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「無駄」と批判されても必要な備え②:防災対策

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 私は、「防災対策」についても、被災後の復旧にかかる莫大な費用を考慮しても、かけがえのない命を守る観点からも、その費用を惜しんでいる場合ではないと考えています。

 

 残り少なくなった衆議院議員8期目の任期中(2017年10月~)に成し遂げた仕事の中で最も誇りに思っていることは、令和2年(2020年)に、自ら発案した「緊急浚渫推進事業」の創設を断行したことです。

 

 昨年の通常国会で『地方財政法』を改正し、地方公共団体が、5年間で約4900億円という大規模な財源に裏付けられた「緊急浚渫推進事業」を実施することが可能になりました。

 早々に本事業を活用された地方自治体では、昨年の7月豪雨でも被害が発生しませんでした。

 

 「浚渫(しゆんせつ)」というのは、河川や貯水池などの水底の土砂を掘り取ることで、河川の流路を拡げたり、深度を増したりすることができます。

 

 主要河川と言われる1級河川は、『河川法』によって、国土交通大臣が指定し、国が維持・管理・使用の制限などを行っています。管理費用の負担も原則として国土交通省ですが、1級河川の一部については、都道府県が管理し、費用も負担することになっています。

 

 2級河川は、都道府県知事が指定することとなっており、準用河川は、市町村長が指定することとなっています。

 

 国が管理する河川については、国土交通省が対応して下さっていますが、都道府県が管理する1級河川の指定区間や2級河川、市町村が管理する準用河川や普通河川については、「維持管理」などの防災対策が国庫補助事業の対象とならず、地方公共団体の厳しい財政事情から、十分な対応ができていませんでした。

 

 近年の豪雨災害では、都道府県や市町村管理の河川の越水でも命に関わる被害が出ており、地方公共団体が自ら防災事業に取り組める環境を整えることが急務だと考えていました。

 

 これまでも、地方公共団体が「維持管理」として実施する河川の浚渫に要する標準的な経費については、総務省で算定を行い、「普通交付税」の措置を講じてきました。

 しかし、普通交付税の使途については、国が強制力を持つものではなく、地方公共団体に任されています。福祉や教育や文化など住民の皆様の多様なご要望がある中で、普通交付税の使途として河川の浚渫の優先順位が低くなってしまっていた地方公共団体もあるのだろうと思いました。

 

 「緊急浚渫推進事業」の「浚渫」には、河川、ダム、砂防、治山に係るもので、土砂の除去・処分、樹木伐採などを含めました。

 

 地方公共団体には、堆積土砂率や人家への危険度に応じて、対策の優先度の高い箇所を『河川維持管理計画』に位置付け、緊急的に浚渫を実施していただきます。

 総務省では、地方公共団体が緊急的に河川やダムなどの浚渫を実施できるよう、『地方財政計画』に新たに「緊急浚渫推進事業費」を計上しました。

 

 『地方財政法』を改正したことによって、緊急的な河川などの浚渫経費について、特例的に地方債の発行が可能となりました。

 この特例債の財政措置は、充当率100%、地方債の元利償還金に対して70%の交付税措置を講じることとしました。

 

 それまで、『地方財政法』第5条では、地方公共団体の財政運営の健全化を図る観点から、地方債の発行対象を「公共施設等の建設事業等」に限定していました。

 よって、地方公共団体が実施する河川の浚渫は「建設事業」に該当しないことから、地方債の発行対象外となっていたのです。

 

 「緊急浚渫推進事業」の事業費総額は5年間で約4900億円と巨額ですから、「無駄だ」という御批判があるかもしれません。

 

 この金額の根拠は、国土交通省にご協力をいただき、全国各地で、「地方公共団体が緊急に実施する必要がある河川等の浚渫事業」について調査を実施しましたところ、必要な事業費が4900億円と見込まれることが明らかになったことによります。

 

 また、「特例債発行によって、財政健全化ができないのではないか」という御批判もあるかもしれません。

 

 しかし、私は、「国民の皆様の生命を守る」ことが、国の究極の使命だと考えています。

 本事業の防災・減災面での効果は、現在の子供さんも含めた将来世代にも及びますから、特例債の発行は、御理解を得られると思っています。

 

 更に、各地の川底を掘って発生した土砂については、土質などの情報を公表することにより、地方公共団体や建設事業者が他の事業に広く有効活用できる仕組みを構築しました。 

 土質にもよりますが、土砂の売却によって「地方公共団体の新たな財源」を生む可能性もあります。

 

 その後、自民党の同僚議員の皆様や農林水産省からの要請もあり、今年からは、新たに「ため池」も「緊急浚渫推進事業」の対象となりました。

 奈良県では、江戸時代のため池が今も使われています。全国各地でも、ため池の老朽化は同様だと思いますが、地震による堤の崩壊や台風や大雨による越水は、周辺住民の皆様の命を危険に晒します。

 

 平成21年(2009年)の衆議院議員選挙の折には、「コンクリートから人へ」の大合唱の中、街頭演説で「防災対策の充実強化」を訴えていると、怒鳴られたり、モノを投げつけられたりしていました。

 当時は、夏場に集中豪雨が多く発生し始めており、奈良県内では水害や土砂災害が懸念される場所が多く見受けられていました。

 

 昔も今も変わらず、防災対策事業は決して「無駄」ではなく、大切な命と暮らしを守る為の「備え」だと確信しています。

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