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福島第1原子力発電所「処理水」の海洋放出決定の手順に疑問

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 昨日(4月13日)は、2回も、大いに驚く事が起きました。

 

 1回目の驚きは…。

 昨日、政府の関係閣僚会議が開催され、東京電力福島第1原子力発電所の敷地にたまった処理水を海洋放出する方針を決定したことです。

 

 概ね2年後から放出開始で30年程度の放出期間となりそうだということ、トリチウム濃度を国の基準の40分の1(WHOの飲料水水質ガイドラインによるトリチウム濃度の7分の1)に下げてからの放出だということも報じられていました。

 

 昨日中に、梶山弘志経済産業大臣が福島県を訪問し、知事に「徹底した風評対策に取り組む」旨を伝えたことも承知しています。

 

 しかし、現在も続いている「風評被害」を、各国との交渉によって解決する方が先ではないでしょうか。

 

 2011年3月に福島第1原子力発電所の事故が発生した直後には、54の国と地域が日本産食品の輸入規制を行っていました。

 

 2021年3月17日現在の農林水産省の資料によると、「日本産食品の輸入規制」を続けている国と地域が15も残っています。

 同盟国の米国でさえ、「輸入停止措置」を続けています。中国、台湾、韓国、香港、マカオを合わせると6の国と地域が「輸入停止措置」を続けています。

 EU、ロシア、シンガポールなど「検査証明書など書類の要求」をしている国と地域も合わせると15です。

 

 政府や東京電力が「処理水の海洋放出によって新たに発生する風評被害」への対応を約束したとしても、「現在も残っている風評被害」を皆無にしてからでなくては、水産業や農業や食品加工業などに携わっておられる方々の信頼は得られないと思います。

 

 現在も残っている6の国と地域の「輸入停止措置」の対象地域は、福島県だけではなく東北地方や関東などの多くの県です。

 例えば、米国による「輸入停止措置」の対象地域は、青森県、岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県で、対象となる食品は県によって様々ですが、海産物のみならず、原乳、肉、野菜、果物、キノコ類など多種に及びます。

 

 「日本産」というだけで全国的に影響が出る可能性が高い問題ですから、処理水の海洋放出を決定する前に、過去10年間に政府が国際社会に向けて実施した情報発信の内容、通商交渉や外交交渉の結果と今後の見通しについて、生産者や国民の皆様に対して明らかにするべきだったのではないでしょうか。

 

 2回目の驚きは…。

 昨夜、たまたま視聴していた報道番組に、過去に福島県漁業協同組合連合会宛に経済産業省が発出した書状が映り、差出人名が「経済産業大臣臨時代理 国務大臣 高市早苗」になっていたことでした。

 

 安倍内閣で総務大臣を務めていた頃、財務大臣と経済産業大臣が海外出張をする時には、2大臣の出張直前の閣議で安倍晋三総理が指名する臨時代理は必ず私でしたので、経済産業大臣の海外出張中に経済産業省で作成された文書だと思われました。

 

 今日、「私の氏名で発出された文書なので、内容を知っておくべきだ」と思い、総務省にお願いをして、経済産業省から当時の文書を入手していただきました。

 

 当該文書は、平成27年(2015年)8月24日付で『東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等排出に関する要望書について』というものでした。

 同年の8月11日に福島県漁業協同組合連合会から提出された要望書に対する回答書という位置付けです。

 

 福島県漁業協同組合連合会の野﨑哲代表理事会長宛に私の氏名で発出されていた文書の内容の中で、幾つか気になった点がありました。

 

 第1に、「汚染水対策が更に前進しリスク低減が図られていることを、以下の取組を始めとして、国内外に積極的に広報・情報発信してまいります」として、「水産物の調査結果等に関する消費者、流通業者や国内外の報道機関への説明会の開催」や「説明会等による各国在京大使館への情報提供や在外公館を通じた情報提供」を約束しています。

 前記した通り、現在でも日本産食品の輸入規制を続けている国と地域が15も残っているのですから、政府が十分な対応を済ませたとは言えません。

 

 第2に、トリチウム水については「検証結果については、まず、漁業関係者を含む関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません」と約束しています。

 

 昨夜の報道によると、福島県漁業協同組合連合会の会長が処理水の海洋放出に反対の発言をしておられ、先日は、全国漁業協同組合連合会の会長がわざわざ官邸を訪問されて海洋放出に反対の意見を表明しておられました。

 「関係者の理解」という約束を果たす前に、政府は海洋放出を決定してしまいました。仮に「実際に放出を開始する2年後までに、関係者の理解を得られれば良いだろう」と考えているのならば、あまりにも不誠実です。

 

 私の氏名で発出された文書には、「経済産業大臣」の公印が押してありましたが、総務大臣室に他省の大臣の公印が置いてあるはずもなく、私が経済産業省から当該文書の説明を受けたという記録もありません。

 

 内容を承知していない文書を私の名前で発出されていたことも腹立たしくは思いますが、総務省でも、最終決裁者が局長であり大臣への説明も為されない書類が大臣名で発出されていることは少なからずありましたから、業務上の事情は理解できます。

 それでも、少なくとも官庁が閣僚の氏名を使って文書で約束した内容は、絶対に守っていただかなくては困ります。

 

 当該文書が発出された時期の状況も調べてもらいましたが、平成27年8月22日から24日までの3日間、当時の宮澤洋一経済産業大臣はASEAN経済大臣会合出席の為、マレーシアに出張中だったということです。

 文書が発出されたのは8月24日ですから、宮澤大臣の帰国日です。

 

被災者の皆様にとっても、日本全体の漁業関係者にとっても、重要な内容を多く含む文書ですのに、経済産業大臣名ではなく、臨時代理名で発出した意図も不明です。

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