での軍事能力向上」や「安全利益の維持」を目指していることが分かります。

 

 例えば、米国の認識です。

 

 2017年の国家情報長官による『世界脅威評価書』では、「主なサイバー脅威の主体は、ロシア、中国、イラン、テロリスト及び犯罪者だ」としています。

 

 中国については、「国内の安定又は政権の正当性を脅かすと彼らが考える国外の標的に対して、攻撃的なサイバー活動を実施」「中国は、積極的に米国政府、その同盟国及び米国企業を、サイバー諜報の標的とする」としています。

 

 北朝鮮については、「政治的目的を支援する為、妨害又は破壊を伴うサイバー攻撃を実施する能力を有している」としています。

 

 2018年の国家情報長官による『世界脅威評価書』では、中国については、「サイバー諜報を実施」「軍事サイバー攻撃とサイバー諜報の資源を統合し、サイバー攻撃能力を向上」としています。

 

 北朝鮮については、「資金獲得・情報収集の為、サイバー活動を利用」「ランサムウェアなど幅広く攻撃被害を与える技術・ツールを保有」としています。

 

 ロシアについては、「より大胆で破壊的なサイバー活動を実施する」「米国、NATO及びその同盟国が標的」としています。

 

 イランについては、「米国及びその西側同盟国への浸透活動を継続」としています。

 

 この他、2017年11月の『米中経済安全保障再検討委員会年次報告書』では、「中国の主体は、サイバー謀略と人的浸透戦術とを組み合わせた手法を使用し、標的とした企業の市場価値を低下させ、買収する。この戦略によって、米国の国家機密に関わる工学技術情報にアクセスし、米国の国家安全保障に脅威を与える」としています。

 

 2018年9月18日に、国防総省が3年ぶりの『サイバー戦略』を公表し、「中国は、米国の機関から持続的に機密情報を抜き取り、米軍の優位性と米国経済の活力を損ねている」としました。

 

 日本においても、ようやく近年になって、サイバー空間のリスクに関する政府の認識が大きく変わってきたと感じています。

 

 2018年8月28日に公表された『平成30年版防衛白書』には、「中国及びロシアは、ネットワーク化された部隊の妨害やインフラの破壊などのために、軍のサイバー攻撃能力を強化していると指摘されている」「サイバー空間や宇宙空間など、新たな領域の活用が死活的に重要になっている」との記載がなされました。

 

 諸外国の「サイバー戦能力」については、公式には明らかにされていませんが、米国政府や日本の防衛省作成資料を参照したところ、要員数では、日本の現状の規模では勝負になりません。

 

 中国の「シギント部隊(通信・電磁波・信号などの傍受を利用した諜報活動等を行う)」は約13万人規模だとされています。その他、民間にも約250のハッカー集団が存在し、Webサイト攻撃などを実行しているそうです。

 

 北朝鮮では、約6800人のサイバー戦担当要員を擁しているようです。

 サイバー攻撃を担当する軍の中枢では、コンピュータシステムへの侵入・偵察・攻撃を担当し、国外にも拠点を設けて、秘密裏にサイバー戦の任務に従事しており、サイバー心理戦の企画・実行を担当する局もあると指摘されています。

 

 米国は、2018年5月に「サイバー軍」を「統合軍」に格上げし、同年9月末までにサイバー任務部隊を6200人まで増員しました。

 

 この他、防衛省によると、サイバー部隊の要員数は、ドイツが約1万2000人、フランスが約7600人ということでした。

 

 参照資料が2019年のもので古いですから、この2年程で、各国は更に増強をしているのだろうと思います。

  

 日本の防衛省・自衛隊でも、近年はサイバー攻撃対処を行う部隊の規模を少しずつ大きくしてはいますが、数百名単位です。

 高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対応する為には、更なる要員の増強・対処能力の向上とともに、防衛装備品調達における審査の強化や関連企業のセキュリティ高度化も必要です。

 

 国家安全保障及び経済安全保障の観点からも、防衛省・自衛隊のみならず、NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)やNSC(国家安全保障会議)に加え、インテリジェンス機関である内閣情報調査室、公安調査庁、警察庁の機能強化の為に、定員の拡充や資機材の増強について、予算編成時には危機感を持って真剣に対応するべき時だと考えます。

 

 

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