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「無駄」と批判されても必要な備え①:公立病院の機能維持

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 コロナ禍において、公立や民間の多くの医療機関の皆様が、感染症患者を受け入れ、昼夜を問わず治療・看護にあたっていただき、深く感謝申し上げています。

 

 特に公立病院は、従前より、全国の感染症病床の約6割を保持しており、昨年来の新型コロナウイルス感染症への対応においても、重要な役割を担っていただいています。

 

 この公立病院の存続が危ないと思われる時期がありました。公立病院の赤字が問題視されていたのです。

 

 そもそも公立病院には、僻地医療、救急医療、感染症医療、周産期医療、小児医療など、民間病院では不採算とされる場合が多い医療を担っていただいていますから、赤字が続いていても維持せざるを得ない地域が多々あります。

 

 最初の総務大臣在任期間だった平成29年(2017年)5月11日の経済財政諮問会議では、民間議員からの「地方自らの行財政改革に向けて」という御提言の中に、公立病院に関して、下記の記述がありました。

 

 「総務省は策定の遅れている新公立病院改革プランの策定を促すとともに、病床再編等の地域医療構想との関係性をしっかり明示すべき。不採算地区以外の病院については、繰出金への依存をより減らすべき」

 

 この御提言に対して、私からは、「民間病院による医療提供が困難な僻地等の不採算地区以外の公立病院においても、その経営に伴う収入のみをもってその経費をまかなうことが困難である救急、周産期、小児医療等の不採算・特殊部門等について、他会計からの繰出しが必要」とする資料を提出しました。

 

 この時は、これで議論は収まりました。

 

 ところが、総務大臣再任後の令和元年(2019年)9月26日、厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」において『再検証要請リスト』が公表され、大騒ぎになりました。

 

 厚生労働省は、「高度急性期もしくは急性期の病床を持つ公立・公的医療機関等1455病院中、424病院(29.1%)が再編統合など、2025年の地域医療構想を踏まえた具体的対応方針の再検証を要請する対象」だとして、それらの病院名を公表したのです。

 また、「近く厚生労働省は、都道府県に対し、これらの内容を通知する」とされていました。

 

 翌9月27日、全国知事会をはじめとする地方3団体の会長が、下記の『共同コメント』を発出されました。

 

 「地域の個別事情を踏まえず、全国一律の基準による分析のみで病院名を公表したことは、国民の命と健康を守る最後の砦である自治体病院が機械的に再編統合されることにつながりかねず、極めて遺憾であると言わざるを得ない」

 

 私も、総務省の自治財政局長に指示をし、9月27日付で「地域医療に関する国と地方の協議の場」の開催を連絡する通知を、局長名で地方団体に発出しました。

 

 地域医療構想の実現には、地域の実情を十分に踏まえた議論が行われることが重要であり、国と地方が共通の認識を持って取組を進めることが必要です。

 この為、国と地方が地域医療構想や医師の地域偏在対策などに関して議論し、地域の実情を踏まえた取組となるよう、地方3団体と総務省と厚生労働省による協議の場を新たに立ち上げることにしたのです。

 

 その後、新設した「地域医療に関する国と地方の協議の場」は、令和元年10月4日に第1回、11月12日に第2回、12月24日に第3回と開催され、議論が行われました。

 

 厚生労働省でも、職員の方々が全国各地を訪問して、「今回の分析は、全国一律の基準により行われたものであり、その結果が、公立・公的医療機関等の将来に向けた方向性を機械的に決定するものではない」「今回の分析方法だけでは判断しえない地域の実情に関する知見を補いながら議論を尽くし、合意を得ることが重要」といった説明を行っておられたと聞きます。

 

 その後、地方団体からは国費や地方財政措置も含めた令和2年度予算が評価され、国と地方の関係は正常化しました。

 

 また、令和2年2月26日に開催した第4回の「地域医療に関する国と地方の協議の場」では、私から、新型コロナウイルス感染症対策への協力要請を行いました。

 

 この地域医療構想における「再検証要請」については、令和2年8月31日の厚生労働省医政局長通知により、「新型コロナウイルス感染症対応の為、期限について再整理する」旨が示されていますが、現時点では日程は決まっていないそうです。

 

 仮に日本国内で新型コロナウイルス感染症患者数がゼロになったとしても、毎年のように、WHO(世界保健機関)からはエボラ出血熱をはじめ様々な感染症に関する注意喚起が発出されています。

 

 平時には無駄に見えていたかもしれない感染症病床も、感染症の専門知識と技術を有する医療関係者も、皆がコロナ禍に苦しむ今、「絶対に必要な、大切な存在だ」という認識が広がってきていると感じています。

 

 観光立国を掲げている日本ですから、殊更、「感染症リスクへの備え」は重要です。何が起きてもゆとりを持てる医療体制の構築はもとより、検疫体制の強化についても更に推進していかなければなりません。

 また、日本全国どこに住んでいても必要な医療や福祉が受けられる環境を作ることは、国民の皆様の命を守り抜くという国の究極の使命を果たすことにも繋がります。

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