コラム

  1. TOP
  2. コラム
  3. 8期目の永田町から 平成29年11月~
  4. 未だに「飛ばない医用テレメータ」が残存!?

未だに「飛ばない医用テレメータ」が残存!?

更新日:

 『月刊 新医療』2021年4月号に掲載されている村木能也先生の「飛ばない医用テレメータが生まれる真相」という特別寄稿文を、1人でも多くの医療機関経営者、医師、看護師、臨床工学技士の先生方に加え、建築設計に携わっておられる方々に読んでいただきたいと思いました。

 

 患者の皆様の命に係わる重大な問題が今も解決されていない原因が、分かりやすく記されています。

 

 以前から私の拙稿を読んでいただいている皆様におかれましては御承知の件だと思いますが、自らの体験を契機に、医療機関の電波環境改善に取り組んできました。

 

 最初に総務大臣に就任した翌年の平成27年(2015年)4月、母が心停止状態で病院に運ばれたという連絡が入りました。

 救急搬送された病院の先生方による懸命の蘇生処置によって母の心臓は動き始め、その後、心臓専門医が居られる他の総合病院に転院させていただきました。

 

 転院先の病院で看護師の方から伺った話が、新たな施策構築のヒントになりました。

 急な転院でしたから、母が入ることができた病室はナースステーションから遠く、心拍数や呼吸数の情報を送る「医用テレメータ」の電波がナースステーションまで届かないということでした。

 その話を伺って驚き、夜が明けるまで病室の床に座って、心拍数が表示されている画面を睨み続けました。

 

 母がお世話になった病院は、先進医療にも取り組んでいる総合病院ですから、「全国各地の他の病院でも、同様の電波環境に直面している可能性が高いのではないだろうか」と感じました。

 総務省は、電波行政も所管しています。多くの方々の生命に関わることですから、「早急に対応するべきだ」と考えました。

 

 病院で徹夜をした翌日、 総合通信基盤局長と電波部長に私が経験した話をしましたら、彼らも驚いていました。

 

 早速、総務省総合通信基盤局電波部電波環境課の職員達が準備を進めて下さって、電波環境協議会に「医療機関における電波利用推進部会」を立ち上げ、平成27年(2015年)9月から、医療関係団体・医療機器関係団体・医療機器ベンダ・通信事業者・建築事業者など様々な分野の専門家チームに、総務省と厚生労働省の職員も加わって、検討を始めていただきました。

 

 3000の医療機関を対象に調査をしてみた結果、全国各地の病院で、「医用テレメータ」だけではなく「無線LAN」など、電波に関する多数のトラブルが発生していることが分かりました。

 

 「医用テレメータ」については、「一部の病室で電波が届かない」「不適切なチャンネル設定による電波利用機器同士の干渉」「電池切れ」「LED照明・無線LAN・無線式ナースコールなど他の機器による干渉」などのトラブルが報告されました。

 

 更に、「別フロアの患者さんや他の診療科の患者さんのデータが誤って送信されていたケース」「数百メートル離れた近隣病院の医用テレメータと混信が発生していたケース」など、私が考えていた以上に深刻な状態でした。

 

 病院の新築時や改築時に、「医用テレメータ」の電波環境に配慮した建築設計になっていない場合は、長年にわたってトラブルが続きます。

 

 「医療機関における電波利用推進部会」の皆様の御尽力により、平成28年(2016年)4月には、このような課題の解決策を『医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き』として取り纏めていただきました。

 「トラブルと対応策の事例(取組フロー図など)」や、「電波を管理する体制構築の在り方」などを整理した冊子です。

 

 総務省は、早速、平成28年度に、全国20箇所でシンポジウムや説明会を開催しました。

 厚生労働省の御協力により、『医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き』を、医療関係団体にも配布していただきました。

 

 「総務省シンポジウムへの参加を契機に、電波環境の改善に着手しました」という病院関係者のお声を多く伺い、嬉しく思っておりました。

 私自身も、総務大臣退任後も、医療関係者が集まっておられる場では、電波環境改善に向けた取組をお願いするスピーチを続けてきました。

 

 平成28年(2016年)に配布した『医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き』には、「医療機関側が、建築設計前に医用テレメータを決定し」「医療機器メーカー側は、医用テレメータのアンテナの配線や配置情報を提供し」「建築側は、アンテナの配線や配置情報に配慮して建築設計を行う」旨が明示されていました。

 

 ところが、冒頭に記した村木能也先生の特別寄稿文によると、「特殊な遮蔽壁を必要とするようなMRI、CT、X線装置の場合、建屋設計前にこれらの機器を決定し、設計に反映させ、建設が行われている。医用テレメータの場合は、実使用者である看護師や臨床工学技士が機種選定し、医師が決定していることが多いが、これらは、病院建物が竣工した後に決定されることが多い。このため、医用テレメータのアンテナの配線や配置については建築設計には反映されず(後略)」ということでした。

 

 村木能也先生は、総務省の「医療機関における電波利用推進部会」発足時から委員として活躍して下さった方ですから、相当な危機感をもって寄稿して下さったのだろうと思います。

 

 『月刊 新医療』を読んで、未だに「啓発活動」が不十分であることを知り、少なからずショックを受けました。

 

 医療関係者や建築設計関係者の育成機関(大学や専門学校)において電波環境に関する講義をしていただくことも必要でしょう。

 総務省と厚生労働省に対しては、改めて、医療関係者、医療機器ベンダ、通信事業者、建築設計事業者の皆様への情報提供を要請するつもりです。

前のページへ戻る

  • 自民党
  • 自民党奈良県連
  • 新型コロナウイルスにともなう あなたが使える緊急支援